死なへん言うたやん!!…①
「あたしらも逃げな!」
放送室から出てコタツに言うたけど、コタツは動かへん。
「どないしたん? 早よ逃げな」
「オレはまだ行けない。誠恵は先に逃げろ」
「なんでなん? 一緒に逃げよ」
「人間は逃げだせる。しかし、乗客の手荷物として運び込まれている生き物たちは逃げられない。オレは彼らを開放してくる」
「そうなん? それやったらあたしも行く」
「ダメだ! オレはこの建物全体が崩壊しようとも生き残れるが、誠恵は生きられない。根本的な丈夫さが違う」
「せやけど、コタツ置いて逃げられへん!」
「……しょうがない。地球人は言い出したら聞かないことは承知している。ここで時間をムダにしたくない。
しかしこれだけは約束しろ。オレが限界だと判断し、もう逃げろと言った時には逃げてくれ。反対にオレは必ず生き延びると約束しよう」
「ホンマに? 絶対に生き延びてくれる?」
「絶対だ。オレはなにがあっても死なない」
「分かった。そん時きたら合図して」
「もちろんだ」
コタツのあとついて手荷物置き場に着いたら、ようけえ生きもんいてる。
危険なん分かってるんやろう、みんなものスゴイ吠えたり暴れたりしてる。
こんなんで逃がしたら危ないんちゃうの?
「Успокойся! Я спасти тебя от всех нас сейчасz!」
うわ、ビックリした!
コタツなに叫んでんの?
せやけど、そのとたん吠えたり暴れたりしとった生きもんピタッと静かになった。
「すべての生き物の共通語でこれから助けることを教えた。カギさえ開けてやれば自ら避難する。誠恵、誘導してやってくれ」
言いながらコタツは次々カギ壊していく。ドア開いたらどんどん逃げ出して……わあ! こっち、こっちくる!
「あっちや! 出口はあっちや!」
あわてて言うたら分かったみたいで、みんなあたしの言う出口のほうに走っていく。
あとから出られた子らもそのあとについて逃げてくれる。
せやけどスゴイなあ、すべての生きもんに共通の言葉なんあるんや……あたしぜんぜん分からへんかった。
「あれ? ほんならあたし生きもんちゃうん?」
「悩むな誠恵。お前たちは特化した言語を持っているため理解できなくなっている」
「そうなん? 勉強したら分かるようになるかなあ……アカン、あたしコトバ苦手やったんや」
最後の1匹が逃げて、残るはあたしとコタツだけや。
「よし! 行くぞ誠恵」
「うん!」
あたしらも逃げよとした時、ゴンッ! ってさっきのズンとぜんぜん違う衝撃が足下にきた。
「しまった! 誠恵!!」
コタツが飛びついてきた時、足もと光った。
アカン! 真下からの爆発や!
なんも見えへん!
……コタツ、大丈夫やろか……。