死なへん言うたやん!!…③
「そないになんべんも名前呼ばんでも分かっとるちゅうねん」
「へ……へえっ!?」
いきなり腕の中からコタツの声がした……って、カンサイ弁?
「そやからワイは究極生物ゆうてるやろ。
体が再生でけへんくらいのケガしたら、前の体の中に新しい体作って再生するねん。寿命がこん限り絶対に死ぬことないんや」
あたしの腕の中でベリッと脱皮したコタツは、腕組みしながらニンマリ笑って立ち上がった。
体はさっきよりちょっと小そなっとるけど、間違いなくコタツや! 目も輝いとるし、毛皮もサラサラフワフワで活き活きしてる。
またボロボロと涙出てきたけど、今度のは違う。
コタツが生きててくれて、ホンマに……ホンマに良かった!
「コタツ! コタツぅ!」
「イタイ、イタイ! そんな抱きつきなや。新しい体いうても、まだ完全にでき上がっとらへんねんで」
「ゴメン、せやけど……せやけど!」
「泣きな! 急やったから説明せんかったワイも悪いんや」
「そんなん、もうええ。せやけど……」
「なんや?」
「なんでカンサイ弁なん?」
「そやからワイは究極生物や。死ぬほどのダメージ受けて生きのびる時は、その環境にすぐ適応できるように身体能力そのものが変えられるんや。
環境の違う星に連れてこられてなんであっさり逃げだせた思てんねん。誠恵に会う前にワイはいっぺん死ぬ思いしてんねんぞ。
このしゃべりは誠恵が抱いとってくれたからやろ」
「なあコタツ、他の星の生き物欲しがったらアカンいうのはあんたに言われてよう分かってる……分かってる上で、これからもあたしと一緒にいてくれへんやろか?」
「そやなあ、ほんまに誠恵がよう分かってんのか、ちゃんと見張っとかなあかんしな」
「そうやねん、コタツにちゃんと見張っといてもらわなアカンねん」
「しゃあないなあ、そこまで言うんやったらよっしゃ! 一緒にいたるわ」
「ありがとう! コタツ!!」
「まあ、ワイもここの環境に適応してしもたからなあ。
それに、ワイがおったら銀河連合の特使がきた時、地球に有利な話もしたれるからな」
「有利な話って?」
「ファリアロは銀河連合の常任理事惑星や、リーダーしとったワイは連合でもよう知られとる。
そのワイが誠恵いう信用できる地球人おる言うだけでかなり有利になるぞ」
「……銀河連合に顔知られてるリーダーって、ひょっとして地球で言うたら地球人全員のリーダーのこと!? 大統領みたいなもん?」
「リーダーいうたら、そうやろ?」
「そやったらファリアロは人口何人くらい?」
「4つの大陸に合計200億人はおった」
「星1つ分やん!」
「1つの星やねんから当たり前やろ」
「エ、エライさんやってんなあ」
「今日は体がエライさんや」
なんでそんなベタなことまで知ってんのかツッこみたかったけど、今はやめとこ。
まだ警察も消防も、レスキューもきてへんめちゃくちゃになった宇宙港にぼう然としてる人らが集まってきた。
そん中におじいちゃんがいた。
「おじいちゃん!!」
「お、おお! 誠恵! 無事やったんか!!」
駆け寄っておじいちゃんの胸に飛び込んだ。
「いったいなにが……?」
「それよりおじいちゃん! この子と暮らしてもええ?
さっき宇宙港で会うてん。爆発事故で危ないとこも助けてもうてん。命の恩人やねん」
「命の恩人か、そら大事にせなな。初めまして、誠恵のおじいちゃんや」
「おう、ワイはコタツや、よろしゅうな」
「へっ?」
返事するコタツに、おじいちゃんはあっけにとられる。
「どない? 腹話術や」
「めっちゃうまいやないか!」
コタツ見たら、笑っとる。あとでビックリさす気やな……ノリまでカンサイになっとるやん。
ほんま究極生物やなあ。