表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロード・オブ・キマイラ  作者: 詩海青登
4/6

第一章・森に紛れる半竜 3

 生物兵器・ドゥオの討伐隊を率いるビリーは、これまでにない嫌な汗を流していた。

 湾岸戦争で戦死した父の意志を継ぎ、アメリカの為、大義の為に国に従い、銃を手に幾度もの戦場を渡ってきた。数え切れないほどの恐怖と悲しみを乗り越え、多くの功績を残してきた彼は、今はアメリカの為、ひいては世界の為に、人類を脅かす人造生物(キマイラ)たちと戦うことを己が使命と定めた。都市を襲う人造生物を駆逐し、人々を守る為に部隊を率いて、最前線で戦ってきた。

 そんな彼が、有りたいに言えば焦っていた。

 不意打ちで二人を銃撃してきたあの人造生物は、そのまま森の中を飛行し、どこかへ消えた。

 そして、何もなかったかのような静寂に包まれた暗い森の中で、ヘルメットに内蔵された特殊なカメラで赤外線レーザーを見たらしき隊員の一人が自分を庇って撃たれ、銃で応戦した二人の隊員が一瞬で首を撃たれた。防弾チョッキやヘルメットで守られた急所ではないが、出血に加え、呼吸困難になって藻掻く隊員たちを、どうすることもできなかった。

 腹ばいになり、敵に顔を見られないようにすることしかできなかった。

 腹ばいになってからレーザーサイトの赤外線レーザーが見えないあたり、恐らく敵は目視による狙撃に切り替えたはずだ。ならば今は耳を澄ませ、奴が狙撃ポイントに行く物音を聞き分けなければならない。

 そうして精神を研ぎ澄ましていた時、ビリーの嫌な汗がドッと増した。

 何か、今まさに死の危険に瀕していることを、ビリーの第六感が捉えた。

 ビリーは知る由もなかったが、彼は既に敵の手中にはまっていた。

 見えざる()()が、ビリーの首筋を捉え、死神の鎌の如く必殺の一撃がその命を絶とうとしたその瞬間。

 タンッタンッという木の幹を蹴る音とともに、銃声が響いた。

 その銃声に交じって草を掻き分ける音が聞こえた。予想外の方向からの銃撃に、敵は撤退を選んだようだ。

「よっと」

 聞き覚えのある声とともに、乱入者は木の幹を蹴りながら追跡を開始した。

「・・・。あれが人類最後の希望か・・・。」

 得体のしれない殺気から逃れたビリーは安堵の息を吐き、負傷者の応急処置に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