常連の少ない料理店
俺は友を探しに行く前に飯にしようと思い、またあの店に来た。
誰も並んでいなかったので、やってないのかと思ったが暖簾は出ている。中に入ると店長が暇そうに仕込みをしていた。中には他の客はいない。
いつも通りのものを注文した俺はいつも通りの味に満足した。いや、今日のは特に旨かった。まるで友と一緒に食べてるときのように。
「店長今日も旨かったよ。」
「ありがとうございます、そう言えばいつもご一緒される方はどうされたのですか?」
「あーぁ、友か、あいつ何も言わずにどっか行っちまったんだよ。しかも亡くなったあいつの母親の墓、荒らされてたらしいんだよ。」
「それはまた、墓荒らしなんて罰当たりな人居たもんですね。最近多いらしいじゃないですか。」
「そうなんだよ、犯人も魔物かもしれないって噂もあるからな、世知辛い世の中だよ。」
「……まぁ、こう言うときは飲んで盛り上がりましょう。私の奢りなんで飲んでってください。」
「お、悪いね。こんな昼間から。」
店長も旨い酒を出してくれたらしく、何杯も飲んでしまった
「店長ご馳走さま、酒も旨かったよ。友を探しに行くんでしばらくこれないと思うけど、今度は友とまた来るよ。」
「そうですか、またのご来店をお待ちしています。」
「そう言えば、この間友に怒鳴られたけど何があったん?」
「あーぁ、あれですか。なんの肉か問い詰められて答えたらいきなりキレだしちゃって困りましたよ。」
「へー、あいつにしては珍しい。ところでこの店も肉ってなんなんだよ?スゴくウマイから気になっちぇたんだ。」
「ここだけの話あれは、スケルトンの肉なんですよ。」
スケルトン?肉なんて無いだろと思いつつ酔いが回った頭で思いつつ店を出た。
一歩が重い。どうやら飲みすぎたらしい。
壁に寄りかかり、まぶたを閉じながら最後に見えたのは満面の笑みを浮かべる店長の姿だった。
常連の少ない料理店はここで終わり
スケルトンの肉って何なんですかね?