営み
ボクシング世界王者【イリナ・ネドフェス】対、挑戦者【竹裕】。
ここで、両者について略歴を書いておこう。
竹。栃木県生まれ。ハリウッド映画に看過され中学卒業と同時に渡米。役者としては芽が出なかったが、運動神経が良かった為、アクションシーンの実験体によく呼ばれた。急にボクシングを始める。KOはしたこともされたこともなく、十六戦十五勝一引き分け、勝ちは全て判定勝ち。
イリナ。オーストラリア人の両親の元、日本で育つ。ボクシング部で高校一位になり、プロになってからKO勝ちで十七戦全KO勝ち!!
ゴングが鳴る。カーン!
「さぁ、始まりました! 王者イリナによる、初防衛戦! 実況はわたくし【蟹・F・サラエボ】で、解説には元王者【フランシス・エビナシア】!」
「ヨロシクオネガイシマス」
「お互い出方を見ていますか?」
※ここからはカタコト止めます。読みやすさ重視で書きます。
「そうですね。イリナのパンチは危ないですから」
「おっと! 竹、イリナに近寄る。竹は積極的にいくしかありません!」
「イリナが狙ってますよ!」
「ジャブ! 竹が先制! しかし、ダメージはゼロでしょう! イリナがパフォーマンスでもっと撃ってこいと!」
「はは、イリナらしいですよ」
「竹は、おっとイリナ、フック、しかし、外れました! 竹、カウンター! ストレートがイリナのボディに入った! しかし、あはは、またしても撃ってこいとパフォーマンス。竹、お前も撃ってこいとパフォーマンス! これは会場ドッカンです!」
「確かにイリナは手数が少ないですね」
その後、両者積極的にと審判から注意を受け、五ラウンドまで激しい攻防を繰り広げた。しかし、竹の方がやや優勢に見えた。
と、感じさせて、イリナの作戦は成功。判定勝ちばかりのボクサーでKOされる事はないと、事前にコーチと話してて、まさにその通りだった。
更にイリナは強力なパンチを封じて相手が懐にはいるのを待っていた。
そこに!
「イリナ!! 強烈なストレート! 竹、三メートルくらい飛ばされた! これは!」
カンカンカン!
「見事、チャンピオンのイリナ、初防衛です! イリナには【マーダスファミリーの一味に加わる事】ができます!」
マーダスファミリー、世界一の民間人グループである。そこに加わると大概のことは叶う。