第7話:京
――Side Yuuto Souga
ギンちゃんを伴い、ギンちゃんの案内のもと、森を進んでいくと…
「うぅ…い、嫌……や、やめて…」
「………」
スライムの大群に囲まれている鈴ちゃんを発見した……したのだが……
スリットからスライムが数体、鈴ちゃんの生足に絡みつき、また、びしょびしょの服が身体に張り付いて……
すんごく、えっちな格好だった……
【はぁ、はぁ……うへへ♪】
旋武は旋武でそんな鈴ちゃんを心配するどころか、逆にその姿を見て楽しんでいる。
ギンちゃんの一喝でスライムは退散。無事に鈴ちゃんは救出された…流石、森の主
鈴ちゃんは涙目でへたり込むように座っており、両手で濡れた服を隠している……うん、可愛い
「マスター…」
声に出してしまい、あっちゃんが冷たい視線を投げつけてくるが……だって、しょうがないじゃない。男の子だもん!
ギンちゃんはギンちゃんで一喝した後、俺の頭の上でくんくんと匂いを嗅いでいる…
ギンちゃんは、剣の魂の様な役割をし別々に存在できるあっちゃんとは違い、全て一個の存在としてそこにある。
刀verと人型verが同時に存在できないのだ。
そして、そのほかに狐verがあり、本来の大きさは10mを超えるほどでかいが、自由に大きさを変えることが可能らしい。
その結果、手に乗るサイズの子狐となり俺の頭の上に居るのだ。
「―っ!?銀!!あなたは何をしているのですか!?」
視線を俺からギンちゃんに移したあっちゃんが叫ぶが…
「うむ…主は良い香りがするの……」
無視してギンちゃんはほにゃ〜っとなる。
「………」
涙目の鈴ちゃん。
怒鳴るあっちゃん。
ほにゃ〜っとなるギンちゃん。
【なぁ、兄ちゃん。滅茶苦茶だな】
「言うな…」
このカオス空間をどうしよ……
暫くして、落ち着いた鈴ちゃんにギンちゃんの事を軽く紹介する。
そして、その日はその場で野宿をすることにしたのだが……
「勘弁してよ……」
どうしてだ?最近の女の子の間では戦闘がブームなのか?
そう言ってため息を吐いた後、旋武を構えている鈴ちゃんを見る。
事の発端は、いつも通りの狩り→調理→食事の工程を終えたところで……
『弟子にしてくれ!』
と、鈴ちゃんが言い出したことから始まる。
そして、そのまま俺の返答も聞かずに、稽古をつけてくれと、旋武を構えて、今に至る。
旋武を構えたまま、鈴ちゃんは独白を始める……
「私は世界の広さと自分の未熟をことごとく思い知った」
「確かに、無様だったわね」
途中であっちゃんの毒が混じる…しかし、鈴ちゃんは…
「ああ!だから、自分を一から磨きなおさないと!」
開き直った!
あっちゃんも予想外の対応に驚いている……
「くく……良い気迫じゃな。まっすぐで……人間にしては珍しい…」
頭の上からそんな事を言うのはギンちゃんだ。
外見は小動物のギンちゃんが饒舌に喋るのは…なんかシュールだ
「でもなぁ……鈴ちゃん、師事する相手を間違えているよ?俺は所有者になったばっかだからエレメンツウエポンの戦い方には詳しくないし、ましてや属性が違うし……」
【そりゃそうだ…】
俺の言葉を旋武が肯定する。
【なぁ、鈴嵐。これから行くのはベルンティス最大の学園がある京だ。そこで戦う術をまた学べば良いんじゃねーか?】
「そうだな……俺じゃ、訓練の相手くらいしかやってやれないから、それがいいよ。それに、前回から時間たってないし、俺の魔糸の攻略法見つけたわけじゃないんでしょ?」
なら、結果は同じだ。
そう説得を続け、渋々鈴ちゃんは納得し、構えを解いた。ふぅ……どうにかこの場を切り抜けた……
「……主よ?本当に小娘の訓練の協力をするつもりか?」
「方便に決まってんだろ。誰が、そんなめんどくせー事するか、そもそも俺は争いを好まない……平和の主義者だぞ」
シンボルを鳩から俺に変えても良いくらい、平和を愛する青年(自称)だ!
