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次の火曜日は特に問題もなくやってきて、衆人無視のうちにボストンバッグの落下実験は終了した。
どの教師からの咎めもなかった。
その翌週には見えない視線の痛さがわずかだったが和らいでいた。
実験目的を知って興味が薄れてしまったのか、あるいは単にわたしの実験に飽きただけなのか?
ボストンバッグの落下だけが、毎週火曜日の朝に律儀に予定通り進められていった。
それでわたしはそろそろ頃合なのかな、と思った。
ここまでは最初に思った以上に上手くことが運んでいた。
甲木新吾という予定外の邪魔者が現れはしたが、わたしの実験はようやく誰の気も惹かなくなってきたようだ。
だから、わたしは自分の残酷さを確認するための生贄を探す作業を開始することにした。
それがこの実験の第二ステージだった。