少女と学園
やっと、入学式が終わったようですね。
「ルージュぅ、やっと終わったねぇ」
「そうだね」
「各生徒は、指定された教室へ移動してくれ」
「行こっかルージュ」
「えぇ」
私の教室は……あった!
「ねぇねぇ、せーので言おうよ!」
「じゃあ行くよ」
「「せーの」」
「「1-6!!」
どうやら、ユアンも同じだったみたいですね。
「やったぁ! ルージュと一緒だ!」
「よかったぁ、せっかく仲良くなれたのに、離れることになっちゃわなくて」
「一緒に行こうよ!」
「もちろん!」
◆ ◆ ◆
「よぉ、俺がテメェらひよっこ供の担任になっちまった哀れな男、ハロスだ。まぁ、ウチは教科ずつセンセが付いてっから覚えていてもいなくてもいいぞ」
あれが私達の先生……
何でしょうか、お父様と似たようなものを感じます。
「それじゃあ、校内を案内するんだが、テメェらは赤ん坊じゃあねぇだろ。限度を考えて自由行動しとけ。
ここに戻ってくんなよ、そんまま寮に移動しろ。大広間に部屋割図があるはずだからそれ見とけ。
そんじゃ、かいさーん」
「ねぇルージュ、寮も一緒かな?」
「一緒がいいかなぁ」
「そうだよねぇ」
ユアンと一緒にどこから回ろうか考えなければいけませんね。
「どこから行く?」
「うーん、大広間は最後に行くとして、まずは、運動場に行こっか」
「さんせーい!」
◆ ◆ ◆
「ルージュはさぁ、どうして騎士になろうと思ったの?」
どうして騎士になろうと思ったか……
私は、
「私は、昔読んだ本の騎士に憧れてるんだ。あの騎士は、悪役に正義を執行して、世界を救った。それが、とってもかっこよくて、私も騎士になりたい。悪い人から世界を救いたいの」
「へ、へぇ、頑張ってね! きっとルージュならなれるよ!」
「本当!」
私も、本の中の騎士になれるのですね!
もっと頑張らなければ!
「そう言うユアンはどうなの?」
「わ、私!? 私はねぇ、私は……やりたいことがあるんだ。いや、やらないといけないこと。
その為だけに私は騎士になるって決めたんだ」
「やらないといけないこと……」
私のやらないといけないこと……
「はいっ、この話はここでおしまい! さ、行こ!」
「う、うん!」
◆ ◆ ◆
「ちゃっちゃと脚動かせ! 呼吸出来んならまだ動くだろ! 肺より速く脚だ、脚!」
「「「Yes,My master!」」」
「もっと声出せぇ! 」
「「「Yes,My master!」」」
あれは何でしょうか?
みたところ、体力訓練のようですが……
「おい! 誰が脚を止めろと言った! 脚を止めていいのは、俺がいいと言った時か、その脚がもげた時だけだ! いいか! それ以外で脚を止めることは許さん!」
「「「Yes,My master!」」」
「よし! 全員十周追加!」
「「「Yes,My master⁉︎」」」
まぁ、楽しそうにしているのでいいのでしょう。
えぇ、私は何も見ていませんとも。
「うへぇ、私達もあれしないといけないのかぁ。嫌だなぁ」
「まぁ、しょうがないんじゃない?」
「はぁ」
◇ ◇ ◇
「はぁ」
何で俺が教師だなんて大層な役職を……
(坊主、人生どうなるかなんて誰にもわかるもんじゃねぇんだ。だからよぉ、こんなところでくたばっちまうわけにいかねぇ。ここはひとつ、オッサンに任せとけや!)
その通りだったな、あんな戦場でくたばってたら、こんなとこには、いなかっただろうなぁ。
「テメェの所為だぞ、こんなに俺が捻くれたのも、ここにいるのも、余計なことすんじゃねーよ。
クソ親父」
どうして、帰って来なかったんだよ……
「後で、花でも買って行くか」
今回の人物は、先生の過去話でした。ちょくちょくこんな感じで過去話でもしようかと思っています。
次回は、大広間から始まります。学園編は外伝かなぁ。(早くルージュを騎士にしたいから)
飛ばし飛ばしですいません。