それからと言うもの、山歩きはえらい楽だった。というか、そもそも歩いてすらいない。
ギンちゃんが居るので森の敵は襲ってくること無く、また10m狐verのギンちゃんの背に乗って一気に森を駆け抜け、翌日の昼には森を抜けた。
まさにギンちゃんさまさまである。
そんなギンちゃんだが、森を抜ける直前で子狐に戻って、丁寧に自分の足を炎で清めてよじよじと俺の頭の上に登って、丸くなった。どうやら気に入ったらしい。
そして、わざわざ足を綺麗にするあたりが物凄く好感度アップだ。あぁ…ギンちゃん大好きだぁ。
かなりテンションが上がった状態で街に入る……
「おぉ!」
町並みは一言で言うと、京都って感じだ!なんとなくだけどな!!
例の如く、視線を集めつつ街中を闊歩していく。
「して、鈴ちゃんや。どこに行こうか?」
「……城に行こう」
この大和を収めている国主に会って事情を説明しようというのだ。
でもなぁ……いくらキャストに寛大といっても……
「帰れ!!」
はい門前払い〜。まぁ、予測済みだけど……
俺達は門から移動して街を練り歩いていのだが…
あっちゃんはジト目で鈴ちゃんを見ており、ギンちゃんは……
「やれやれ……人間というものは理解が出来んな…力も無いのにどうしてえばり腐ることが出来るのじゃ?」
との事。ギンちゃんは弱肉強食といったシンプルな考え方をする。まぁ、人間以外の生物にはそれが当てははまるんだが……
魔法使いの血筋に七尾の銀妖狐…そして精霊姫。
最強人外オールスターズが揃ったこの面子を門前払いにするとは正気とは思えないらしい……
「身の程をわきまえさせてくれようか……」
「……初めて意見が合いましたね」
なにやら物騒な事を言い始める、最強の妖と精霊の姫。
「こらこら…」
そんな二人を止める。異世界まで来てお尋ね者になるのはごめんだ……いや、もう手遅れか?クリアールでやっちまったからなぁ……ハハ、追っかけられてばっかだの人生だなぁ。
まぁ、それは置いといて
「んで、マジでどうすっか?」
遠路はるばる此処まで来たのにこの扱い…むぅ、温厚を心情にしている俺だが、ちとムカッと来るねぇ…
「ですから、やりましょうマスター」
「そうじゃの」
暴れる気満々の二人。三人してマジで暴れたら冗談抜きでこの国を滅ぼす可能性がある。いや、可能だろうな……
「は、速まるな!もう一度、もう一度話をしてみよう!」
そんな二人を見て、慌てて鈴ちゃんがとりなす…
「…ふむ、小娘がそこまで言うならよかろう。じゃが…」
「態度が改められなかった場合は好きにさせてもらいます」
怖いよお二人さん…
そして…
「帰れ!!得体の知れない者を城内へは…」
「ゴタゴタ抜かすな!!死にたいのか!!」
うわぁ、鈴ちゃん必死だ…
門で言い争う鈴ちゃんと門番。俺はそこからやや離れて場所で鈴ちゃんを傍観している。
頭の上でギンちゃんは機嫌よさげに面白そうに見ており、あっちゃんは返答次第では……と無言のプレッシャーを放っており、それが尚更、鈴ちゃんを焦らせる。
さらに道行く人の視線も集中。人垣が出来る……
そうこうしている内に、城内から鎧を着た男が二人来てつまみ出そうとする…
おぉ、鎧武者!!かっこいぃ!
それがこの国の兵士なんだろう。門番は足軽みたいな軽装をしていたのに、やってきた増援は鎧を着た武者。
カッコいいなぁ。重くないのかなぁ?隙見てパクろっかな……とか思いながら見ていると……
「邪魔だ!!」
鈴ちゃんが、旋武を一閃して威嚇。おーい、鈴ちゃんやーい…
「曲者だーー!」
「出会え出会え!!」
状況悪化!鎧武者増大!!時代劇みたいになってきた。まぁ、舞台も和風のお城なんだけどさぁ……和服を着たお姫様が居ないのが残念だ…あれ?まてよ?
