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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
11/42

黒幕が出てきよった!!…⑤


「誠恵、メガネを返す」

 左からコタツの声が聞こえて、そぉっと見たら、ボーッとさっきと変わらへんサイズのコタツと、たぶん、差し出してくれてるんはメガネ。

「うわ! うわあ!! なんやコレ」

 部屋の中メチャクチャで、壁ごと剥がれ落ちてる。

 オッサンは部屋のまん中で大の字になって失神しとる。

「なにやったん?」

「さあ。これまでの自分の行いを思い出しただけだろう」

「なんや、そらしゃあないなあ」

 もうコタツの黒目はまん丸に戻っとった。



 密猟と検疫と武器横流ししてた証拠コタツがかき集めて宇宙港の交番に連れて行ったら、警察の人らと軍の人らでちょっとした騒ぎになった。

 ドラマとかで利益をむさぼっとった悪役がやっつけられた時に、もっと偉いさんに全部ばれて地位失うってのん、ほんまに見られるとは思わへんかったわ。

 最後までお約束守ってくれるオッサンや。

 カバンも無事に返ってきて、あたしとコタツがホッとして出ようとした時……施設全体がズシン! って揺れた。

「なんや今の?」

「爆発音だ。位置は宇宙港の地下だな」

「爆発? 事故でも起きたんやろか?」

「最悪の考えだが、オレがあの部屋を破壊したことが原因かも知れない。なんらかの証拠隠滅のためにな。もしそうだった場合、破壊はこの施設全体に及ぶはずだ」

 コタツがそう言うてる間に、もう1回ズシン! てきた。

「間違いないようだ」

「そんな冷静に言わんといて。せやけど今宇宙港にどんだけ人おるんやろ。あたし降りてきた時もけっこうおったで」

「放送室へ向かおう。パニックになっても構わない、全員を避難させる」

「そんなん、あたし放送室がどこにあるかなんて知らんで」

「港内はオレがすべて把握している。ついてこい誠恵!」

「あ! 待って待って!」


 放送室って書いてあるドア飛び込んだコタツに、中にいた人ら「あれ?」って顔で見た。


「責任者は誰だ!」


 コタツが立ち上がって叫んだとたん、みんなポカンとして顔見合わせる。

 そらそうやろ。


「ここのいちばん偉い人だれやあ!」

 あたしが叫んだら、いちばん奥でポカンとしとったおっちゃんがこっちに顔向けたとたん、ポーンとコタツがそのおっちゃんの机の上に飛び乗る。


「今の震動は感じたな!?」

「……え?」


「震動を感じたかと聞いている!」

「……あ、ああ」


「地下で爆発が起きた。そこは宇宙船の燃料庫に近く、誘爆すればこの施設全体が崩壊しかねない危険性がある。今すぐ全館内に退避放送を流してくれ」

「いや、あの……状況が、理解……できないのだが」


「オレは宇宙港の、人間の入り込むことのできない個所の検査・点検・警戒を目的として造られたネコ型のロボットだ!

 そのためこうして人間の言葉を話し、2本足で立って歩ける!! それ以外考えられないだろう?

 そのオレが地下の爆発を緊急事態と判断して、この施設にいる者たちを即刻退避させようとしているんだ!

 オレは今、危険度を示す最高レベルEで動いている。早く全館内に呼びかけるんだ!」

「そ、そう言われても、そこまでの判断を私だけでは……」

「誠恵! お前の身分カードを渡してくれ!」

 あたしの身分カードってなんやあ〜〜〜?

「左のポケットに入っている!」

 左のポケット? なんや、なんか入っとる……あ! そうか、コタツの作った偽造身分カードやな。

 そういうノリか!


「これや! 読み取って確認してみい」

「こ、子どもが?」

「子どもやいうて、なめとったらアカンで。普段は人前には出えへんけどブロック5まで入れる資格持ってんねんで。ホラ」

 読み取られたカードには、微妙にあたしに似てる写真と違う名前が出てるけど、そのほうがええねん。

「うわ! 本物だ!! 失礼しました!!!」

「あたしが全責任取ったる、全館放送流しい! 今すぐにや!」

「す、すぐに流します!」

 早速おっちゃんと、部屋におったみんなで流し始めてくれた。




 管制塔の人らはギリギリまで逃げんと着陸しよとしてる宇宙船も全部他の宇宙港へ誘導して、宇宙船にもトラブルなくて、宇宙港近くにおった宇宙船もあわてて離れた場所に移動して事なきを得た。

 一時はパニック起きて、ケガ人も何人か出てしもたけど、放送のおかげでみんな逃げられて、宇宙港全体の爆発やったのに、死んだ人は1人もおらへんかった。

……せやけど……せやけど、コタツが。


……死んでしもた。


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