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あやかし妖喜利物語〜転生したら笑点だった!?妖怪笑わせて座布団100枚目指します〜  作者: いもたると


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38/53

いたりきたり

「うむ。まあまあじゃな」

【座布団一枚獲得!総座布団数74】

「それじゃ、そのいたりきたりってのがいる所まで案内してくれるんだな」

 ラクダジョオウの案内で、複雑な宮殿の中を行ったり来たりして、ある部屋に辿り着いた。

「ここが、いたりきたりが反魂香を守っている部屋じゃ」

 扉を開けると、宝箱が沢山あった。その前を、フェレットみたいな動物が大勢行ったり来たりしていた。

「この中に一匹だけ本物のいたりきたりがいる。そいつが守っている宝箱が、反魂香が入っている宝箱じゃ」

「みんな同じに見えるが。こいつか?」

 与太郎はヒョイと一匹摘み上げた。

「それは、だしたりひっこめたりじゃ。ほれ、舌を出したり引っ込めたりしておるじゃろう」

「本当だ。何かバカにされているみたいだな」

「ほれ、早く探さんと女が危ないぞ」

「ちょっと前に何かこんなのやったぞ!?」

 文句を言わずにいたりきたりを探さねばならない。

「こいつか?足をドタバタやってる」

「それは、ふんだりけったりじゃ」

「このチカチカしてる奴は?」

「それは、ついたりきえたり」

「このエサを食べてる奴は?」

「それは、のんだりくったり」

「このぐうたらな奴か?」

「それは、ねたりおきたり」

「この分身の術を使う奴じゃないか?」

「それは、ふえたりへったり」

「この偉そうな奴でどうだ!」

「それは、なかとみのかまたりじゃ!」

 与太郎は部屋の中を行ったり来たりしながら、片っ端からいたりきたりを探した。だが、驚異的な運の悪さを誇る彼は、なかなか正解に辿り着かない。

「くあ〜っ、一体、どいつがいたりきたりなんだ」

 頭を抱えてうずくまってしまった。

「ああ〜、この中に本物のいたりきたりがいたら、返事をしてくれ!」

 すると、宝箱の前を行ったり来たりしていた、ある一匹が立ち止まってこちらを見た。

「呼んだ?」

「え?」

 そいつの所に近付いていく。

「お前、いたりきたりか?」

「そうだよ」

「じゃ、お前が守っている宝箱には、反魂香が入っているんだな」

「正解」

「…………、何だったんだ、今までのは」

「反魂香を取る前に、オイラと一丁勝負しようや」

 いたりきたりと妖喜利バトルだ!


【妖喜利バトル】

 キセガワよ。灯台下暗しとは、このことね。以外とシンプルなのが、一番の解決策ってこと、あるわ。それじゃ妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 今回の問題は「◯◯たり◯◯たり」を利用します。何か言った後に、◯◯たり◯◯たりを付けて、面白い文章を作ってください。

(与太郎の回答)

「男と女の関係は、騙したり騙されたり」

 …与太郎の場合は、なかったりなかったりじゃないの?


※いたりきたり…桂枝雀師匠の創作落語。

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