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異世界ショートショート  作者: ulick.n.owen
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目的の街まであと少し

 私は、目的地の街の近くまで来ていた。近いと言ってもあと2日はかかるだろう。しかし今までの旅路を考えるともう少しだ、心が踊る。しかし気を抜くわけにはいかない。魔物も少なくなってきたとは言え、この辺りはまだ危ない。


 途中の街や村のギルドで仕事済ましているので、金は十分にあった。いやありすぎると言っても過言ではない。まさかあの仕事の途中で成金ゴーレムが出るとは思わなかった。危なかったが自慢の魔法でなんとかなった。良い稼ぎになってくれた。遊ぶ余裕もあったが早く目的を果たして、もとの街に戻らなければ。きっとあいつも心配しているだろう。なにも言わずに出てきてしまったから心配してるかもしれない。ギルドのサービスで私の場所は大まかにならわかると思うが、果たしてあいつにそのサービスを利用できるだけの頭があるだろうか?いや無い。所詮あいつは脳まで筋肉でできているバカだからな。


 そんな風にあいつとの事を思い出していると…


 「おーい、待ってくれ。ハァハァ、助けてくれ、ゴブリンの群れがやって来て俺のパーティーが囲まれちまった。なんとか抜け出した俺が助けを探しているとこ何だ、あんた魔法使いだろ、助けてくれ頼む。」と後ろから剣士風の小汚ない男がやって来た。


 「ここからどのくらいの場所でしょうか?助けたいのは山々なのですが如何せん急いでいるところなので。」


 「ここから30分もしないところだ。頼むよ、助けてくれ。早くしないと彼奴等が。」


 「分かりました。微力ながらお助けしましょう。では急ぎましょう。貴方の仲間が今も必死に耐えている。」


 「あ、ありがとう。助かった、こっちだ。」


 このままでは、移動に不便なため魔法で荷物を埋め、回りを硬化させた。身体強化の魔法を使い剣士を追いかけた。

 

 20分程道なりに走り、そこから森の中へ入っていった。


 そして剣士のパーティーのところに着き回りを見渡したが、そこにはオークの死体が数体転がっていた。


 「遅かったな、待ちくたびれたぜ。あんまり遅いんでその辺のオーク釣ってきて倒しちまったぜ。まぁ獲物をちゃんと連れてこれたから及第点だな、ほら約束の金だ。取っとけ。」と野盗風の男は金を地面にパラパラと落としていた。


 「あ、ありがとうございます。」剣士は必死にその金を拾い集める。


 「こいつはウケる。滑稽だぜ。」何人もの男達が気味悪くゲラゲラと笑った。


 私は、嵌められていることを理解した。

 「すいません、私居ても意味無さそうなので戻りますね、イヤー、誰も困ってなくてよかったですよ。それじゃ、これにて。」そのまま素直に返してもらえるはずもなく…


 「ちょっと待ってくれよ、あんた最近は成金ゴーレムを倒したんだろ。しかも金も使ってる暇もないくらい、急いでるんだろ、噂になってるぜ。だから俺達が代わりに使ってやるから金を少し恵んでくれねーかな~。」


 「はぁ?」


「だから、有り金全部置いてけって。」


 「それは分かっています。ただこんなつまらないことのために、わざわざそこの男性を使ってまで呼んだのですか?」


 「つまらねーってなんだよ。良いから早く金だけ置いてけ。おっと変なことすんじゃねーぞ。あんたのことは調べさせてもらってる。お得意の魔法も、魔封じの香を焚かせてもらっている。意味はわかるだろ?怪我したくなかったら早く金を置いてけ。」


 「分かりました、金はここに置いていきます。…


 ただし、手間になった分をここで精算していきますね。私を大切な人が待っているので。時間を浪費させた罪万死に値します。」


 「だからここでは魔法は使えねーんだよ、馬鹿かあんたは。」気分を悪くさせるような笑い声が響く。


 私は、唱えた。

 「バカはお前だ、糞野郎。《アースバインド》」


 土の波が彼等を襲う。一人また一人と波に呑まれていく。全員を捕らえた後は、小高い丘が出来その頂点には気を失った野盗達の首が並んでいた。


 「ッツ、何が起きた。魔法は使えなくしたはずだ。いったい何が起きたんだ。テメーら、起きろ。」大声で誰かが叫んだ。


 「2つ忠告しときますね。1つ私は魔法使いではなくて、呪縛士です。魔封じの香を焚こうが効きません。だって魔法じゃなくて呪いですから。まぁ強力な束縛の呪いしか使えない代わりにその分攻撃力がないんですけどね。


 そしてもうひとつ…」私は剣士風の男を蹴り上げつつ続ける。


 「あまり大きな声を出さない方が良いですよ。魔物が寄ってきちゃいますから。あと貴方、金がほしいならちゃんと働きましょう。では先を急ぎますのでこれにて失礼。」


 後ろでは何やら騒いでいるが私には時間がない。先を急ごう。これも世のため人のためだ、これで野盗の被害も少なくなるだろう。











~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 やっと荷物の場所まで戻ってこれた。誰にも荒らされてなさそうだ。呪縛を解き、棺を開けなかを確認し、


 「母さん、お待たせ。変なのに絡まれたけどもう大丈夫。先を急ごう。もう少しだからね、目的の町まで。」


 そう一人で言った後に私は鎖を肩に掛け歩き始めるのであった。


 


 

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