4日目 買い出し
モブを初撃破した日の翌日である
珍しく学校からお送りしようと思う
今、現在進行系で授業中真っ只中なのだが、頬杖をつき、黒板ではなく窓の外を眺めたまま思考の世界に入っていく
ーーー昨日の帰還後、なにか異質な物を盛られた線を捨てきれず、理科でお馴染みの水分飛ばして再結晶を試みたが
結局何も得られなかった
原因がわからないとなると、大変面倒である
常識どおり水分は必須事項
遠征出来ぬ事は当たり前、下手したら激しい運動を避けねばならない
のどが乾かぬよう、ちまちま歩くなんてことをすれば、調査に莫大な時間を要する
俺はそこまで辛抱強くない
飲水の確保か~、、、
そして話はだいぶ変わるが、武器の装備も必須だ
昨日の体験を元に考えて、石や水筒といった鈍器より、剣や槍の鋭利な物が有効なのだろう
当たり前だが、そんなもの家のどこをほじくっても、出てくるはずがない
消費社会が進む現代、不足分は、大量購入で補うのが鉄則である
よし、今日は買い出しに行くとしよう
彼は心のなかで、強く強く決心した
ーーー
相変わらずの速さで、学校を飛び出し家についたら、支度を済まし再び外に出る
行き先は、だいたい授業中に決めた
だって、半滅するほど退屈だったんだもん、、、
まあ、そのことはおいといて、
正直、剣や槍が、デデンと、売ってるとは、思えないが
なにか武器になりそうなものを売っていそうという観点から、ホームセンターやら、コーナンとやらがいいのだろう
そういう類の店は、よく耳にするが、自分から行こうとする店舗じゃない
つまるところ、何が売られているか、そもそもどこにあるのかさえ知らない
アプリのマップで検索し、経路を表示した状態のまま、相棒に据え付ける
準備が整ったので、相棒を漕ぎ出す
スマホの道順通りたどるだけで、目的地に着いた
つくづく便利な世界に生まれ落ちたものだと思う
自動ドアから店内に入り、特に考えることなく、そのまま真っ直ぐ歩いていたら、想定外の広さに、つい驚愕する
思いがけず、使用できるものが発見できるかもしれないから、一通り見て回ろうと決めていたのだが、全てに目を通すだけで日が暮れてしまいそうだ
流石に範囲を絞って目的の物を探そう
上に掲げている商品紹介を頼りに探し始める
ひとまず、工具っぽい所から探す
チェンソーやドリルといった馴染みのあるものから、刃があちこちに付いていたり、へんてこな形をした、存在すら知らぬものまである
今度は、ネジやボルトなど細やかな部品
俺ごとき素人には、正直同じものが陳列されているようにしか見えない
更にウロチョロと捜索していると、木の板がドン、デンと効果音が聞こえてきそうなほどに置かれていた
こんな贅沢なスペースの使い方は、ここらでしか見られないのだろう
他にもニーズに合わせて様々な大きさに切られた木の板が壁に立てかけられていた
「こんなもん、売ってんだ、、、。」
机でも椅子でもない、何の変哲もない、ただの木の板が販売されてる事実に驚愕する
てっきりDIYって、山まで赴いて、材料揃えてくんのかと思ってた、、、
次にキャンプコーナーにさしかかる
テントやハンモック、調理器具にコンロ、あらゆる場所に対応できるような、様々な品揃えであった
商品が目に入るごとに、あったら便利だろうなとか、優雅なひと時を過ごせるだろうなとか、妄想が広がっていく
だが値札が目に入るや否や、それは幻想としてぶち壊されていく
「高け~」
並みの高校生じゃ手を出せない値段
そうとう好きじゃなきゃ踏み出せないレベル
異世界でのキャンプ生活は、、、夢のまた夢らしい
こんな感じで、珍しい物があれば、立ち止まって鑑定し、期待がもてるものはとりあえずかごに入れ、そうでなければ、さっさと進むを永遠繰り返す
工具、家具、器具あたりは全部制覇した
今の所使えそうなのは、包丁、サバイバルナイフ、トンカチ、斧に、農具用の鎌と鶴嘴
意外と武器になりそうなものはなかった
もしかしたら、長い時間をかけた割に大したことなくね、と思うかもしれない
だが、これでも必死に探したのだ
むしろ集中しすぎて
「殺傷力低いなあ~」
と呟いて、周りの客から引かれたからな
殺人者扱いするような白い目で見られたぜ
まあ何はともあれ、通報されることなく、無事購入できた
レジ打ちの人、商品をバーコードで読み込むごとに表情が強張っていき、警戒する目で見られた気がするが、、、気にすることはないはずだ
帰宅途中で補導されることもなく、家につき
戦利品を床に広げるだけで満足し、結局この日は異世界にいかずに終える