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第四話 友達できた

三連投稿第二話目!

それにしても本当に危なかったぁ。もし学園の外に出られていたらビルやその他の障害物が多すぎて探し出すのが大分大変になっていたかもしれない、俺には羽があるから飛んで頑張ったら見つけられたと思うけど。


この羽を生やすのに使っているスキルはSSSスキル【天翼(てんよく)】で、今はその中でモデル(ファルコン)という物を選択している。この羽の特徴として【天翼】で使える羽の中で一番速いがその代わり魔力消費がアホほどでかいというデメリットがある。


ただその問題も元々化け物じみた魔力を持っている上にそれを【魔法大全】で超効率よく運用しているらしい俺にはそこまで問題ではないようで、今も数分の飛翔でステータスの魔力の数値が10くらいしか減ってない。


先程までの俺を知っていないなら、俺がさっきまで一回も魔力を使った事がなかった人間に見えないだろう。勇星を援護するのに魔法を使わないといけなくなり、必死にあれこれやってたらいつの間にか出来るようになっていて自分でも驚いた。俺はどうやら魔力を扱うセンスが運良くあったらしい・・・いやでもちゃんと努力もしたから!


ただ今の俺にとってそんなことは全くどうでも良く、俺が怒っている原因である一番重要な問題。こいつの許されざる行い、こいつ・・・レイナのお尻撫でやがった!うらやま・・・じゃなくて断じて許せない!俺は心の奥底からボコボコ溢れてくる怒りを表面では抑えながら笑った。


「さーて魔族さん?俺、嫌いなんだよね。襲うくせに襲われる覚悟のないやつ」


「黙れ!【隼翼】なんていう少しいいスキルを持っているからと(おご)るんじゃねぇ!」


魔族は俺を鑑定したのかそう言い返してくる、確かに今【天翼】を発動しているので似ているスキルの【隼翼】を偽ステータスに入れてある。ただこれはAランクスキルであり、羽という羽の全てが使えるSSSスキル【天翼】と比べると込めている魔力も羽の強度も段違い。スキルの格が違うのだ。


「俺はなぁ、魔国軍に入ったことでSランクスキルを手に入れたんだぜ!」


スキルギフト系のスキルを持っている奴が魔国軍側にいるのか?貴重な情報を喋ってくれるじゃないか、これはもし将来勇星が魔王を倒すとなったときに役に立つ物になるだろうよ。


「そ、そんな!」


初めから力量が圧倒的で余裕をぶっこいている俺と違って横のレイナはそれを聞いて絶望で顔を染める。自慢というか自分のスキルが凄すぎて感覚が麻痺していたけど、この世界に住む人々にとってSランクスキルは強者と呼ばれる人しか持てないスキルだ。


まだ高校一年生の俺たちの学年内だとSクラスに持ってるのが一人二人いるくらいで、SSSクラスぐらいだったら何個も持っている人が半分くらい。Aクラスで持ってる奴なんて俺以外いないだろう、大体は良くてA、普通でBくらいがAクラスの人間としては妥当だ。


大体魔法もその感覚と同じだったはずで、SSSランクスキルを二桁所持なんて基本神の血を継いでるとか大国にいる人の中で十本の指に入るなどの強者くらいしかいない。つまり俺は完全に異常な部類の人間であって、目の前にいる魔族の彼が勝つことは万に一つもないわけだ


「どうかな?俺のステータスを見てそんなこと言えるか?」


「さっき見てやったさ!職業(ジョブ)もスキルもレベルも雑魚雑魚!」


魔族に対して煽りを入れてみたが俺のスキルをSSSスキルで隠蔽してあることを自分が忘れていた、SスキルでSSSの隠蔽を解いて見ることは不可能なので魔族の彼は絶対見れないわけだ。けど魔力量で気付いたりしないのか?まあ一旦何回か煽ってみて怒って奥の手を喋ってくれないか確認してみるか。こいつ口軽いし。


「スキルの隠蔽も見抜けないのか?」


まあ見抜いたら見抜いたで、目の前に立っているのがSSSスキル持ちって事だから怖いけど。


「ああん?」


あまりの自信に少し不安になったのでやりとりをしながら【鑑定魔法】を使ってみるが、Sスキルも【超加速】以外は目立った奥の手は無い。


よかった、コイツは口だけだ!


