最初のターゲット
【登場人物】
・ハウス
魔女に会うため屋敷を訪れる。
門番のボンドを打ち負かし、屋敷の魔女リリスから滞在を認められる。
後日ボンドに一戦交えた際の願いを叶える代わりにこちらの目的にも協力するように促す。
・リリス
屋敷の魔女。
ハウスを気に入り屋敷での滞在を許可する。
翌日の朝、歓迎会を開き、周りの事などお構いなしに一人騒いでいた。
・レアルタ
屋敷の執事。
ハウスより少し身長が高い白髪の老人。
歓迎会の後、ハウスに屋敷の案内をしてくれた。
・シャミ
獣耳の子供。
8歳ぐらいの子で執事見習いらしい。
・シーラ
鉄仮面を着けているメイド。
仮面のせいか冷たい印象。
リリスは何かあればレアルタよりシーラにお願いをする事が多い。
・ルル
黒いチョークが特徴のメイド。
年齢は14歳ほどでシーラの事を慕っている。
・コシネロ
屋敷の料理人。
常に体調が悪そうな人物。
他の使用人達とはあまり関わらず、リクエストには基本的に応えない。
自分の作りたい料理を日々提供しているらしい。
・ボンド
屋敷の門番と庭師。
顔と身体が分離しており腕がたつ。
ハウスとの戦闘で言った一言で協力関係を築けないか打診されている。
ボンドとの話を終え屋敷に戻った時、レアルタから声を掛けられる。
「リリス様が大広間にてお待ちです」
そう一礼しながら伝えてきた。
ハウスは返事もそこそこに歓迎会をしていた大広間へ向かう。
するとそこには朝と同じ面子が揃っており、唯一違う点はリリスが座っているテーブルだ。
そのテーブルは歓迎会で使った部屋の中央にある大きな白いテーブルの奥にあり、大きな窓の前で外が一望出来る二人掛けのテーブルであった。
「早く、料理が冷めるわよ」
そう言ってハウスを待っている。
テーブルには既に二人分の料理が用意されており拒否権は無いようだ。
「他の皆は食べないのか?」
ハウスは疑問を口にした。
するとリリスは「召し使いと私が一緒に食卓を囲むわけ無いじゃない」とつまらなそうに応える。
リリスの不満そうな反応を見てハウスは機嫌を損ねてはまずいと思い早々に席に着いた。
ハウスが席に着いたのを確認したコシネロが料理のカバーを取ると上質な甘い肉の香りが鼻腔をくすぐり、綺麗なロゼ色のステーキ肉が現れた。
ステーキのおかげかリリスは上機嫌になり「今度は何のお話をしましょうか?」とまたわざとらしく演技し話題を振ってきた。
それに対してハウスは一か八か提案する。
「じゃあ二人で話さない?」
「…」
暫くの沈黙の後、レアルタが「それは…」と言い掛けたがリリスは「いいわ、皆下がって」
この一言にレアルタは何か言いたそうであったが使用人達にもう部屋で休むように伝え、それぞれ持ち場を離れていった。
「さて、お望み通り二人きりになったわよ、さぞ面白い話を聞かせてくれるんでしょうね」
悪戯に彼女は笑いながら言った。
「君が望む面白い話はレアルタからもう聞いたんじゃない?」
「うーん、例えば?」
相変わらずお互いに相手の腹を探るような会話になってしまう。
「俺とボンドが手を組んだ話、それと六つの心臓の話、最後に…シーラを最初のターゲットにする話」
この話に対して彼女は何も言わず黙って聞いている。
「レアルタが俺の事をつけているのは分かってたから、わざと大きな声でボンドと話をした」
「そしてその情報をレアルタから君に伝えてもらう、何でそんな事をしたのか分かるか?」
俺達の会話らしく相手の考えを探る。
プライドの高く賢い彼女の事だ、恐らく分からないとは言わず核心をつく返答をしてくるだろう。ハウスはそう考え次の話を用意して待つ。
「そうね、今この時間を作るためかしら?」
「正解、じゃあ次に何でこの時間が必要だと思う?」
ハウスからの質問攻めにリリスは少し不機嫌になりつつ考える。
ボンドと手を組んだ話、六つの心臓の話、シーラをターゲットにする話、この三つに関してはレアルタに情報を流している時点で二人で話したい事では無い、その点を踏まえてリリスは質問に応えた。
「私の話を聞きたいの?」
この応えにハウスは決心を固め、言いずらそうに二人きりになった理由を話す。
「そう、君の話を聞きたい、もっと細かく言うと君とシーラの話を聞かせて欲しい」
「明日にでも俺は彼女と話をする、そうしたら彼女は近いうち、いや、早ければ明日にでも屋敷を出ていく事になるから…」
「君に恨まれる前に伝えておこうと思ってね」
確信めいたハウスの発言にリリスは少し驚き、これ程の自信を持てる話とは何であろうかと興味が湧いた。
(やはりこの男は面白い)
そう自分の直感が当たった事に少しの愉悦を覚え、悪戯な笑みをこぼしながらリリスはハウスの提案に乗るのだった。




