第八話 我が名はアストライオス
だんだん不定期になってきた、すでに定期更新は諦めに入っちゃった。
眩い光が収まり魔法陣の上空から勇星と向かい合っている人型が見えてきた、その男の人は古代ギリシャの人の様な服を纏って佇んでいる。彼は興味深そうにキョロキョロと周りを見渡し、勇星の前で視線を止めた。
「我を呼んだのは其方か?」
彼は物理的にも上から目線で勇星に話しかけた。
「そうだよ、君の名前は?」
しかし勇星は彼の高圧的態度に臆さず普段の調子で語りかけた、相手は一瞬不快そうに顔を顰めたが勇星を数秒見つめると何を思ったのか大声で笑い出した。
「ク、ハハハハハ!」
え?今のやりとりの何が面白かったんだ?
「今代の者はなかなか愉快な奴のようだ!」
「今代の者?」
おっと?彼は勇星の奥底に勇者の力があると気付いているのだろか?だがそうだとしても笑う要素は微塵もないと思うが・・・ツボが少しズレてる人なのかな?
「いやこちらの話だ、それより我の名か?」
ひとしきり笑い終えた彼は目尻の涙を指で拭いながら勇星の質問に答える。涙って・・・そんなに笑うの?
「うん、教えて欲しいんだ。これからパートナーとなるんだからね」
「うむ、我が名はアストライオス。星々を司る神だ」
アストライオス。『星』を司る神で召喚イベントで出る選択肢の中で最も強く、そして勇星と相性が良いと言われる。それにしてもいいパートナーを呼んだな勇星。
「これからよろしく、アストライオス」
「こちらこそな」
勇星とアストライオスは固い握手を交わす。イベントのイラストシーンを生で見ることができて感動していると、突然アストライオスがこちらを向いて俺を不思議そうに眺めてくる。
「ふむ・・・」
俺の顔にゴミでも付いているのか?と思ったらアストライオスの目がボウっと薄く青色に光る、あれってもしや・・・鑑定されちゃった?その証拠というべきかアストライオスの顔色がみるみる悪くなっていくじゃないか。
「勝義の事が気になるの?」
俺のことを見て固まるアストライオスに勇星が不思議そうに尋ねる。
「勝義・・・其方とはどういう関係か?」
アストライオスはこっちを見つめたまま勇星に質問する。
「え、親友だけど?」
勇星が即答しアストライオスはようやく少し力を抜いた、何だか驚かせてしまった様だ。
「親友・・・」
「?」
アストライオスは俺をチラチラ見ながら目に安堵の色を浮かべる、俺を鑑定できたってことは鑑定スキルか鑑定魔法がSSSランクだったのか。
あの反応を見る限り俺のスキルを大体は観覧できたみたいだ・・・だいぶ警戒されてるみたいだけど真摯に向き合っていけばたとえゆっくりでも仲良くなれるだろう、根拠はないけど。
「貴方は神界からおいでになったのですか?」
アストライオスと勇星のやり取りを呆然と見ていた先生がようやく口を開いた。
「ん?そうであるが?」
「そうですか・・・」
神が召喚されることは滅多にない、それこそ学園に数人しかいないほど。その理由として神界からそれも神を召喚をするには膨大な魔力がいるという事がある、最低でも将来順調に力をつければSランク以上になる実力を持つ者しか召喚できないだろう。
さらに神は大抵自分より強いパートナーを選ぶ傾向がある。大昔の話では神と無理やり契約した男がその数ヶ月後にその神によって体の原型がわからないほど凄惨に殺されたという伝説もある。
それがなくても将来Aランクになるであろう生徒が集まるAクラスの生徒の実力では神を召喚するのはあり得ない、つまり勇星はAクラスの域にすでにいないという事になる。学期ごとに起こるクラス替えの次の学期で勇星はSクラス以上の組に昇級するだろう。
「よく神界から召喚出来たな、上出来だ」
「ありがとうございます」
先生は勇星をさっきとは全然違う態度で褒める、褒められた勇星はすごく嬉しそうだ。Sクラスになるとレイナと一緒のクラスなるのか・・・ん?そしたら俺だけ取り残されちゃうんじゃない!?
