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第2話の4

「まず…」

「紅茶お持ちしましたぁぁ〜」

 バッドタイミーング。

 炒瑛菜さんが紅茶を差出し何やらニコニコしている。さすがに手間隙かけたか分からないが、べらぼうな時間がかかってるだけあって味には自信があるのだろうか。

 ゴクッ。僕は一口飲んでみたが市販品と変わらぬ味に思えた。

「市販品ですからぁ」

そうですか。


 気を取り直し汲凪さんはごほんと軽く咳払いをし話しを続けた。

「まず、俺にもなぜあんな状況になったかは分からん。そこまで調べはついて無い。それにその後は知らん。警察に任せたからな。」

 僕は素直に聞いていた。

「あ?なんか文句あんのか?なんで遊園地に居たか知りたいのか?んなもん、依頼されたからに決まってるだろ?俺の職業なんだと思ってんだよ。依頼人は秘密だがな。」

 軽く口先を吊り上げ微笑。再度淡々としゃべる。僕は続きを待つ。

「ミカンちゃんだっけ?妹さんに関しても、母親に関しても今はわからん。お前を助けてから後を追ってみたが見つからんのよ。これが…」

「僕はどうして助かったんですか?あの状況で助かるとは思いませんが。」

 汲凪さんは少し笑い気味に話を続ける。

「それはあれだよ。あれ。俺がババーッと駆けつけ、お前の父ちゃんの腕をバシッと蹴り上げ、握っている包丁をパーンと手放した隙に――って奴だ。お前はバタンと気絶してたしな。」 ジェスチャー混じりに擬音語のオンパレードだ。ま、言いたい事はよくわかった。。

「僕の気絶は信用するとして――嘘臭いですね。周りには誰もいませんでしたし。蹴り上げたらいくら僕でも気付くんじゃないですか?。どこに隠れてたんですか?」

「だーかーらー!嘘言ってどうすんだよ。隠れてたんじゃなく駆けつけたんだよ!」

「そうですよぉ?紅茶、冷めちゃいますよぉぉ?」

 炒瑛菜さんが割って入ってきた。しかも流れに乗れてない状態で。一体何に同意したんだろう?なんて疑問はこれっぽっちも思わなかった。

 そう、それは――

 炒瑛菜さんだから。

 これで解決。

 ―――終了。 

 僕は紅茶をグイッと一気に飲み干し、炒瑛菜さんにお代わりをたのんだ。これでしばらく戻ってこないだろう。

「――あ、ああ。それで嘘ですよね?」

 そんな感じのやり取りを 数回繰り返した。

 汲凪さんがしゃべり、僕が聞き、炒瑛菜さんが邪魔をする。

 それで分かった事、知った事をまとめてみた。


『父に襲われたのは事実、僕は気絶。汲凪さんが駆けつけ?父を撃退。そのまま警察に。母と妹は行方不明。僕は病院へ。』

 付け加えれば『炒瑛菜さんは邪魔をしているとしか思えない。』

って事だった。

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