でんしゃ
俺は見てきたんだ。
この終点行き絶対の切符を渡され、
脱線した電車、崖から落ちる電車、途中停車する電車、俺は見てきたんだ。
その不幸な人間共をあざけ笑い快適な人生の旅を楽しんできたんだ。
本当に色々な電車を見てきた。
今、思い変えせばどれも、懐かしい・・・。
あー・・・俺は何をしてきて何に向かって進んでいるのだろう。
何を求めこの絶対の切符を幾人のなかから手にいれたんだろう。
・・・・そうだ終点の先には絶対の幸せがあるはず。
「死」
と言う幸せが・・・・・・。
終点駅まで後少しの様だが震えが止まらねぇ・・・後少し・・あと少しで俺は終点に着く・・あぁ・・。
脱線した電車に乗っていた奴は死が見えていたのだろうか? いや、そんなわけない。だってさっきまで笑っていたんだから。
途中停車した電車に乗っていた奴は発車駅から諦める事を予測していただろうか?あんな幼い時から??あぁ・・・終点駅までたどり着いたのはたったのこれだけか。
・・・はぁ・・・ざまぁねぇな。
皆うかない顔してやがる。
・・ほらっ 笑えよお前ら おい!!ソコの寝たきりジジイ!!笑えって・・・笑ってくれよ・・・・・・なぁ・・・。
「しゅうて〜ん しゅうて〜ん」
電車の扉が開き一人の老いぼれが涙で顔をグシャグシャにし光のさすほうへ歩いて行った。
やがて光はその老いぼれを優しく包みこみ暗闇へ変化していった。
その男の絶対安全の小説は
「終点」
の二文字によって 幕を閉じたのだった。