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7.朔夜からの問いかけ

「人形の声が聞こえるということは…霊感があるということですか?」


朔夜はいつもと同じ、表情を変えることなく淡々と彗星に問いかけた。


「い、今聞くんですね…」


東山のお屋敷から、30分くらいは延々と無言で歩いて帰ってきた。その間一言も話して来なかったのに、自宅に着いた途端、核心をついてくる言葉に彗星は驚きを隠せなかった。


「まあ…道中で話をしていたら誰が聞いているかわからないですからね」


その言葉にハッとした。彗星が人形の声が聞こえるということを、他の人に聞かれたくはないことであると理解し、彼なりに配慮をしてくれていたのだ。


今までの経験上、自分が物と話せるということが知れ渡ると、見ず知らずの人から、不躾に聞かれることが多かったからだ。初めて配慮できる人物に出会ったことで、彗星は驚きすぎて言葉が出なかった。


「すみません、答えたくないならこれ以上は聞きません。私は自室に籠って仕事をしますので…」


「あ、待ってください!答えたくないわけじゃないんです!」


彗星から離れようとする朔夜の着物の裾を慌てて掴んだ。彗星は一息つき、朔夜を見上げ視線を合わせる。


「私を気遣ってくれたことが嬉しくて…ありがとうございます…」


しかし朔夜は何について礼を言われたのか分からず、頭にはてなマークを浮かべていた。


「今まで黙っていてごめんなさい…私は…人形の声が聞こえる…というよりも【物】の声が聞こえるんです…人形だけではなく、万年筆だったり、食器だったり…物たちの訴えたいことを…感じることができるんです」


朔夜はじっと彗星のことを見つめていた。ずっと朔夜の着物をつかんでいることに気づき、慌てて着物から手を放し、朔夜から離れた。


この後に何を言われるんだろう、彗星は不安な気持ちでいっぱいだった。気味が悪い、ウソをついている。大体は悪い言葉しか投げかけられない。


ここで朔夜に否定されしまったらどうしよう…彗星は緊張のあまり自分のスカートの裾を強く握りしめた。


「それは…霊感があるということですか?幽霊が見えたり」


「え?」


またも予想をしていない答えが返ってきて拍子抜けをする。


「え…っと、幽霊は…今まで見えたことはありません。幽霊の声を聴いたことないので…霊感はない…と思います」


「そうですか…今時間はありますか?」


「ええ…ありますけど…」


「なら私の部屋に来てもらえませんか?」


突然の自室へのお誘い。彗星は胸が高鳴ったが、この流れで一体何をする気なのだろうと疑問で頭の中にいっぱいになった。


朔夜の部屋は日の光が当たらない平屋の突き当りにある。ぎしぎしと軋む床板を鳴らしながら朔夜の後をついていく。


以前は自室に入ることを拒否したのに一体何故このタイミングで…色々な疑問が頭の中を駆け巡る。


朔夜は自室の障子の前に立ち、一度彗星の方へと体を向ける。


「…驚かないでくださいね」


朔夜はゆっくりと自室の障子を開けた。

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