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その声が私をダメにする

『ひさしぶりー元気だった?来週帰るんだけど暇かな?』

あの時と変わらないテンションで先輩は明るく用件を告げる。

「あーお久しぶりです。先輩は相変わらずですね。まぁ暇ですよ」

久々の先輩の声に心拍数が爆上がりになる私

なんとか平静を装ってそう返答する。

『やー、妹が結婚すんだよね♪んで、結婚式出席するのにそっち戻るからさ

久々に、後輩ちゃんにあおっかなーなんて思っちゃったわけですよ』

軽さを含む口調に先輩の低音の声が乗るとなんでこう腰にクるんだろうか…。

惚れた弱みっていうやつだろうな……と思いながらなるべく風の当たらない場所の壁にもたれかかって

座り込む。

そして先輩の声に集中するようにゆっくり目を閉じる。

「妹さん結婚ですか、それはおめでとうございます。あとついででもうれしーですよ

先輩」

ちょっと自分に正直になってみた。

『おっ、マジで―♪俺もうれしーよ後輩ちゃん♪』

と軽く流してくれる先輩 少しほっとした。

「で、先輩来週のいつがいいんです?どうせ他の人にも誘いかけてるんでしょ?」

私一人に電話をかけてきたわけではないだろうと思いそう問いかける。

『んー、他のやつとも会う約束してるけど後輩ちゃんと2人で遊びたいからー。

来週の中ごろとかどうかな?』


2人で遊びたい…。

そんなセリフにすらときめいてしまう私を誰か殴って正気に戻してほしい……。

思わずにやける顔を戻せないまま膝に顔をうずめる。

「……いーっすよぉ、んじゃ中ごろ空けときますわ」

なんとか出した声に気付かれませんようにと軽めの声を意識して出す。

『ん♪ありがとー会えるの楽しみにしてんねー♪』

明るく先輩が返してくる。

「おもてなしは、できないっすから行きたいとことか決めてくださいね」

会えるというだけでいっぱいいっぱいになってしまうから……とはいえず

めんどくさそうに聞こえるように返答した。

『おっけー♪んじゃまたメールするね?ばいばーい♪』

そう言って先輩が電話を切る

「いつもマイペースだなーせんぱい…」

久々の先輩の声で体がぐずぐずになって立ち上がれない

ので、ポケットからまた煙草を取り出して口に咥え火をつける。


「っはぁー……。」

思い切りすった煙を吐き出して


最後にあったあの日の唐突な口づけを思い出して


「やっぱあの声ダメになるわ…」


そう一人呟いて苦笑した。

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