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【バグゲー無双】  作者: くーねるでぶる(戒め)


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039 魔将ガルシム

「ぐ……が……」


 その時、気を失っていた支部長が目を覚ました。


「支部長!」

「ゴドン氏!」

「ああ。状況はどうなっている?」

「見た方が早い」

「なんてことだ……」


 オレは支部長が見えるように退くと、支部長は絶望したような声をあげる。


 そりゃそうだろう。もう右翼を押さえている前衛は二人しか残っていない。それも、残った二人が奮闘しているわけではなく、あのホーンラビットの王の遊びでまだ生かされているだけの状態だ。


「支部長、あれは何なんだ?」


 支部長なら情報を持っているかもしれない。そんな一縷の望みをかけて支部長に問いかける。


「あの青がかった紫の肌。そして、頭部に生えたねじくれたツノの大男……。間違いない。奴は魔王十二将の一人、魔拳のガルシムだ……」

「ん?」


 紫色の肌? ねじくれたツノ? 大男? 支部長は何を言っているんだ?


「やはりそうでしたか……」


 支部長の言葉にアリューシアが頷く。


 オレはもう一度右翼の前線を眺めてみた。そんな大男の姿はどこにもいない。


 え? これって、オレがおかしいの?


「なぜ奴がこんな所に……」

「ゴドン氏、それよりもまず兵を引かねば!」

「ダメだ! そんなことをすれば、ガルシムが冒険者たちを蹂躙し始めるのは目に見えている!」

「ではどうするのです!?」


 支部長とアリューシアが怒鳴り合っている。その時、オレの中で一つの線が繋がった気がした。


 これ、バグだわ。


 たぶん、みんなにはあのホーンラビットがガルシムとかいう魔族に見えているのだろう。ガルシムは魔王十二将とかいう地位にいるらしく、恐ろしく強いようだ。実際、熟練の冒険者たちが束になっても勝てなかったのがその証左だろう。


 このまま右翼が崩れればどうなるか?


 冒険者たちは魔物に包囲殲滅されるに違いない。


 そうなれば、ただの一人も生き残ることはできないだろう。


 もちろん、オレも例外ではない。


 なら、オレが今、できることをやるべきだ。


 オレにとって、ガルシムはただのホーンラビットに過ぎない。ならば、オレがたおすべきなのだろう。


「オレが行く」

「はあ!?」

「ヒイロ!?」

「相手はすっごく強いのよ!? ヒイロが死んじゃう!」

「ヒイロは勇者とはいえ、まだその真の実力を身に付けたわけではありません! 考え直してください!」

「悪いけど、もう決めたことなんだ」


 それだけ言うと、オレは魔将ガルシムに向かって駆け出す。


「おい、ガルシム! オレと一対一の決闘だ!」

「なんだ、お前は?」


 オレにはホーンラビットの表情など読めないが、ガルシムが呆れているのはよくわかる。


 そうだね。ガルシムから見たら、オレなんてただのゴミだろう。そんな奴から決闘を申し込まれて、素直に受ける奴なんていない。


 だが――――!


「オレはヒイロ! 勇者ヒイロだ!」

「勇者だと?」


 魔族なら、勇者の名は無視できないはず!


「お前みたいな弱い奴が勇者なわけがないだろ? 本物の勇者を出せ!」

「あるぇー?」


 まさか、信じてもらえないとは思わなかった。


「お前たちが勇者を見つけたことを知っているぞ? この王都にいることもな! 本物の勇者を出すのなら、この場は見逃してやってもいいぞ?」


 こいつ、王都を襲った狙いは勇者なのか?


 魔王十二将だっけ? そんな強い奴がまだ成長前の勇者を狙ってくるとか、どんだけハードモードなんだよ。もしかしたら、強制負けイベントか?


 だが、オレは生憎と負けるつもりはない!


 オレの両肩には、この場にいるすべての冒険者たちの命が乗っているんだ。負けるわけにはいかない!


「失せろ、小僧。そして本物の勇者を連れてこい」

「逃げるのか? ホーンラビット」

「…………何だと?」


 その瞬間、ホーンラビットの纏う雰囲気が変わった気がした。


「ホーンラビットと言ったんだ。お前にはちょうどいい渾名だろ?」


 実際、オレにはホーンラビットに見えるしね。


「見逃してやろうと思えば、どうやら死にたいらしいな?」

「ホーンラビットくんにオレは倒せないよ?」


 その瞬間、ホーンラビットが右手を振る。


 ついに我慢できずに殴りかかってきた。


「…………どうなっている?」


 だが、疑問の声をあげたのはガルシムの方だった。


 ガルシムとしては、オレを確かに殴ったつもりなのだろう。


 だが、オレにはホーンラビットがただ手を振っただけに過ぎない。


 その攻撃が届くことはないのだ。


「いいだろう。認めてやる。お前はこのガルシムの敵だ」

「そりゃどうも。すぐに終わらせてやるよ」

「それはこちらのセリフだ!」


 ぶんぶん腕を振るホーンラビット。だが、その短い手を振ったところで攻撃がオレに届くわけがない。


「ふぅ……」


 オレは大剣を大上段に構えると、ホーンラビットに向けて走り出した。


「この! どうなっている!? まさか、本物の勇者とでも言うのか!? これが勇者の力……!?」

「ただのバグだよ」


 オレはその言葉と共に大剣をまっすぐホーンラビットに向けて振り下ろした。

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