賭け
【登場人物】
・ハウス
魔女に会うため屋敷を訪れる。
屋敷の魔女リリスと夕食を食べながら自ら今後の行動を打ち明ける。
・リリス
屋敷の魔女。
ハウスと夕食を共にした際、シーラの事を聞かれる。
ハウスの行動に興味が湧いた彼女はシーラの事を話始める。
・シーラ
リリスに顔を焼かれ鉄仮面を着けているメイド。
かつて恋人を救うため魔女の屋敷を訪れた。
ハウスの最初のターゲットらしく、近々出ていく事になるとハウスは明言する。
「そんな感じで改めてここへ来た彼女は使用人として仕える事になったのよ」
リリスの話を聞きハウスは「あの鉄仮面は?」と質問をぶつける。
「今の話を聞いて気になるのはそこなの?」
リリスは呆れたように笑いながら言った。
「あの鉄仮面は私からのプレゼントよ、あんなバケモノみたいな見た目で屋敷をウロウロされたらたまらないもの」
それは君がした事なのではと言いたい気持ちを抑え、改めてリリスへ伝えた。
「君の話を聞けて確信したよ、シーラは近々この屋敷を出ていくって」
ハウスの自信に溢れた態度に「ふーん」と鋭い目線を向けて彼女は言う。
「じゃあ、やってみなさいよ」
この時、彼女の瞳の闇が濃くなり飲まれそうになった。
この底知れぬ恐怖から改めて実感する、目の前の女性は魔女であるのだと。
ーーー
翌日ハウスは誰に起こされるわけでもなく自ら部屋を出た。
使用人達は既に起きていてリリスが起きるまでにやることを済ませている。
そんな世話しなく動き回っている中、声をかけるのは忍びなく、なんとはなしにボンドの所へと向かった。
「よぉ、調子どうだ」
ボンドは屋敷の中の使用人達とは違って暇そうにしていたというより首しか無いのでそう見える。
「調子どう?ってこの屋敷で体調不良になるやつなんていねぇーよ」
ボンドは前を見たまま返事をした。
その視線の先にはシャミと遊んでいるボンドの身体がある。
その様子に気付いたハウスは「あれは?」とボンドと同じ景色を見ながら聞いた。
「あれは…まぁ訓練みたいなもんだよ」
歯切れの悪い返事が返ってきた。
どう見ても二人で遊んでいるようにしか見えないが、それを指摘するのは野暮だと察しハウスは本題へ入った。
「今日シーラと話をしたいんだが、どうすれば二人きりの時間が作れる?」
「普通に呼び止めれば良いじゃねぇか」
間髪入れずに返事がくる。
「いや、ちゃんとした場を作りたいんだ」
「それを俺に聞かれてもな…」
こんな無茶振りを聞いてもボンドは考えてくれている。シャミとの関係を見ても以外に世話焼きなのかも知れないとハウスは感じた。
「魔女はお前の事を認めてるんだから直接頼むってのはダメなのか?」
この提案に「どうだろうな…、素直に良いわよなんて言いそうに無いけどな」と乗り気でない返答をした。
「じゃあ、あれだな、夜中夜這いでもするんだな」
「夜這いってお前…何時ぐらいから部屋にいるのか分かるか?」
「本気で夜這いする気かよ」
「夜這いはしないが部屋で話せればと思ってな」
「それは無理だぜ、仮面女とルルは同部屋だ」
「そうか…じゃあ俺の部屋に呼ぶとかするか」
「じゃあ、部屋に行く必要がある理由を考えないとな」
そんなやり取りをして二人で頭を悩ませていると屋敷の扉が開く。
「ハウス殿、リリス様が朝食をご一緒にとの事です」
昨晩と同じようにレアルタが一礼する。
朝食を共にする席は昨晩と同じ席でハウスが座るなりリリスは人払いを命じた。
こちらが望んだ事では無いが二人きりになったハウスはダメ元でリリスにシーラと二人の時間を作れないか提案してみることにした。
「シーラと二人きりの時間が欲しい!?」
声をあげる訳では無いが、小馬鹿にしたようにリリスはわざと笑ってみせる。
「じゃあその時間を作ってあげる代わりに賭けをしない?」
「賭け?」と返事をしつつ、やはり嫌な予感が当たったとボンドの顔を思い浮かべる。
「二人の時間を作るから貴方が言った近々屋敷を出るかも知れないって話、今日出たら貴方の勝ちっていう賭けよ、どうかしら?」
断る訳が無いと確信しているためか余裕のある態度で提案してくる。
(近々で今日になる訳ないだろ)
そんな事を考えてつつも彼女の案にハウスは聞く。
「賞品はあるのか?」
「そうね…」
「じゃあ勝った方の言うことを一つ聞くって言うのはどうかしら?」
「もちろん私への願いは魔法を使わなくても出来るお願いにしてね」
この条件にハウスは自分を奮い立たせる為、強く一言「乗った」と応えるのだった。