ちょっとどこかで力を見せておく必要がありそうだ。
キーンコーンカーンコーン
「今日の授業は終わり!みんな、パートナーとしっかりコンタクトを取るように!解散!」
(あ、でも筆記試験で点取ればいいか)
あくまでポジティブに生きる俺だったのだった。
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キーンコーンカーンコーン
三時間目と四時間目の魔法学と生物学が終わりチャイムが鳴る。
「やっと終わった〜」
ようやく昼休憩になった。ずっと座りっぱなしのままで頭を使ったのでお腹がすごく減っている。いや、ほんとに授業はちゃんと受けたんだよ?俺の美術の勉強の成果はノートにしっかりと記されているし。
それも誰もが称賛する芸術的な絵がいっぱい。魔法学?知らないよそんな授業、記憶にないな。
「勇星!早く食堂行こーぜ!」
隣に座っている勇星に声をかける。
「分かった、準備するからちょっと待って」
食堂は混むぞ、と生物学の先生が嬉しそうに言っていたからよっぽど早く行かないといけないのだろう。勇星も準備が終わり、歩いて食堂に行こうと教室のドアに歩き出すと、誰かがそのドアをガラガラと勢いよく開けた。
「私も混ぜて下さいまし!」
ドアを勢いよく開けて滑り込んできたのはレイナだ、あれ?Sクラスの授業はだいぶ遠くの教室でしていたはずでは?息がすごい上がってるしまさか走ってきたのか?
「おい、あれって伯爵家の令嬢様じゃねえか?」
「美人だ・・・」
「Sクラスでも成績上位者らしいわ」
「可愛いなぁ」
「マジかよ、来学期はSSSクラスにでも昇級するのかな?」
「彼女に欲しい・・・ぐすん」
「召喚の授業では一体何を召喚したんだろ?」
教室内が突然の来訪者にザワつく、上級クラスからの来訪者なんて一年で数回あるレベルだしそりゃあざわつく、それより時々変な物が聞こえるけどこのクラスの男子は色々大丈夫なのか?
「ハァ、ハァ・・・食堂はどこにあるんですの?」
レイナが息を整えながらこっちに歩いて来る、まずい!今こっちに来るとヘイトが俺たちに!
「おい、鶴金の方行くぞ!」
「あいつ・・・鶴金だけは絶対許さん」
「次の戦闘訓練いつだっけ?」
男子が強い嫉妬の視線で俺を刺してくる、何で俺だけ叩かれるんだよ!勇星は!?
「早くしないと一時間ほど列に並ぶ羽目になると先生が言っておりましたわ」
い、一時間!?長すぎだろ!全校生徒中等部合わせて千人くらいいるから、集まるとそれくらい混むのだろうな。
「でも昼休みを合わせると休憩は二時間あるから大丈夫じゃ・・・」
いやいや勇星、一時間も列に並ぶなんて時間が勿体無いじゃないか、休み時間は色々したい事があるし急がなければ・・・
「仕方ない、ちょっと魔法を使う」
「はぁ!?ちょっと貴方、校内は魔法禁止・・・」
「!?少し落ち着いて勝義・・・」
「《次元転移門》!」
目の前に魔力で大きく荘厳な門を作り出現させた。この魔法は【感知《極》】で指定した座標と現在地の座標を直接繋げる魔法で、この門の先は食堂に繋がっている。くぐれば一瞬で行きたい場所に辿り着ける優れものだ、ちなみに門に意味はない。
「さあ、この先は食堂だ!」
俺は二人の手を取って門へ入る。よし、しっかり食堂に繋がってそうだ!
「ちょっと、食堂の隣の部屋は!」
「風紀委員会の部屋ですのよ!」
勇星とレイナが何か叫んでいる、風紀委員会?何だっけそれ?しかし思い出すより先に体は門を潜り抜けすでに食堂の前にいた。
「おお、まだそんな列並んでない!やったー!」
見てみると幸い列はそこまで長くなっておらず数分間待つだけで食事にありつけそうだ。
「やったー・・・ね。よし君、少し来てもらおう」
バンザイして喜んでいると知らない声が両脇からガッチリと腕を掴んできた。
へ?
「だ、誰?」
そこで気付いたて周りを見るといつの間にか俺だけが、腕に風紀委員会と書かれた腕章を付けている三人組に取り囲まれていた。あれ?一緒にいたはずの勇星とレイナは?
「あのう、私たちは・・・」
離れた場所で仁王立ちをして鬼の様に怖い顔でこっちを見ていたこの中で一番偉そうな人にレイナが恐る恐る声をかけると、彼は仏の様な顔でレイナ達の方を向くと「うん?ああ君たちは別に行っても構わないよ」とレイナと勇星を解放していた。
「あ、ありがとうございます・・・」
俺以外は解放された!?それにしても・・・
「だ、誰なんですかあんたら!」
いきなり人の腕を掴んでくるなんてなんて失礼な!
「風紀委員会、普通の生徒なら知ってると思うが?」
「Oh・・・マジか」
そういえば思い出した。けど風紀委員会って学校内を守る警備組織じゃ無いか!俺は悪い事はしてないぞ。
「勝義、骨は拾うよ」
風紀委員会の正体に俺が気付いたのが分かったのか笑顔で勇星がサムズアップしてくる、ちょっと彼ら共犯ですよ!
「『禁止区域内魔法使用』および『転移魔法同行脅迫』の疑いでお前を連行する!」
さっきレイナと話していた人が俺の所まで歩いてきて言い放った、なんだよその罪状名は・・・全部俺がやった事じゃないか(ようやく理解)。
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