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【バグゲー無双】  作者: くーねるでぶる(戒め)


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32/42

032 買取査定

「アイテムボックスだっけ? 勇者の力ってすごいのね!」

「私も驚きました。やはりヒイロは本物の勇者ですね」

「ああ。さすがにこの私も驚いた。すごい能力だな」


 アイテムボックスはすごい能力だったらしく、みんなから賞賛を受けてオレも鼻高々である。正直、自分でもよく気が付いたと思うよ。今までたくさんゲームをしてきた経験が活きたね。


 ツインヘッドベアを倒し、フォレストウルフ共々アイテムボックスに入れた後、オレたちは王都に戻り、冒険者ギルドにやって来た。


「ゴブリン討伐お疲れ様!」

「膝をルビースネークにやられた。幸い毒はないから助かったが……」

「知ってるか? 最近、勇者ってのが任命されたらしいぜ」

「またかよ。王様も懲りないなあ」

「王様っていうか、あの宮廷占い師の婆さんが主犯だろうぜ」

「昔、魔族の襲来を予言してたって言っても、もう何十年も前だぜ? さすがにもう降ろしてもいいだろ?」

「お前ら知らないのか? 勇者ってのは――――」

「おかわりだ!」


 相変わらず、冒険者ギルドは賑やかだなぁ。


 最近、新しい勇者が任命されたことが公表されたのか、冒険者たちも勇者の噂をしているようだ。


 まぁ、噂の人物がオレっていうのも照れる事実ではあるが、それよりも深刻なことがある。


 もう誰も勇者の魔王討伐なんて期待してないんだ。


 勇者マニアのアリューシアに聞いたのだが、十五年前の勇者が十二魔将の一人を討伐してからは目ぼしい戦果を挙げられていないらしい。一番ひどいのは、そもそも前線にたどり着けずに行方知れずになった勇者もいるとか。


 勇者の価値や勇者への信頼がかなり揺らいでいる。そんな中で自分が勇者だと名乗り出るのも気が引けた。


 まぁ、自分から開示しても良いことなんてなさそうだし、このまま黙っていよう。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?

「買い取りを頼みたい。ここでは狭いから、魔物の死体を出しても大丈夫な部屋とかってある?」

「出す? えっと、一応、解体部屋はありますが……。ギルドの外に置いてあるのでしょうか?」


 普通はそう思うよな。アイテムボックスの存在を知らない人にとって、どう説明するか困る。


「オレは物を仕舞える魔法を使えるんだ。それを出すこともできる。こんな風に」


 オレは見せるのが一番だろうと結論付けて、アイテムボックスから一匹のフォレストウルフを出してみせた。


「え? え? えぇえー!?」


 受付嬢さんが初めてマジックを見た人のようなすごくいい反応をしてくれる。


「オレはあと七匹のフォレストウルフとツインヘッドベアの死体も持ってる。それを出してもいい部屋に案内してくれ」

「か、かしこまりました! こちらにどうぞ」


 受付嬢さんが案内してくれたのは、タイル張りの大きな部屋だった。掃除しても落ちないのか、白いタイルは微かに赤く染まっているし、ひどく血生臭い。


 そんな部屋の中で、五人の逞しい男たちが魔物の解体に勤しんでいた。


「解体長! 今よろしいでしょうか?」

「あん? ちょっと待ってろ!」


 意外にも一番小柄なオレとあまり変わらない体躯の男が解体長らしい。


「すみません。少しお待ちください」

「わかった」


 わかったけど、めちゃくちゃ臭いなここ。もう血生臭いというかヘドロみたいな臭いもするし、汚物みたいな臭いもする。マリーたちも顔を顰めているし、受付嬢さんも笑顔を浮かべているけど辛そうだ。口の端がピクピク痙攣してる。


 頼むから早く終わってくれ。


「何の用じゃい?」


 オレの願いが通じたのか、それからすぐに解体長と呼ばれた男が来た。無精ヒゲがよく似合う四十代くらいの男だ。


「こちらの冒険者がフォレストウルフ七匹とツインヘッドベアを持って帰られたそうですが、こちらに置いてもいいでしょうか?」

「あん? ここに来るってことは、解体前だろ? よくそんなに持ち帰ったな。外にあるのか?」

「いえ、魔法で出し入れできるようです」

「はあ? お前疲れてんだろ? ちゃんと休むこったな」


 暗にバカなことを言うなと受付嬢さんが叱られてしまった。ここは実際に見せた方が早いな。


「受付嬢さんが言っているのは本当だよ」


 オレは解体部屋の床にツインヘッドベアの死体を出してみせる。


「なんじゃこりゃ!? どっから出てきた!?」

「説明するのは面倒なんだ。そういう魔法だと思ってほしい」

「とのことです……」

「魔法っておま……。魔法だってそんな便利じゃねえぞ……」


 もう理解するのも疲れたと言わんばかりの顔をしている受付嬢さんと解体長だった。


「フォレストウルフも出しちゃっていい?」

「ああ……。その辺に出しとけ」


 投げやりな態度でそう言う解体長。


「おけ。これの買い取りを頼むよ」

「査定に時間がかかるな。ギルドの酒場で一杯やってろ」

「わかった」

「では、お願いします」


 話が終わったならさっさと部屋を出よう。悪いが、オレが吐いてないことが奇跡なくらいこの部屋は臭い。


 そんな所で仕事をしている職人がいる。めちゃくちゃすごいよね。尊敬するわ。

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