俺達が悪人役か!?
完全に取り囲まれ、どうせなら主役がよかったなぁと頭を抱えていると……
「なんの騒ぎだぁこりゃ?」
人垣から茶髪のピアスをつけ、この土地では珍しいであろう…薄手のパーカーのような洋服とジーンズのようなものを穿いている、見た感じ、不良高校生です!って感じの男が現れた。
「おぉ、これは誠人どの!いいところに……この賊どもが我が城に!」
見たところ、結構な立場の人らしく鎧武者の一人が状況説明。そんな中……
「いい加減に鬱陶しいですね…」
「そうじゃの」
二人に魔力と妖力が集まっていくのを感じる。あっちゃんは滅茶苦茶不機嫌…ギンちゃんは声色からしてちょいと楽しんでません?
【お、お二人さん。落ち着きなすってぇ!り、鈴嵐。頑張れ!!この国の未来はお前に掛かっている!つか、兄ちゃんも止めてくれ!】
そんな二人に旋武も拙いと思ったのか、テンパリつつどうにかしようと俺にすがるような声をかけてきた。だけど…
「あー。俺は無干渉……中立を貫こうかと」
個人の意思を尊重します。お好きにどうぞ…
そんな俺の言葉に鈴ちゃんが恨みがましく睨むが、それも一瞬の事で……
「貴様ら!状況を分かっているのか!いいから通せ!!」
「賊の癖に!お前らこそ!逃げ道は無いぞ!!観念しろ!」
うん、見事な平行線。見てるだけなのでちょっと面白いと思う俺はギンちゃんと案外似ているのかもしれない。
それを打開したのは……
「なるほどなぁ……お前ら、ちょっと下がってろ。俺がそこの姉ちゃんと話をする」
さっきの茶髪君だった。
鎧武者達を下げて、前に出てくると鈴ちゃんと向き合って……
「中に通せと言うが……用件は?」
「だからキャストだ!クリアールにて新たなキャストが召喚された。なのでこの大和にて保護を頼みたい!それをこの門番は……」
「何がキャストだ!此処最近、そのような報告を受けたことは無い!騙されるか!」
……ふむ。
その門番の言葉から推察するに、此処最近で召喚されたのは俺だけ……いや、まだ発見されていないという考えもあるが……そっか、沙那ちゃんは此処にはいないのか……
またも騒ぎ出した鈴ちゃんと門番を宥める茶髪君。
「まぁまぁ、んであんたがキャスト?」
「違う。キャストはこっちにいる男の方だ。私はメルティアの辺境にある部族。『華星』の鈴嵐という者だ。このものを案内してきた」
そこで視線が傍観者と化していた俺へと向く……そして、息を呑む茶髪
「…あんた……綺麗な顔してるなぁ」
「どーも」
マジマジ見るな気色悪い…ただでさえ、沙那ちゃんが居ないってわかってちょっと苛立ってるんだ。
俺もあっちゃんサイドに移行しちゃおうかな……中立?……そんなもん即刻やめてやるさ。
そんな事を考えていると……
「着いて来い」
との事、あれ意外…信じちゃった?
