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苦渋の選択

作者: シロクマ

 生きとし生ける者ほぼ全てに、それは訪れる。


 財布の状況から、昼食のグレードを1ランクダウンさせ無ければならないと言う小さなモノ。

 そして双子の我が子の内、片方にしか臓器を提供できないと言う絶望的なモノなど様々。


 そして今、かつてない苦渋の決断を迫られた者がいる。

 彼の名は、パンダ。

 動物園の人気者で、笹とタイヤが大好きなあのパンダです。


 早朝に脳内へ語り掛けてきた、何者かの声。


「正直白か黒か、熊ならハッキリしなさい」


 パンダは中国語で書くと大熊猫。

 ネコなの? それとも熊なの? 正直スゲーややこしい。


 見た目からしてネコではない。だから熊なのは分かる。


 しかし、しかしだ。

 その問題を乗り越えた先に、まだ白熊なのか熊なのかと言う疑念が残るのだ。


 いっそ鯱ぐらいまで滅茶苦茶になるならまだ諦めもつく。

 もう魚か虎かも分からないし、見た目からして魚なのかなぁと思ったらまさかの哺乳類!

 頭部の白い部分は目じゃなくて模様とか、最早神様ふざけて創っただろって気すらする。


 それに比べてパンダの野郎は、熊の癖して中途半端に可愛い子ぶりやがって。

 白と黒のアクセントで体毛ファッション楽んでんな。


 そんなこんなで何か癇に障るので、今後は黒い熊か白熊かハッキリさせて頂きたい。


「今日中に決めないと、絶滅させるんでよろしく」


 パンダは悩んだ。

 謎の声が言う事が本当だとして、今後自分はどちらの道を選ぶのが正解か?


 正直動物園で暮らしている現状で考えれば、白熊になる方が断然に良い。

 人気も今ほどではないがかなりの支持率があるし、白は聖なるイメージなので大衆受けもいい。


 ただ、野生として暮らしていくことを考えてみろ。

 白黒じゃ無くなる以上、中国と言う強力なバックアップを失う事になる。

 しかも居住区は、氷がすべてを支配する北極だぞ!


 夏はまだしも冬になったらと考えると、不安で仕方がない。

 そもそも季節の概念何て、北極にはあるのだろうか?

 それなら人気はあまり無くとも、森とかの暮らしやすい住居が保障される熊の方が良いんじゃないだろうかという考えもある。


 いっそストライプになって、シマクマとかに改名する手も無くは無い。

 ストライプオシャレだし。

 オシャレと言えば熊も白熊も、自分よりも小顔ではあるよな。


 そんなことを考えている内、既に日没を迎えていた。

 

 人気と清潔感のある白熊か。


 日常生活が充実する熊か。


 全ての決断の時は、間もなくやって来る。

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