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阿武松

「ウヒャヒャ、こりゃ参った」

 ヤーマは負けを認めて座布団を運んで来た。

【座布団4枚獲得!総座布団数86】

「お、こいつ結構持ってやがったな」

 その上に座る与太郎の背中を、ドーンと突き飛ばしたヤーマであった。

 一応、この宿を拠点にすることにして、翌日からチャザの町の探索に出た与太郎とキセガワ。どうやらこの町は相撲が盛んらしく、通りの至る所に相撲のぼりが立っている。往来を行く力士の姿もちらほら見かけた。

 歩き回って腹が減ったので、目に付いた一膳飯屋に入ることに。

「えっと、この店の名物はっと。何々、ご飯定食?白ご飯に、味噌汁と丼飯が付いてくる」

「隣の金物屋さんでも、今なら鋏を買うとご飯が付いてくるんですって」

 隣のテーブルでは、もの凄い勢いで丼飯をかき込んでいる力士がいた。

「凄いわね。お相撲さんというのは、白ご飯だけでどれだけ食べるのかしら」

「おいおい、あんまり食べると体に毒だぜ」

「何のこれしき。まだ7升8杯しか食べていないでごんす。これでは負け越しでごんす」

「それを言うなら7勝8敗だろ?」

「どれだけ食べたかを競う相撲でごんす。最低8升は食べないと勝ち越しにならないでごんす」

 この人は阿武松という相撲取りということだった。

「優勝する人は一体どれだけ食べるのかしら」

「横綱コンピカリ関は、15升食べるでごんす」

 その名前にキセガワが反応した。

「コンピカリ!妖喜利六将軍の一人だわ。この町にいたのね」

 やがて与太郎達の注文したものが運ばれてきた。

「うん、うまい米だ。こいつをおかずにご飯三杯いける」

「バカ言ってないでよ。何かおかずはないの?」

「カツオのたたきならあるでごんすよ」

「あら、いいじゃない」

「カツオをカツオ叩き棒で叩いて伸ばして、パン粉を付けて揚げたものでごんす」

「…ご飯だけでいいわ」

 それでもお米は二人が食べたことがないくらい美味であった。

「ふーっ、食った食った」

「ねえ、阿武松さん。私達、横綱コンピカリに用があるんだけど、あなた横綱がいる所をご存知でないかしら?」

「あんれ、お前さん方、そったらちっこい体で横綱と食べ比べするっちゅうだか」

「そうじゃないんだけど」

「だったらアレだな。お前さんマヌケ面してるでごんすからなあ。でも横綱と勝負するくらい強い人なら、わしもお前さんと勝負してみたいでごんすよ」

 阿武松との妖喜利バトルだ!


【妖喜利バトル】

 キセガワよ。ふう、お腹がいっぱいで眠くなってきちゃった。でも妖喜利となれば眠ってはいられないわね。眠気を吹き飛ばす、熱い妖喜利行くわよっ。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 客の来ない定食屋が始めた新サービスとは?

(与太郎の回答)

 デザートのサルの脳みそを無料にした。

 …その前にそれをやめなさい。


 ※阿武松…第六代横綱阿武松緑之助を描いた古典落語の演目。

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