「誠人殿!?」
「この男が着ている服の生地はこの世界には無い。恐らく、こいつらの言っていることは本当だろう。仮に賊だとしたら真正面からたった三人でやってくる馬鹿は居ない」
おぉ、マジマジ見てたのはマントの下の俺の学ランかぁ。なんだ、茶髪だから馬鹿かと思ったのに結構頭が良いみたいだ。
茶髪君に連れられ、俺達は見事な日本庭園を通り過ぎ、城内に入る。
一際大きく、中央に天幕がある部屋に通される。時代劇の将軍様が出てくるような…そんな部屋だ。
そして、そこにはちょんまげのお殿様ではなく、一人称が麿の公家かぶれでもなく……
鎧を来た髭面のダンディなおっさんが居た。渋い……
そしてそんなおっさんに報告する茶髪君。
そして、マジマジと俺の顔を見て、おっさんが一言…
「美しい……」
そう呟く……とてつもない悪寒がする。
「あ、コホン。勘違いするでないぞ。そっちの趣味は無い!」
凄まじい程の殺気を撒き散らすあっちゃんに慌ててそう返すおっさん。
「紹介が遅れた。ワシは源豪三郎昌徳という。この国の最高責任者の立場に居る」
「宗我悠斗ッス」
「私はメルティアにあります『華星』の里から参りました鈴嵐といいます。」
おっさん(名前が長いので以後こう呼称)の自己紹介に片手を上げてフレンドリーに返す俺と深々と頭を下げる鈴ちゃん。
あっちゃんは完全にそっぽを向き、無視の姿勢を見せ、ギンちゃんは俺の頭の上で寝息を立てている。自由だなぁ二人とも…
「して…悠斗殿。悠斗殿は異世界の人間……キャストだとか?」
「えぇ、それについては私が…」
自己紹介を終え、話に入る。
俺よりこの世界の事情に詳しい鈴ちゃんが代わりに説明を始める。その間、茶髪君は……
「宗我悠斗?どっかで聞いたような……」
と、しきりに何やら考えていたようだが……
「やーめた。思い出せねぇなら大したことないだろ」
あっさり放棄。結構良い性格してる。そして、俺の方に寄って来て
「なぁ、どっちが本命だ?」
と、気さくに話しかけてきた。
「……は?」
「だから、あっちで話してる華星の姉ちゃんとそこの可愛らしいお嬢さん。どっちがタイプなんだ?」
あぁ、そう言うこと……う〜ん。どっちも好きだなぁ。
鈴ちゃんには鈴ちゃんの、あっちゃんにはあっちゃんの良いところがある。あ、当然ギンちゃんも好きだ。なんだが…
「私に決まっているじゃありませんか」
何を当然なことを言っている?と言った感じで、俺の隣に居たあっちゃんが答える。
「あの雑魚娘に比べたら…私のほうが遥かに魅力的です。何より、マスターへの愛は私が一番です!そんな私が負ける?はっ、寝言は寝てから言って欲しいですね」
あっちゃんの言葉に、そうなん?と俺に確認の意味を込めての視線を送ってくるが肩を竦めてはぐらかす。
そうこうしていると、向こうの話も終わったようで…
「クリアールめ……ホールの異常を利用したか!」
と、おっさんが吐き捨てた。
「ホール?」
聞き覚えの無い言葉に俺が問い返すとおっさんは説明してくれた
「ホールというのは召喚の際の出入り口となる穴だ。一方通行で召喚先に出口が、召喚元に入り口が出来る。それによって道が生まれ召喚が可能となるのだ」
「召喚というより、突然現れてるって感じだな…。俺も三年前にこっちに来たんだ。それからは結構安定してたんだがなぁ……原因は調査中なんだが、まだなぁんも分かってない」
このことは他言無用で知っているものは限られているらしい。
「国内のは秘密裏に発見次第保護してるんだが……クリアールとはなぁ」
「こうしてはおれん。直にクリアールに事実確認と抗議を。誠人あとは頼む」
それだけ言って、おっさんは慌てて出て行ってしまった。
「行っちゃったよ……んでさ、誠人って言ったか?俺達はどういう処遇を受けるんだ?」
「ん?あぁ、俺と同じで、この世界の事なんか殆ど知らないだろうからまず、エレンツァ学園に通って知識を学ぶことになる。っと、そういやちゃんと自己紹介して無かったよな。俺は霧谷誠人だ。キャストの先輩って奴かな?年は今年で18だ。」
茶髪君が自己紹介をする。
年上か……まぁ、どうでもいい。それより、図らずとも学園に通えることになったなが…疑問点がある……
「学費や住居などはどうするんだ?」
