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異世界召喚

体が勝手に吸い込まれた感覚がして、、、どうなったんだっけかな、、、


不思議な感覚に襲われ理解が追いつかず、反射的につむってしまった目を開いた時には、見知らぬ光景が広がっていた

後にも先にも見覚えのない風景

前方には、一面の草原、右手には川が流れ、左手には山脈が連なっている

何度も見渡し、記憶を掘り起こそうとするも

結局無意味に終わる

本当にどこだここ、、、

しばしこの身に起きた不可思議な現象に頭を悩ます

そして一つの答えにたどり着く


、、、どうやら、、、別世界、、、世にいう異世界とやらに召喚されてしまったらしい


誠に信じられぬ現象だが、頬をつねると痛いので夢や幻想などの類ではないようだ

それに今しがた起きた現象を「「異世界転生」」と称する以外にしっくりくる呼び名がない


フウ〜


草凪は大きくひと呼吸つき、心を落ち着かせる


落ち着いて現状確認しよう

召喚された地は、高原とでもいうのだろうか

草は禿げ、石が剥き出しな場所

先程、高原と呼んだように、幾らか標高は高いようで、少なくとも周辺は一望できる立地である

背後には、あの禍々しいゲートが鎮座している

それを目にした時、ふと思いつく


帰れるのだろうか、、、?


一番の不安要素とは、現世との繋がりを遮断されることである

漫画やアニメの世界でしかないが、不本意に召喚に応じてしまい故郷に一生戻れないなんてことは往々にしてよくある

だが俺に限っては、召喚の引き金となったゲートは、いまなお存命だ。戻れるかもしれぬ。

現世に復帰できるか確認するべく、もう一度ゲートへ手を伸ばす

膜に触れるか否かで、また体が吸い寄せられる感覚に陥る

そして、気づいた時には、見覚えのある空間で、つっ立っていた


「あっ、戻ってきた。」


帰還できたと理解した時には、もう既に身体の召喚は終えている

このように、瞬間で現世と異世界を行き来できるらしい

そして召喚のトリガーはゲートに触れること


体に異常がないか、目線を落とす

異なる空間の横断には、何かしら副作用が起きるのではと不安だったが杞憂だったらしい

今のところ一切怪我はない


フウ〜、と深く長いため息をつきゲートへ目を向ける

しばし呼吸を整え、もう一度膜に触れる

想定通り先程同様の景色が一望出来る位置に召喚される


あんなに禍々しいオーラを放つからてっきり地獄にでも突き落とされるのかと思っていたんだが、、、


あまりに平穏な世界に面食らいながらも(あた)りをさまよい始める

結構な高所ではあるが、下山時に骨折の心配はしなくて良い程なだらかなのが救いだ

言うなれば、段ボールを尻に敷いて下るのに最適な坂、って感じだろう

まあ、出発点からゴツゴツの岩だけど、、、


斜面を下り、平坦な地に足をつける

ふと振り返って、初期地を見上げる


結構下ってきたもんだな、、、

普通(ゲーム内)、リスポーン地を土で積み上げたりして目立たせるもんだが、、、

もうすでに目印の目的果たしてるし、見た感じ3つのバイオームあるし

もうこれ神立地じゃね?


様々な環境が入り混じって飽きぬだろうし、遠出で迷走する心配も薄れ、初期リス(リスポーン地点)の立地の良さについテンションが上がる


いったん心を落ち着かせ、視線を草原の方へ向け直す

見渡す限り一面の草で所々に木が育っている

普段ビルや住宅に囲まれて過ごす俺にとって、あたり一面が自然オンリーの風景はとても新鮮に映った

そんな眺めを堪能しながら調査をする

ときに草を引きちぎってみたり、木に登ったりもした

しばらく、なにか物珍しいものはないかとうろうろしていたら、前方の遠くの方に何やら白いものが目に入る

一面芝生だからよく目立つ、それに動いているようだ

物体の正体を確認すべく足を進める


白い塊が段々とくっきり、はっきりと映っていく


「メエ〜〜〜」


何やら聞き覚えのある声

手に触れる距離までいかずとも認識できた


「羊だ」


もこもことした毛を生やした動物は群れながら呑気に草を食べていた

見た感じ現世と全く遜色ない姿、形をしたものだった


どうやら異世界にも現世に共通するものが存在するらしい

もしかしたらこいつも迷いこんだ身なのかもしれない


不思議と親近感が湧き、不安な感情が薄れ、強張った筋肉も次第に緩んでいく


もう少しよく見てみたいと欲が出たのが、悪かったのだろう


「メエ〜、メエ〜、メエ〜」


さっきとは異なる、警戒の混じった鳴き声を何度も浴びせられた

俺を向いて威嚇する様子に、異様さを感じる

動物園やら動画やらで見るノホホンとした様子とは、まるで真反対な自分の身の危険すら感じるほどの圧倒的な敵意

つい後ずさりしてしまった

違和感を特定するべく、しばらく頭を悩ました末、一つの答えにたどり着く


「そっか、、、野生化してんのか、、、」


全く人気(ひとけ)のない場所で人類とかいう種は、彼らにとって異国で異常で排除の対象なのかもしれない

そもそも、家畜などといった人間の所有物などではないのだ

彼らにとっては、これがごく自然で、あるべき姿なのかもしれない、、、


もしかしたら出身が同じ世界かもしれぬと早とちりし、仲良くなれるのではと期待したのだが、、、

だめだったか、、、


はあ~、深くため息をついた後

ふと右腕に視線を落とす、巻きつけられた機械が指し示すその数値に驚愕する


「やっべぇ」


もうすでに7時を超えていた


「ここが明るいからつい時間を忘れてた、、、」


急いでもと来た斜面を駆け上り、現世に戻り、通路を抜けた時には、もうとっくに日は暮れていた

暗闇と静寂に包まれた神社を、何か出るのでは?、と怯えながらも相棒(自転車)まで駆け寄り

無事に家に帰還した

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