少女と侍女ミラ
ここはどこ?
わたしは、誰?
「おや? あぁお嬢さんやっと起きたんですねー!」
この人は、誰?
「さぁ! 先程のようにこの最高の侍女、ミラちゃん色々なことを聞いてくださいな!」
なんて言ってるの? わかんないよ。
「あ、あれぇ? おかしいなぁ? もしもーし」
怖いよ、誰か助けて……
「おい」
「もしもーし、はっ、さてはあれか? お姉さんにサプライズかな?」
「おいミラ」
「いやでも、こっちの言葉が通じているのかなぁ?」
「いい加減にしろミラ」
「ねぇねぇ、言葉わかる?」
何か尋ねてきたのかな?
わからないって伝えなきゃ。
「あっああう、うああう」
あれ?
「あうあぁ、うぁあう」
どうしよう、喋れない。
「んん?もしかして喋れなくなってる? これはこれは一大事ですぞすぐにどうにかぶへっ!」
「どこへ行く気だ」
「いったたぁ、誰ですかこんな酷いことをしたのは」
「俺だ」
「あらぁ、フィン様じゃないですか。このような所に何用で?」
「その少女だ」
「え゛、こんないたいけな少女に手を出すおつもりですか?」
「違う。その子はエペイスト家の長女になった。理由は後で説明する」
「ふむふむ、なるほどなるほど……えっ」
「丁重に扱え。後、旦那様方が親だと刷り込んどけ」
「ちょっと待ってくださいよぉ」
どうしよう、私を見ながらあの人怒鳴ってた。私、殺されるのかな?
怖いよ。死にたくないよぅ。
「あぁ泣かないで大丈夫だよ。あの人は無愛想で口数少なくてよくわからない人だけど悪い人ではないからね」
「うぅっひっく」
「大丈夫だよ。大丈夫。怖くないよ」
◇ ◇ ◇
どうしよう。
どうにかあやせだけど、多分、言葉が通じてない。
「おっかしいなぁ、あんなに言葉を教えたんだけどなぁ。会話もしたし、何か衝撃を受けて記憶喪失でもしちゃったのかなぁ?」
衝撃、しょーげき、うーん、ん?
なんでこの子気絶してたんだっけ?
えーっと、確か……
「あぁそうそう旦那様方が抱きしめて……」
って、旦那様ぁ!?
まずいまずいまずい、あんな筋肉の塊げふんげふん、逞しい身体で抱きしめられたりしたらどんな人でも死んでしまいますよ!
あれっ、でもこの子生きてる。
ああっ! 私が教えた言葉、全部吹っ飛んだってことじゃないですか!
という事は、もう一度こんなにも可愛いい生き物に言葉を教えれるのでは……
おお、いけない、新しい扉を開きかけた。
そういえば、フィン様がこの子が長女だっていってた気が。
「ならばっ! 私はこの子に仕える事になるのでは!?」
おっと口に出てしまいました。
だけど、この子に仕えるのかぁ。
ふふふふっ。沢山着せ替えとかお化粧とかしたいなぁ。
「んあっ?」
起きたようですね、ふふっ、私の持てる力を全て使って、完璧なご令嬢にしますよぉ!
そのためにまずは、言葉をもう一度覚えさせて差し上げましょう。
あぁ、この家に仕えててよかったぁ。