「学費や諸々の諸費用は源の旦那の貸しだ。金が出来次第返済することになっている。住居のほうは学園所有の寮だな」
むぅ……借金かぁ……
「誠人殿。すまないが私も学園に通いたいと思っているのだが…」
俺が借金に関して抵抗を感じていると……鈴ちゃんがそう申し出た。
「華星の一族が?なんで今更……華星は厳しい修行を里でしてるんだろ?」
「あぁ、だがな…私は里外に出て世界の広さを知った……未熟な自分を鍛えなおしたいんだ。口ぞえを頼む」
鈴ちゃんがそう頭を下げる。
「学園には結構厳しい入学試験があるんだ……まぁ、華星っていう点と、悠斗を此処まで送ってくれたって言う点から、源の旦那に言えばそれは何とかなるんだが……学費は?」
「どの程度だ?」
「一年間で50万レーン」
レーンとはこっちの世界のお金の事だ。価値は元の世界の円と同程度…
「それと寮に住む場合は+50万レーン。まぁ、朝と晩飯が付いてるからお得だけどな。で、占めて100万レーン」
その言葉に鈴ちゃんは絶句。
ちなみに俺達のもち金はせいぜい295レーン。此処に来るまでの旅費で盛大に使ってしまったからなぁ……
「となると…全部で300万レーンか」
俺の分と鈴ちゃんとあっちゃんの三人で300万レーン。
あっちゃんの正体が闇姫である事は隠すことにした。禁忌とされる闇の力の最上位のあっちゃん。バレたらめんどくさい事になるからだ。
んで、人間として振舞うと言う風にカモフラージュすることにし、名前も『杏』という偽名を使うことにしたのだ。まぁ、さっきはギンちゃん共々正体がバレそうだったがな……
本人はかなりぶーたれてた。曰く『それでは、マスターが護れません!』らしい。まぁ自分を護る位なら問題ないし…。ずっと剣の状態で居るつもりか?と返したら渋々了承した。
ギンちゃんは狐状態なので問題ないだろう……多分。
そんな訳であっちゃんも人間としてカウントし俺と共に学園に通うという事だ…だから
「誠人さんや、俺も援助いらないから。借金とかも抵抗あったし、それにあっちゃんと鈴ちゃんと一緒に入学したいから。同じ扱いで良いよ。だから、二人と一緒に金稼いでもう一回来るね」
「そう言うなら俺は構わないけど……当てでもあるのか?」
当てねぇ……一番手っ取り早いのは……
「とりあえず、金持ってそうな奴を教えてくれる?そいつんちに強盗入れば…「「駄目!!」」…冗談だよ」
お茶目な提案に速攻で却下する二人(鈴ちゃんと茶髪)。
「はぁ、んじゃ酒場に行ってみろ。あんたは華星だという事だし、そこそこ腕は立つんだろ?……」
呆れたようにいう茶髪君……そこに行けば、どうにかなるのだろうか?だが、それよりも気になったのは……
俺、さりげなく戦力外通知された?
――Side クリアール
悠斗達が京へと到着した数日後。大和の外交からの書面を見てミハイルは憤慨する。
「カリウス!!国境の兵は何をやっていた!?」
「がなるな。そうは言っても仕方が無いだろう……」
指示が出たのは国境沿いの駐屯軍がある街。
「街道での目撃情報によると、それらしき二人組みは国境付近で街道を外れて行ったらしい。恐らく、街を迂回するような形で国境を越えたのだろう」
国境とひとえに言っても、物凄く広い。全てを把握するのは大人数で事にあたらなければならない。それでも、全ては無理だ。
ましてや、今回は内密に処理しなければならない懸案。国境沿いに兵をずらりを派遣したとすれば、何かありますと公言しているようなもの……本末転倒である。
「くそっ!?」
半ばこのような結果を予想していたカリウスは悔しがるミハイルを横目で見つつ、外交官への激励の言葉を送るために部屋から出て行った。
(これから忙しくなるだろうからな。晩飯に誘ってやるか…美味い物でも食わせてやろう)
更新完了!!そして、今回からはキャラが増えてきたんで、あとがきにてキャラ紹介を行って行きたいと思います。
トップバッターはもちろん、我らが最強主人公です。
name 宗我悠斗
class 魔法使い
闇姫 所持者
weapon
エレメンツウエポン 闇姫 (小太刀)
妖刀 銀狐七星 (小太刀)
ability
宗我流小太刀二刀戦闘術
エーテル&マナ変化・変質(魔糸・etc)
????(現時点では不明)