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【バグゲー無双】  作者: くーねるでぶる(戒め)


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028 悪夢再び

 その夜、オレたちはささやかな祝杯を挙げた。


 大いに飲んで食べ、そして自分の部屋で眠る。


 この自分の部屋というのが良いよね。今まで何かと気を使う場面があったけど、ここでのオレは自由だ。相変わらず寝床は藁べッドだが、シーツがあるだけでだいぶ違う。


 そして翌朝。


 オレは昨日買ったばかりの装備に身を包む。艶消した黒に赤のラインが入った装備だ。ステータス画面を確認したら、防御力が大きく上がっていた。やっぱこれが装備の醍醐味だよな。


 腰にダガーを差し、背中に大剣を背負う。これで準備は完璧だ。


「お? おはよう」


 自室のドアを開けると、向かいの部屋からマリーが出てきた。マリーも昨日老婆に貰ったばかりの装備に身を包んでいる。老婆が巫女服と呼んでいたけど、オレにはあまり馴染みはないが、たしかにお祭りで神事で舞ったりする巫女っぽいといえばそう見える。踊り子にも似ているかもしれない。


「おあよ……」


 マリーは相変わらず朝弱いようだな。


 そんなことを思っていたら、オレの隣の部屋の扉が開く。出てきたのはいつものキリッと雰囲気などどこにもなく、猫背でゾンビのように歩くアリューシアだった。


「おはよう、シア。早く着替えて狩りに行くぞ」

「おあよ……」

「ああ……」


 目も瞑ってフラフラしてるし、ちゃんと人の話を聞いているかも怪しいな。


「マリー、シアのこと頼んでいいか?」

「はーい……。さあシア、着替えるわよ」

「うみゅ……」


 自分のことは自分でできるって言っていたんだがなぁ。まぁ、昨日はワインを飲んでいたし、そのせいにしておこう。


 二階の廊下から一階に降りると、香ばしい匂いが鼻をくすぐる。


 キッチンに向かうと、エミリアの後ろ姿が見えた。料理しているみたいだ。


「おはよう、エミリア。朝食作ってくれたの?」

「おはようございます、ヒイロ。簡単なものですが、昼食もご用意しました」

「マジか!? すごく助かるよ」


 その後、やっと目を覚ましたアリューシアとマリーもキッチンに降りてきた。


「わたく……私としたことが、不覚を取った……」

「いい匂い。もうご飯が食べられるの?」

「二人とも、おはようございます。はい。食べられますよ。近所にパン屋さんがあって助かりました」


 たぶん教会式なのだろう。わりと質素な朝食を食べ終わると、オレたちは装備を整えて家を出る。向かう先は王都の南門。その近くにある森だ。


 王都は朝早くから賑わっていた。屋台もたくさん並んでいて、活気がある。人や馬車の往来も多い。ここだけ見ていると、魔族と戦争しているなんて事実は信じられないくらいだ。


 王都の南門から外に出ると、王都に入りたい人々や馬車が並んでいるのが見えた。たぶん、旅人や近くの村から物を売りに来た人々だろう。


 そんな人たちからの列から外れ、オレたちは郊外の森を目指す。


 そのままいつものように整備された森を抜け、腐葉土の蓄積した歩きづらく薄暗い森の中を彷徨うように歩き始めた。


 もういつ魔物が飛び出してきても不思議じゃない。パーティのみんなも黙って辺りを警戒しながら歩みを進める。


「いたぞ」


 最初に小声で呟いたのは、先頭を歩くアリューシアだった。


 オレは静かに腰を落として背中の大剣を引き抜く。


 前方に見えたのは、木の陰から覗く青っぽい肌だった。ゴブリンの肌は緑色のはず。未知の魔物かもしれない。


 知らず知らずのうちに武者震いをし、背筋を気持ちの悪い汗が垂れていくのを感じた。


 馬の頭の被り物をしたアリューシアが盾を構えるのが見えた。


 その音に反応したのか、魔物が木陰から姿を現す。


 まるで悪魔のようなねじくれた大きなツノ。その下には鋭い牙を見せて憤怒の表情を浮かべた顔がある。まさに筋骨隆々と表現するような恵まれた体躯。その肌は青みがかった紫色で、呪術的な意味があるのか、肌には文様が刻まれている。その肌を隠すのは、豪華で重厚な雰囲気を持つ脚甲と籠手、そして白い腰布のみ。


「そんな……」


 以前も見たことがあるボスクラスの魔物だ。そんな魔物が三体もいる。


 前回は、その正体はホーンラビットというウサギの魔物だったらしいが、今回もそうである保証はない。


 だったらどうなる?


 相手はボスクラスの魔物だ。今のオレたちでは勝てない!


 オレは恐る恐るみんなに尋ねる。


 魔物はオレたちを発見すると、力を籠める力士のように大地を踏みしめていた。


「何の魔物に見える……?」

「どうしたのよ、ヒイロ?」

「いいから答えてくれ! 何の魔物なんだ?」

「ホーンラビットですね」

「ヒイロは知らないのか? ツノは鋭いが、弱い魔物だ」

「そ、そうか……」


 この時のオレの感じた安堵は筆舌しがたいものだった。もう少しで気が緩み過ぎてお漏らしするところだったよ。


 しかし、ホーンラビットに出会うたびにこの調子だと、それこそ心臓がいくつあっても足りない。ここは腕輪の力で直しておこう。

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