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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
13/42

死なへん言うたやん!!…②


 目え覚めたらまっ暗なとこに倒れとった。


 死んでもたら、こんななんもあらへんとこくるんやなあ……手で手え触ってもちゃんと感じするし、顔触っても顔の感触するけど……やっぱり死んでしもたんやろなあ……。


 あのあとどうなったんやろ?

 おじいちゃん迎えに来てくれてたのに。

 地球におるお父さんとお母さん悲しむやろなあ……親友のりっちゃんとか順ちゃんにも、もう会えへんねんやろなあ。


 死んでしもたのに、泣けるんやなあ。


「泣くな誠恵。誠恵は死んでいない」

 まっ暗な中からコタツの声した。


「コタツ? どこなん? コタツ無事やったんか?」

「……無事だ。しかし、もう少し待て。今はおとなしく……して、おいてくれ」

「うん、分かった」

 コタツの言葉で安心して、なんや気い抜けてもうた。コタツ無事やったんや、ほんであたしも大丈夫やったんや……。


「この辺りまでくれば……大丈夫だろう」

 まっ暗な中にコタツの声したとたん、バカッと周りの壁が開いた。

 うわ、まぶし! 目えくらむ。

 ここどこやあ?

「あ!」

 壁やない! コタツの体が伸びてあたし守ってくれとったんや!


「コ、コタツ! ああ!! なんやあんたそのケガは!!!」

 宇宙港から離れたとこにある芝生の空き地で、あたし出してくれたとたん倒れたコタツは、白かった毛皮あちこち焼け焦げて黒うなってるし、全身キズだらけ……。

 体ボロボロやのに、こんなとこまで連れてきてくれたんか。

 倒れたコタツから血が広がってく……宇宙港のほう見たら、完全に壊れてて黒煙上がってるところからずうっと血の跡続いてるやん!!


「あんたそのケガであたしここまで運んできたんか? そんなんムチャや」

 抱き上げたかったけど、このケガや。へたに動かしたらあかん。

「……これでも、最低限の……距離だ。二次爆発の、危険も……あった」

 息絶え絶えに苦しそうやのに、あたしなんにもでけへん……。

「そんなん……そうや! お医者さんに見せな!」

「……ム、ムリだ。地球の生き物とは体の、構造が違う。

 それに……そんなことをすれば、オレは解剖され、標本として、さらされる……それは望まない」

「せやけど……せやけど……そや! ケータイで撮ったら元気なるんやったな!」

 あわててケータイで撮ると、ピクッと動いてくれた。

「……楽になる。しかし、この体は……もうダメだ」

「そんなんイヤや!」

「大丈夫だ、安心しろ。究極生物であるオレは……死なない」

 ケータイ撮り続けても、コタツの言葉がだんだん弱あなってく。

「……コタツ、こうしたら元気になる言うてたやん! 死なへん言うたやん!」

「……悪、かったな……いろいろと、巻き込んで……」

 少しだけ顔上げて、あたし見ながら言うた。

「そんなんかまへ……!」

 コタツの頭がガクッと落ちて、全身から力が抜けていく……。

「コタツ死なんといて! 死んだらイヤや! お願いやから死なんといて! コタツ!」

 コタツ抱き上げて、鼻先に頬を近づけても……もう息してへん。


「なんでやねん、いきなり来て、いきなり死ぬんか!

 そんなん勝手や……コタツ……!」


 あたしの腕の中の、コタツが……だんだん冷とうなっていくん、冷とうなって欲しないから抱きしめて、体さすっても全然温うならへん。


 さっきまでサラサラフワフワしとった毛皮もボロボロのナイロンみたいな手触りになってる。


「コタツ……コタツ……コタツうぅうう……」


 涙がコタツの顔に落ちて、まるでコタツも泣いてるみたいや。


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