「仕方ない、隠蔽スキルを解除してやるからしっかりその目に焼き付けな!」


何を根拠にしてなのか、勝ちを確信している魔族にそう言って、俺は【ステータス完全隠蔽】を解除した。


「なあああ!何だこれはああああ!」


「ええ!何ですのこのスキルは!」


あ、やべ!レイナがいたの完全に忘れてた!うっかりやらかしてしまった俺が焦っている側で、ステータスを見てしまった二人は何も言えずにただ固まっているだけだった。


「う、嘘だ!嘘だあああああ!」


魔族が圧倒的な差にやけになったのか剣をがむしゃらに振りながら、【超加速】を発動して突っ込んで来た。それなら、とさっき習得した魔力を纏う技を使ってみる事にした。


右手に魔力を集めてその腕で剣を殴る、するとただ魔力で覆っていただけのはずなのに真ん中から剣がポキっと折れた。魔力の操作は得意とはいえ、失敗して腕を切られたらと実は少しドキドキしていた。ビビってたなんてかっこ悪いのでおくびにも出さないけど。


「ヒッ!」


魔族は【超加速】に俺が対応してきた事で俺が脅威と確信したのか後ろにジリジリ下がっていく。


「これでも俺を雑魚雑魚と言えるのか?」


最後のダメ押しにこれ見よがしに拳に魔力を集めていく、魔力が集まった拳の周辺の空気と魔力の放つ波がぶつかってキーンという甲高い音が鳴らされる。腕に集まった濃い魔力で黒いモヤを纏っている様な感じになった腕を軽く振ると、少し離れているところに立っていたそこそこ大きい木が粉々になった。


「た、助けてくれえええ!」


恐怖で叫びながらコウモリのような羽根を広げて魔族が飛んで逃げようとするが、俺が逃すはずもなく闇属性魔法の《暗影鎖(シャドウチェーン)》で楽々捕縛。そしてそのまま・・・


「《炎獄立方(イグナイトキューブ)》」


炎属性の魔法を使って炎の立方体で焼き尽くした。一人の人間がようやく入るほどしか無い狭い立方体の中で荒れ狂う炎は、魔族が声を上げる暇も与えずに灰すら残らず全てを燃やし尽くした。


「ふぅ、終わった終わった。」


魔族が完全に消滅したことを確認して魔法を解く、魔族は文字通り跡形もなく燃え去っており今ここにはレイナと俺しかいない。それにしても終わった、バレた。


「えっとーそこの貴方?」


「は、はい?」


気まずい空気になったところでレイナがいきなり顔をグッと寄せて話しかけてきて来た、息がかかるほどの距離まで詰め寄られてびっくりする。なんだかよく分からないがとてもいい匂いが漂ってきて、緊張でだんだん顔が熱くなってくる。しかし反対に背中には冷たい汗が流れている、こんな美女に詰め寄られると冗談じゃなく緊張する。


「終わった、ではなくて私を講堂まで送り届けてくださらない?」


「んん!?いや僕の力がこんな感じなので講堂まで行ってみんなに見られてしまうのは・・・講堂の近くまでなら送るのでこの事は内密にして欲しくて・・・ダメ?」


話している最後のあたりは距離の近さに緊張がカンストして敬語を使う余裕もなくなり、まだ会ったばかりの人に「・・・ダメ?」なんて言ってしまった。


「分かりましたわ!二人()()の秘密ということで!」


俺の提案にレイナは大きく頷いて了承してくれた、よかった!本当に感謝だ。


「あざす!」


秘密を守ると言ってくれたレイナを約束通り講堂の近くまで送り届けた後、自分の席にこっそり戻って自分の代わりをしてもらっていた【闇魔法】で作ったダミーを消した。これで証拠隠滅はできた。


教師による捜索隊が出るとレイナはすぐに発見された。レイナへの事情聴取の結論としては勇星との戦いで弱っていた魔族が、抵抗したレイナが放った魔法で体の限界を迎え消滅したとされた。


実際は俺とレイナが移動中に辻褄を合わせるために作った作り話なのだが、誰が殺したかなんて分かるはずもない教師は唯一その場にいたレイナの話以外で報告書を書く事ができない。


講堂でゆっくり座っていると友達になりたいとワラワラ群がる生徒から解放された勇星に、魔族を仕留めきれなかったせいでステータスがバレる原因を作ってごめんと謝られた。俺が魔族を追ったことも何をしたのかも分かっているようだ。


ただ勇星には言えないが、ステータスがばれた直接の原因は俺が魔族を煽るために開示したからだ。つまり悪いのは俺だ、それにレイナは口が固そうだし大丈夫であろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ショッキングな入学式の後は教室に戻ってホームルームとなった。そして俺たちは何をしているかというと・・・


「はい、というわけでお互いのことをもっとよく知るために一人ずつ自己紹介をしてもらいまーす!」


という悪魔(せんせい)の言葉から始まった自己紹介リレーだ。俺の前にいるみんなはサラサラっと喋ってるけど何でそんなにすぐに出てくるんだ?もしかして台本とかあるんですか?必死に内容を考えてみるが、これもダメ、あれもダメ、とする内に時間は過ぎて行き・・・


「はい!じゃあ次!鶴金君の番だね!」


俺の番になってしまった。何か、何か言わないと!覚悟を決めるしかない!


