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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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8/15

彼女の胸の内は

【登場人物】

・ハウス

リリスとシーラを今日中に屋敷から出ていかせる事が出来るか賭けをしている。

ティーダの日記の一部をシーラに渡し説得を試みたが難しく、自分の秘密を打ち明ける。


・リリス

シーラと二人きりの時間を作る為にハウスへ賭けを提案する。


・シーラ

ティーダの為に自らの顔を捨てた。

ティーダへの復讐の為にリリスへ仕えている。


・ティーダ

シーラの元恋人。

大病を患い入院して現在は寝たきり状態。

自分の為に動いてくれたシーラを傷付け、愛する人を失った事に後悔している。

いつの間にか立ち上がり、目線を合わせて話を始めたハウスの話をシーラは黙って聞いていた。


「信じるかどうかは君次第だけどね、それに」


「それに?」


「リリスに好き勝手されるのは面白く無いと思わない?」


最後の言葉にシーラは笑ったような気がした。


話を終えてハウスは一人になったが落ち着き無く部屋を歩き回り、これで良かったのかと自問自答を繰り返す。


そうこうしていると突然ドアが開き

「後で呼びに行くので部屋に居て下さい」

とシーラが言いに戻ってきた。


驚きのあまり「分かりました!」と上擦った声で返事をし、大人しく自分の部屋で待つ事とした。


シーラに言われた通り部屋で待っていると昼過ぎのおやつ時に彼女はやってきた。


「五分後に外のテラスに来て」


そう一言だけ伝えて去ってしまった。

ハウスは屋敷の中は以前レアルタに案内されたが「外のテラスって何処だ?」と一人呟く。

迷った末に向かったのはこの屋敷で一番暇そうな奴の所だ。


「早速で悪いんだけどテラスって何処だ?」


顔を会わせるなりいつも通り暇そうな生首にたずねた。


「テラスっていうと厨房の裏だな」

「ほら、お前が最初この屋敷を来た時に俺がお前を吹っ飛ばした所の壁を沿って行けば着くぞ」


説明に皮肉が混じっているが今は気にせず顔のみで不快感を伝え「ありがとよ」と礼を述べテラスへと向かう。


すると「今お前がしている事は何なのか分からんけど、まぁ頑張れよ」そんな励みの言葉を掛けてくれた。


五分後と言われてはいたが少し遅れて到着する。

そこには白を基調としたテラスがあり人影が四つ見える。


いち早くこちらに気付いたリリスが声を掛けてきた。


「あら、こんな所に来るなんて私の事でも探してたのかしら?」


相変わらず芝居がかった話し方だ。


「別に探していた訳では無いが、こんな所で何してるんだ?」


こちらも相変わらず探るような話し方を変えない。


「ここでは皆でお茶会をしているのよ、良かったらご一緒していく?」


ここで断ったらシーラの意図とは別の行動となってしまうと思い「じゃあお言葉に甘えてご一緒しよう」とリリスの正面の席に着いた。


「シーラ、コシネロに伝えてケーキを一つ追加って」


「かしこまりました」


シーラが離れて残る使用人はルルとシャミだ。

とは言ってもルルは席にはつかず使用人らしい立ち振る舞いをしているが執事見習いのシャミは席に座りケーキを待っている。

この様子からもシャミはリリスのお気に入りであることが伺えた。


戻ってきたシーラがカートに乗せて持ってきた物は紅茶セットとチョコケーキ、チーズケーキに饅頭、最後にミカンだった。


不思議そうな顔をしているハウスに対して「うちの料理人は気まぐれなの」と独り言のように呟いた。


配膳の手伝いをしようとしたルルをハウスは立ち上がり片手で制する。


「配膳は俺がするから座ってていいよ」


そう言ったとたん「はぁ!命令しないでくれる!」と隣で耳をつんざくような声をあげる。

うるさいと思ったのは皆同じらしく「ルル座りなさい」とリリスが声を掛けて大人しくした。


