閑話 五号の価値 (1)
初!閑話 どうしよう。長くなっちゃった。(´・ω・`)
「ねぇ、なんで五号じゃあダメなんだい? アレなら、必ず成功するだろ?」
「あぁ、五号ならば、必ず成功する」
「なら、もうやっちゃおうよ?」
「ダメだ、順番にする」
僕は、この時は、分かっていなかった。
成功確率百パーセントの方ではなく、五十、二十五、十、五、どんどん少ない方を優先していることが。
なぜ?
どうして?
質問を投げかけ続けた。
だけど、いつも
「その方がいいからだ」
としか言われなかった。
理由じゃない。
僕の求める答えじゃない。
でも、ある日。
「そこまで気になるなら、教えてやろう」
その言葉に歓喜した
「理由は」
理由は?
「質だ」
は?
「百パーセントにするために、安全性を考える必要がある。 それが、本来の力の枷となる。
本来なら、神から生まれたときに賜るものを、我々が手にするには、大きすぎた。
だが、それを詰め込む器を作ればどうだ? と、我々の前の人が考えた。
一人でダメなら二人、二人でダメなら三人、そんな感じで、犠牲が増えていく。
根本的なところ、人間では容量が足りない。ならば、容量の足りるものがあればいい。
最初はそれだけだった。研究が進むに連れ、考えは原点に戻った。
「人間に収めれるようにすればいいのではないか?」と」
馬鹿げていた。
また問題は、振り出しに戻っているじゃないか
「そこで考えた。
魔獣ならば容量が足りて、人なら足りない。
ならば、人と人ならざる者を合わせればいいのではないか?
何、簡単な足し算だ。三入れる為には、三空いた容器が必要だ。人間が一だとして、魔獣が三。だけど、人に入れたい。それなら、足りない二を魔獣から取れば良い。
それで出来たのが、アイツらだ。その中でも五号は、一番人間に近い存在だ。この意味が分かるか?
アレは、何とも掛け合わされていない、いわば人だ。そのため、人に入る部分しか入らない。
だから、一番リスクがなく、一番弱い」
やっと理解が出来た。
僕らが欲しいのは、安全性ではなく、質。
より良いものを求めている。
なら、確率が低いのはどうして強いのか。その理由は、足りない容量の分の魔獣を混ぜているからだ。
人間と魔獣の混合生物という実験があったことは、知っている。それが成功する確率が、天文学的なものだということも。
「一番確率の低い四号に、何を混ぜるか知ってるか?」
「いや、知らないよ」
「守護龍だ」
「守護龍って!?」
「その中の焔を司る龍」
「どうして、そんなものが?」
「分からん」
分からんで済むことじゃないだろう!
失敗なんてできない。一度使われた魔獣は失敗すればそこで死ぬ。だから、失敗は守護龍の死を意味する。
「成功しか許されない。この国の為に」
五パーセントを引き当てる程、僕らは運は良くないんだけど。
「やるしかないのかぁ」
「あぁ」
嫌だなぁ
◆ ◆ ◆
四号は無事成功。
五号は使われず廃棄処分。
後は、四号が力を目覚めさせれば良い。
その筈だった。
一向に力は目覚めず、記憶喪失。
それはいけない。だから、僕に白羽の矢が立った。
五号がどこにいるか、四号はどうかを確認していた僕に、力を目覚めさせろと。
無視してやりたかった。
だけど、上には逆らえない。
だから、とある条件を出して僕は引き受けた。
その条件は
【研究所と五号の使用許可】
僕は、五号を使って、四号に力を目覚めさせようと考えた。
(1)としているように、増えます。
ですが、次回は本編です。