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ロード・オブ・キマイラ  作者: 詩海青登
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第一章・森に紛れる半竜 1

 カナダとアメリカの国境付近、北のハドソン湾と南の五大湖に囲まれた世界最大級の原生林・ノースウッズの一角。そこが今回の作戦区域だ。私たちの部隊は作戦の拠点となる五大湖にやってきた。

 今はミシガン湖のほとりに簡易テントを幾つも張り、そのうちの一つで作戦会議を行っている。

 先に到着していた数人の兵士と一緒に折り畳み式のテーブルの上にプリントアウトした資料を並べていると、軍服に身を包んだ屈強な男たちが入ってきた。

「これで、全員か。ニック、標的の情報を」

「はい。オハイオ州での最初の目撃情報に始まり、標的は北へ移動。その間、現地警察及び米軍の特殊部隊が数度に渡って討伐を試みましたが、いずれも失敗。死者・重傷者は既に100名を超えております。ミシガン州北部での目撃情報を最後に、それ以降の目撃情報は無し。その後数年間消息を掴めていませんでしたが、先日、衛星がノースウッズの崖にいる標的を発見。ノースウッズは針葉樹が茂り、無数の湖が点在している秘境であることから、人目に付くことは無く、森の中ならドラゴンに捕食されるリスクは低いことから、標的が住処にしている可能性が高いと、研究者たちは考えているようです。冬が近づくこの時期なら尚更。それで、標的の情報についてなのですが」

 監視カメラや新聞記事の切り抜きを張り付けたアメリカ地図を指さしながら説明すると、ニックは自分に視線を向けた。今度は封筒に入れられた標的の資料を取り出し、地図の上に並べた。そこには、監視カメラの写真と同じ顔、同じ服装の人造生物(キマイラ)が映っていた。

「標的の名前は"ドゥオ"と言い、軍事用の生物兵器として造られた人間とドラゴンベースの人造生物です。I.C.Cによる高い身体能力と回復力を備えていますが、一番の特徴は、皮膚の色を自在に変える擬態能力で、周囲の景色と同化することで人の目を欺くため、発見は困難です。他にも、尾が毒蛇になっており、毒牙はもちろん、赤外線を感知するピット器官や優れた嗅覚を持つため、非常に高い索敵能力を持っています」

 そこまで説明したところで、兵士の一人が苦虫を嚙み潰したような表情で首を振った。見た目にしろ能力にしろ、複数の生物を無理やり足したような奇怪な生物がうろうろしていることに気味の悪さを隠せないのだろう。恐竜のことは大好きでも、ゴルゴンやスフィンクスが好きな子供はいないのと同じだ。

「ドゥオは5年前の研究所襲撃の際に発生したバイオハザードの時に研究所から脱走したのは周知のとおりですが、その際にサプレッサーと赤外線式のレーザーサイトがカスタムされたハンドガンと、多数のリモコン式の小型爆弾を持ち去ったそうで、弾丸を補充して、今も装備している可能性は極めて高いと思われます」

「ご苦労。総員、もう一度装備を念入りに確認しろ。10分後に突入する。ただでさえ我々はヤツより足が遅い。雪が降る前に仕留めるぞ」

 了解。と、数人の兵士の声が響く。かく言う自分も、選ばれたメンバーである。

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