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イケメン妖怪ハンターリックの冒険シリーズ最新版

イケメン妖怪ハンターリックの冒険最新版 傾国のバインカ

作者: 神村 律子

 リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターです。


 ここしばらく、いい感じで妖怪退治ができているので、いつもと違って金銭的に余裕があります。


 そのせいで、歓楽街を通りかかると、ついつい綺麗なおねいさんが気になってしまい、


「お前様!」


 美人幼な妻の遊魔の真・かかと落としをまともに食らって、生死の境を彷徨さまよったりしています。


 そんなリックと遊魔を尾行している女がいました。


 美人です。リックが見たら、間違いなく口説いているレベルの美人です。


 しかも、スタイルが抜群です。都○伝説の女くらいの美脚です。


 でも、決して名前は「ユリコ」ではありません。


「やっと見つけた。覚悟するがいい、スケベ猫又め」


 女はニヤリとすると姿を消しました。


 リックはそれには気づかず、別の美人に声をかけ、今度は遊魔の真空飛び膝蹴りを食らっていました。


(このままでは、僕は死んでしまうにゃん。遊魔を怒らせない術を編み出すにゃん)


 良からぬ事はすぐに思いつくリックです。スケベを治した方がいいと思う地の文ですが、リックがスケベでなくなったら、個性が死んでしまって、このお話の主役を降板するしかなくなります。


「それはダメにゃん! 僕はこのシリーズで只一人、樹里様以外に主役を張れる存在にゃん! 降板なんて、絶対にダメにゃん! 全国一千万人の僕のファンの女の子が寂しがるにゃん!」


 誰もいない空間に向かって叫ぶリックです。お医者様に診てもらった方がいいと思う地の文です。


「ずるいにゃん!」


 都合が悪くなると存在を消してしまう地の文に切れるリックです。


 リックと遊魔は次の妖怪の居場所を役所で教えてもらうと、その妖怪がいるという村へ向かいました。


「急ぐにゃん、遊魔。妖怪は今日もまた若い女の子を食おうとしているにゃん!」


 リックはだらしなく口を開き、よだれを垂らしながら言いました。


「はい、お前様」


 遊魔は笑顔全開で応じました。純粋な遊魔は、まさかリックが妖怪退治ではなく若い女の子目当てだとは夢にも思っていません。


 早く遊魔に真相を教えようと思う地の文です。


「ダメ、絶対!」


 某CMばりに真剣な表情で地の文に切れるリックです。


 


 しばらく進むと、道端に若い女性がうずくまっているのが見えました。


「どうなさいましたか?」


 いつものスケベ顔を封印し、イケメン全開で声をかけるリックです。


 遊魔もそのイケメンパワーにやられてしまい、


「お前様あ」


 ふにゃふにゃになってしまいました。


 蹲っている女性は、チャイナドレスを着ています。深いスリットの間から、美しい脚が見えています。


「おおお!」


 リックはそれを見てイケメンパワーを喪失しました。いつものスケベ全開です。


「大丈夫ですか?」


 エロい顔をして、脚をさするリックです。


「はい。持病のしゃくが……」


 女性は苦しそうな声で言いました。


「それはいけない。そこの宿で介抱して差し上げましょう」


 リックはひょいと女性をお姫様抱っこすると、スタスタと宿へ歩き出しました。


「申し訳ありません、助かります」


 女性がリックに顔を上げました。


「おおお!」


 見目麗しいを立体化したらこんな顔だというような美人です。


(これはさすがの樹里様も負けたかも知れないにゃん)


 間接的に樹里をディスるリックです。


「お前様!」


 遊魔はそれを見て気力を回復し、リックを追いかけました。


 しかし、リックは素早く、遊魔はリック達を見失ってしまいました。


「お前様!」


 遊魔は気を解放して、怒りを爆発させました。


 


 遊魔がスーパー○イヤ人のようにパワーアップしている頃、リックは女性を抱きかかえたまま、その宿で一番の部屋に着いていました。


「はああ……」


 寝台に女性を寝せると、女性が吐息を漏らしました。


「しっかりしてください」


 リックは女性の脚をさすりながら、エロい顔で言いました。


「息ができなくなりそうです。お助けください」


 女性は口を突き出して、リックを誘惑しました。


「今、助けますにゃん」


 リックも唇を突き出して、女性の口に吸い付きました。


「ほがあ!」


 すると、女性がリックの口をまるで某ソンのような吸引力で吸い始めました。


「ぶへえ!」


 リックは自分の妖力を吸われていくのに気づきました。


(よ、妖怪?)


 涙目で女性を見るリックです。 すると女性はニヤリとして、


『ようやく気づいたかい? でも、もう遅いよ』


 リックの心に話しかけてきました。


『誰にゃん?』


 リックが尋ねます。


『私はバインカ。以前、お前に殺されたプントラの娘さ。父親の仇だ、あんたを干物のようにして殺してやるよ』


 女性の顔が凶悪になりました。


『びいいい!』


 リックは必死になってバインカから離れようとしますが、バインカの吸引力は凄まじく、びくともしません。


(ああ、力が入らなくなってきたにゃん……)


 リックの頭の中に走馬灯が駆け巡り始めます。どうやら最終回のようです。


(ダメにゃん! まだ続くにゃん! 世界中にいる僕のファンの若い女の子十億人が悲しむにゃん!)


 あまりにも人数を盛り過ぎたので、言葉を失ってしまう地の文です。


 その時でした。


「お前様!」


 遊魔がパワー全開で飛び込んできました。


 遊魔の目には、バインカとリックが熱烈なキスをしているように見えていました。


「お前様!」


 遊魔の渾身の超・踵落としが炸裂し、リックとバインカ諸共、寝台を破壊してしまいました。


「ぐへえ!」


 その衝撃で、バインカの吸引力が落ち、リックは離れる事ができました。でも、絶賛気絶中です。


「ひいい!」


 バインカはチャイナドレスが破れ、中から醜い肉の塊がブヨブヨと飛び出てきました。


 どうやら矯正下着でスタイルをごまかしていたようです。顔は妖術で変えていたのでした。


「覚えてらっしゃい!」


 バインカは周囲にあった布をひったくると、身体に巻きつけて、逃げて行きました。


「お前様、何をしておいでなのです!」


 遊魔はバインカの存在を完全に無視して、気絶しているリックにトドメを刺さんばかりに首を大きく揺すりました。


 こうして、妖怪バインカは一応退治され、リックはまた報酬を受け取りましたとさ。


 めでたし、めでたし。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全国一千万人のファンのために、続編も頑張って書いてください!
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