座ったルルを尻目にハウスは食べ物を配っていく。


リリスにはチョコケーキ。

シャミにはチーズケーキ。

ルルにはミカンを。


「じゃあ饅頭は俺のかな?」とハウスは得意気になって言う。


ルルとシャミは素直に驚き「何で分かるの?」と困惑している最中、リリスはその眼を闇に染め嫌悪感と冷めた怒りを込めた表情で目の前のケーキを見つめていた。


その表情はその場を凍りつかせるには充分であり、誰も口を開く事など出来ない。

だが突然シーラがこの沈黙を破る。


「リリス様、私は今夜屋敷を出ます」


「…それは何故」


リリスの闇がシーラを包む。


「もう一度彼の愛を信じてみようと思っただけです、それと…賭けはハウス様に勝って頂きたいので」


この状態のリリスへ臆する事なくシーラは言った。

するとリリスは「はっ」と乾いた笑い声をあげて。「勝手にすれば良いんじゃない」と席を立つ。


これを機にお茶会は終了し、二度と開く事は無いのであった。


夜になりシーラを見送る為、屋敷の入り口に使用人達が集まっている。

ルルは別れを惜しんで泣き、シャミも不安そうな表情をしている。


「二人ともごめんね、けど私が決めた事だから」


そう言って二人の頭を撫でた。

視線をあげて今度はレアルタへ話しかける。


「レアルタ様、お見送りありがとうございます、二人をよろしくお願いします」


頭を下げるシーラにレアルタも深く礼を交わして応える。それがレアルタに出来る精一杯の事であった。


彼女はメイドとして仕えてから外した事の無い鉄仮面を捨て「じゃあ、皆いってきます!」と今までの彼女からは想像出来ない程の明るい声で屋敷を去った。


そんな彼女の後ろ姿は強く、ただ美しい女性がいるだけであった。


ーーーーーーーーー○○病院にてーーーーーーーーー


私はもう死ぬ、そう感じたのは一体何度目であったか。

彼女の呪いだと恨んだ時期もあったが、今思えば自業自得である。

生と死の狭間を行き来し続け思うのは彼女との楽しい日々、もしもあの時などという妄想を糧に日々苦しみを乗り越える。


彼女にもう一度だけ会いたい。

そう思った矢先、目の前にあの時バケモノと罵り、見捨てた彼女がその顔を覗かせているではないか。

あの時は表面しか見ようしなかった彼女の顔は酷く焼けていても分かる程の不安そうな顔な表情であった。


その顔を見て私は二度もこんな表情をさせてしまった後悔とあの時向き合わなかった情けなさが込み上げてくる。

私は彼女に謝らなければいけなかった。

彼女が許してくれるまで多くの言葉を用いて誠心誠意伝えなければいけなかった。


だが今はそんな気力も体力も無い。

だから私は一番伝えたい事を彼女へ言った。


「シーラ愛している」


すると彼女は以前の美しい顔で微笑んでくれた。


ーーー


「さっきお見舞いに来た人見た、あの顔まるで人じゃないみたい」

「見た見た、それにお見舞い先ってあの不死の老人でしょ、本当に人じゃないのかも」


そんな妄想を膨らまし、看護師達が話を続けていると病室の呼び出し音が鳴った。


「さっきの人が向かった病室よ!」


妄想のせいかさっきの人が原因ではないかと緊張が走り現場へ向かっている途中、彼女達は今まで見た事が無い程の美しい女性とすれ違うのだった。


(シーラ編・完)

これまで読んで頂きありがとうございます!

これにてシーラ編は終了となります。

連続投稿チャレンジという機会を頂き、執筆させて頂きました。

運営の方へもこの場を借りてお礼申し上げます。

話は変わりますが、タイトルにある彼女は誰の事だと思って読んで頂けたでしょうか?

シーラの物語のテーマは【変化】です。

分かりやすい変化は彼女の顔で、それに付随して時間や感情であったりと今後の物語に繋げていく為の変化となっています。

更新頻度は落ちるかも知れませんが興味を持って頂けるのであれば最後までお付き合いよろしくお願い致します。

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