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【バグゲー無双】  作者: くーねるでぶる(戒め)


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038 ホーンラビットの王

 右翼に着くと、たいぶ冒険者たちの姿が少なくなっていた。倒れた冒険者たちの姿が見える。きっと身の危険を感じて逃げ出した冒険者たちもいるだろう。


「エミリアは冒険者たちの治療を! オレとシアで前線を張る! マリーは存分に暴れてくれ!」

「はい!」

「行くぞ、ヒイロ!」

「まっかせなさーい!」


 オレは走り出すと、今まさに倒れた冒険者に牙を突き立てようとしていたウルフを斬り上げる。


「治療を頼んだ!」

「はい!」


 オレたちのさらに前では、支部長や『黒風』、『ドラゲキン』のメンバーたちが魔物と対峙している。ルビースネークを一撃で首を刎ね、ジャイアントスパイダーを叩き潰す。その強さは思わず見惚れてしまうほどだった。


 だが、魔物の軍勢をたった十人ちょっとで押し留めるのには無理がある。


 全体的に見ればずるずると下がっているし、支部長たちを抜けて冒険者たちに襲いかかる魔物もいる。オレたちはその処理をしつつ、倒れた冒険者たちを救助していく。


「ゴブリンたちの数が減っている! ゴブリンたちを殲滅できれば、兵力をこちらに回すことが可能だ! もう少し堪えてくれ!」

「わかった!」


 アリューシアの声に勇気付けられ、オレは大剣を強く握る。次の相手は大きなクモ、ジャイアントスパイダーだ。


「こっちに来い!」


 アリューシアがジャイアントスパイダーに対して剣で盾を打ち鳴らして挑発している。


 ジャイアントスパイダーがアリューシアの方を見た瞬間にオレは飛び出した。


 選択するのは左逆袈裟の斬り上げ。地を滑るように大剣の刃先が走り、ジャイアントスパイダーの脚を三本斬り飛ばした。


 脚を三本も失ったジャイアントスパイダーは、一時的にその体勢を崩す。


 それを見逃すアリューシアではない。


「はあッ!」


 アリューシアの片手剣が閃き、ジャイアントスパイダーの大きな目を斬り潰していく。


 視界の半分を失ったジャイアントスパイダーは半狂乱のように暴れ回った。


 オレとアリューシアは一時的にジャイアントスパイダーから距離を取る。


「ワアラフレイティゴーヤ、はい!」


 そこに襲いかかるのは、背後から飛んできたマリーの火弾の魔法だ。


 火はジャイアントスパイダーの毛に引火すると、一気にジャイアントスパイダーを包み込む。


「この調子なら……!」


 ジャイアントスパイダー相手に優位に戦えている。その事実が自信に変わる。


 この調子なら、この戦争勝てるかもしれない。


「ぐあああああああああああああああああああああああ!?」


 その時、目の前に飛んできた人影を一瞬理解できなかった。


 咄嗟のことに理解できなかったのではなく、オレの脳が理解を拒んだのかもしれない。


 だって、飛んできたのはボロボロの支部長で――――!?


「エミリア、すぐに治療を! 最優先だ!」

「はい!」


 それだけなんとか口に出すと、オレは恐る恐る前を見る。


「何だこいつ!?」

「ごはッ!?」

「つ、つよい……」


 今まで前線で戦っていた『黒風』や『ドラゲキン』のパーティメンバー。その半数が地に伏せている。絶望的な状況だ。


 そんな希望を奪われるような状況の真ん中にいるのは、小さなツノを生やしたゴブリンよりも小柄な体躯。ホーンラビットだ。


「弱い、弱い! やはり前線を知らぬ冒険者などこんなものか!」

「え? え?」


 オレの見間違い、聞き間違いじゃなければ、その言葉を発しているのはホーンラビットだった。


 辺りの魔物たちも、まるでホーンラビットに統率されているように見える。


 あのホーンラビットが、敵の首魁なのか?


 いや、でも、どう見たってホーンラビットだぞ?


「この威圧感……。まさか、魔将クラスじゃ?」

「そんなのが、なんでこんな所にいるんだよ!?」


 今まで前線を支えていた『黒風』、『ドラゲキン』の生き残りもホーンラビットに向けて怯えたように武器を向けている。


 あんなに頼りになった熟練冒険者たちとは思えないほど腰が引けていた。


「狼狽えるな。刺し違えてでも殺せ!」


 きっとリーダー格なのだろう。黒い全身鎧を纏った騎士がホーンラビットに向けて突撃する。


 だが、それに応じるホーンラビットは右手をぷいっと小さく振ってみせただけだった。


 もちろん、ホーンラビットがその小さな手を振ったところで届くわけがない。


 「あべばッ!?」


 しかし、まるで魔法のように黒鎧の男が殴られたようにぶっ飛んできた。


 正直、どうなっているのかまったくわからない。


「ふんっ。脆弱な者どもめ」


 ホーンラビットは手に血が付いたと言わんばかりにぺろりと右手を舐めてみせる。


 これはホーンラビットが殴ったってことでいいのか?


 明らかに届いてないのに、なんでこんなことができる?


「そんな……」

「リーダー!」

「くそ!」


 前線から嘆く声が聞こえた。だが、誰も動かない。いや、動けないんだ。下手に動けば、次は自分が殴られる。


「どうなってるんだよ……」


 あれは雑魚魔物として有名なホーンラビットの中でも特別なホーンラビットの王とでも言うべき魔物なのか?


 そんなおかしな考えまで浮かんでくるほどだ。

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