4/21
4
その火曜日中、甲木新吾は自分からわたしに何かを問いかけには来なかった。
翌日、さすがに気になってきたので、わたしの方から甲木新吾に尋ねてみた。
体育館一階の理科教室へ移動するときのことだった。
「何も聞こうとしないのね」
「聞いたら答えるか?」
「たぶん答えない」
「だろ、だから聞かない」
「じゃ、逆に聞くけど答える気ある?」
「内容にもよるな」
「どうして、わたしを手伝うわけ?」
「面白そうだから」
「どうして面白そうってわかるのよ?」
「そんなの知るもんか!」
わたしは思わず、おまえは馬鹿かと叫びたくなったが、気持ちを抑えた。
そのときの会話はそれで終わった。