第六話 模擬戦:勝義vs勇星
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「え〜っと・・・誠に申し訳ない!」
今俺たち生徒の前で土下座をかましている先生、なぜ生徒に土下座しているのか?それは数分前に遡る。
「いや〜熱い戦いでしたね!ただ鶴金さんが一人でやり過ぎだった感がありましたが・・・」
先生は俺たちの戦いの講評していたのだが、ある生徒の言葉で動きが止まった。
「先生!怪我人が起きてくれません!」
「ん?」
先生は驚いて地面をバッと一回見る、そして確かめるように目を擦りもう一回ゆっくり見た。顔がだんだん真っ青になっていく、おいおいもしかして・・・
「か、回復魔法陣を描くの忘れてました!」
あろう事か生徒の命綱になる回復魔法陣を忘れていたのだ、先生は急いで回復魔法陣を描いて俺たち生徒の方をチラッと見た。勿論生徒達は皆先生に対しジトっとした目を向けており、先生は何か覚悟を決めた顔になった。そして膝を右、左と地面に付け頭を下げた。
(何やってんだか・・・)
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「次の勝負、第二回戦!チーム剣vsチームアルル!よーい始め!」
気を取り直して第二回戦が始まる、二回戦目は剣のチームが戦うことになる。勇星のチームを見ると丁度、盾役、剣士、魔法使い、ヒーラー、シーフとパーティーを組めるになっていた。くじ運良すぎじゃないか?対する相手を見ると魔法使い三人に盾役二人と微妙な構成、そうなると結果は決まったようなもの。そしてやはり勝ったのは・・・
「勝者、チーム剣!」
やはり当然の結果だった。次は勝った者チームの戦いだ。
「よし、休憩したら第三回戦いくぞ!」
三回戦・・・俺のチームと勇星のチームだ。仕方ない暴れてやりますか、と思ったのだが俺たちのチームがまだ怪我人が回復してないんですけど。
「先生、怪我人が回復してないので三回戦はちょっと後で・・・」
「え?大丈夫、君ならできるさ。頑張れ!」
そうっすよね!俺ならやれば出来ます!・・・とはならん!嘘だろ!教師が二対五を認めるなんて!
「よし、準備は良さそうだな!」
何を見てそう思った!?アグネスを見ると何か悟った顔になっている、潔すぎるだろ。
「では第三回戦!チームアグネスvsチーム剣!よーい始め!」
待って無理無理!俺が中止させようとすると勇星が焦っている俺にお構いなく剣を振って来た、こいつ容赦も慈悲もねぇ!縦横斜めと襲ってくる剣を紙一重で避け、距離を取るために勇星を蹴飛ばしアグネスに指示を出す。
「アグネスさん!俺が障壁張って回復やって剣振るんで援護の魔法攻撃お願いします!」
「え!?いやそんなに一人で出来る訳ないよ!」
アグネスが驚いて呼び止めようとするが俺はもう止まらない、圧倒的不利と分かってるのに開始した先生の度肝を抜いてやる。
「来い!勝義!」
勇星は蹴られたダメージを既にヒーラーに治してもらい剣を構えて待っていた。
「言っておくが俺はチャレンジャーじゃなくて、どっちかと言うと勇星が挑む方だからな!」
「ああ、分かった」
何だか攻めにくくなるので素直に認めないで欲しい、と思いながら勇星の元に着いた俺は走っている勢いのまま剣を横に払う。勇星は剣の腹でそれを綺麗に受け流し隙を晒したこちらへ連撃を仕掛けてくるが、俺はバク宙で後ろへ下がり勇星と距離をとる。
その間にも《魔法障壁》、《休息の地》をアグネスにかけ、更に《魔力供給》でアグネスに魔力を供給している。ただそんな事しなくてもアグネスの火力は凄まじく、チラッと見た時にはすでに勇星のチームは残すところ勇星と盾役のみになっていた。
「流石だね、勝義」
「まあね、当たり前よ」
盾役の持っている大盾はアグネスの魔法で今にも溶け出しそうなほど高温になっている、あちらはもうすぐ決着がつきそうだ。
ならこちらもそろそろ勝負を終わらせようかな。先程俺は勇星とやっている間、縦、横と単調な攻撃を繰り返していたのだがそれをフェイントをかけたり、突き、流し、とより複雑にしてみた。
「な、なんだって!」
「おらっ、この剣技について来れるか?」
ただでさえ速かった剣速はより速く見え勇星を混乱させ、追いつけなくなった勇星の体にはかすり傷が増えていく。
「くっ!」
「そこだっ!」
苦しい顔をして無理に剣を弾き勇星の体制が崩れた、その一瞬で勇星の横腹に剣を叩き込む。いくら模擬戦用の剣が刃を潰してあるとはいえ、衝撃は中まで伝わり勇星はその場に片膝をつく。
「どう?流石に負けを認めてよ?」
「ま、まだイケるね」
傷だらけの体で何をしようと言うのか、勇星は剣を杖の様にして立ち上がった。そして・・・
「《剣閃》!」
用意していたのは魔法か!光属性を剣に付与する魔法である《剣閃》を切り札として用意していたとは。しかし・・・
「《深淵の手》」
勇星の込めた魔力量だと魔力を纏った俺の手を十分に切断可能、剣で受けると大破する可能性があったので魔法を無力化する魔法で受けた。俺は難なく発動した闇魔法最強魔法で封じ、横薙ぎに払われた閃光は俺の手に掴まれた。眩しいほど輝いていた光は手に纏った深淵に吸い込まれていき、剣は光を失った。
「やっぱ、り・・・か・・・」
勇星はその光景を見た後、それだけ呟くとふらりと後ろ向きに倒れた。
「あれ?勇星、おーい!」
頬をペチペチ叩いてみるが反応がない、どうやら気絶してしまったようだ。
「勝者、チームアグネス!」
勇星が倒れると先生から勝利宣言が出され戦闘は終わった、盾役もアグネスが無事に倒してくれたらしい。それにしても無事優勝できて本当によかった。
「これで一時間目は終わりだ!次は召喚魔法の授業だ、場所は第一体育館だ。遅れるなよ!」
おい、魔法陣書き忘れた奴が言うな。
「あのぉ」
「ん?」
先生に心の中で突っ込んでいると後ろから声がかけられた、振り向くとそこにはアグネスが心配そうな顔で立っていた。
「魔族を倒す様な方の《剣閃》を受けて平気なのですか?」
その声にクラスメイトがバッと一斉にこっちを向く、確かにそれはそうなんだけどな・・・え?そんなに気になるの?
「いや、ほら俺の剣が偶然脇腹に当たってたじゃん?あれで勇星も力が出なかったんだと思うよ」
俺は戦闘中に常時【剣術『仙人級』】を発動していて、そのおかげで剣の扱いが下手でも勇星を倒せたと言っても過言ではない。ただそんなこと言うともっと混乱が起きるに決まっている、一応戦っているところは闇属性の幻術魔法で俺が防戦状態だった様に見せていたのでそれっぽい言い訳をしておいた。
「よかったぁ」
そう伝えるとアグネスは安堵の声を上げた。
「何が?」
「私の力不足で怪我をさせてしまったかもって」
ああ、なるほどね。俺が勇星をずっと引き付けていたので大丈夫だったか心配していたのか。
「心配してくれてありがとう、大丈夫だよ」
一応俺はな。勇星の方は肋骨が折れてたしだいぶヤバかったと思う、さっきこっそり《回復》かけて怪我だけは治したから次の授業には復活してると思うけど。
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キーンコーンカーンコーン
そして二時間目の授業が始まった。
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