「は、はい!えっとどうも鶴金勝義です。職業(ジョブ)は〈剣闘士〉なので剣が上手です、好きなご飯は・・・天ぷらとかフルーツが好きなので怪我したらお見舞いの時に持って来てください。行ってみたい場所は神代国立公園です!これからおねがいします!」


周りを見てみると大抵の人がポカンとしている、その他の人は苦笑いだ。こんなくだらない事ばっか言うなよってなっているのだろうか?それに剣を使えると言ってしまったがスキルのお陰が大きいので、いざ本当に出来るのかと言われると困る。ちなみに勇星は誰とも違う反応でただただ大笑いしていた。


その後も自己紹介はつつがなく終わり、教室内で一人だけ俺は浮いた。自己紹介の後は学園の施設の紹介、テストの形式の説明、選択授業についての説明などを聞いて今日の日程は終わった。


「じゃあ今日は解散!明日は教科書を持って帰るので大きな鞄持って来いよー!」


「「「さようならー!」」」


先生の号令で解散して教室を出ると同じく解散した別のクラスの生徒の波ができていたので、その方向のまま下駄箱に向かったのだが混雑しておしくらまんじゅう状態の中で意外な人物と出会った。


「あら、お帰りですの?」


目の前に押されてきたのはレイナだった、それにしてもいつも下駄箱で出会うよな。視線を感じて横を見ると追いついてきた朝もいた取り巻き達が、何で朝の無礼者とこんなに仲良くなってんの?って顔をしてた。確かにこの短時間でこれほど仲良くはならないか、普通。


「ほら貴方たち、先生は解散と言ったのですわ!ここで私とも解散しましょう!」


下駄箱を出たレイナはまだ着いてこようとする護衛と取り巻きを返らせた、責任感が強い護衛は最後まで渋っていたがレイナの命令で帰らされた。それにしてもあの護衛はレイナが魔族に襲われた時に、身を挺してレイナを魔族から庇おうとしていたのを見たが忠誠心が強いんだろうな。


「そういえばレイナは何クラス?」


勇星も合わせて三人で並んで歩いて帰りながら、俺は気になっていた事をレイナに質問してみた。


「私?私はSクラスですわ」


「わお、優秀だ」


Sクラスといったら俺たちAクラスの一個上のクラスじゃないか、レイナは俺や勇星より成績優秀なんだな。


「家の方向はどちらですの?」


馬鹿みたいにデカい校門を潜るとレイナも俺と同じように質問をしてきた、答えられない質問だったらどうしようかと思ったが俺は家の方向はもう覚えたのでちゃんと答えられる。


「俺と勇星はどちらもあっち」


俺が家の方向を指差すと横にいる勇星がコクンと頷いた、するとレイナがパッと顔を輝かせる。


「まあ、私の家と近いのですわね!私達同じ秘密を共有していますしオトモダチでしょう?メイドからオトモダチとは一緒に帰ると教わりましたの!」


レイナの家の方向も一緒だったらしくレイナとも帰る事になった、帰り道を歩きながらレイナはよく喋った。それこそずっと話していたのだが、その話のスピードが速すぎて俺も勇星も追うのに必死だった。その為内容はそこまで入ってこなかったが一応話題を全て記憶はしているし、話しているレイナが楽しそうだったので良しとしよう。


「では、ここでお別れですわ」


レイナが名残惜しそうにこちらを見ながらそう言うが、正直俺たちの家とレイナの屋敷は無茶苦茶近い。俺たちの家は貴族街に近いところにあるし、レイナの家は城と周りの湖を囲むように正円の形になっている貴族街の外周に当たる場所にある。


さよなら、とレイナが家の方向へ立ち去ろうとして少し歩くと、何を思ったのか急に立ち止まって見送っていた俺と勇星を振り返った。


「その・・・毎日ここで待ち合わせするのはどうですの?」


何を言うかと思えばレイナが恐る恐る伺うように提案する、俺に断る理由なんてどこにもなく頷いた。


「おう、レイナが良ければいいぞ」


何か特別な事をしたわけではないのだが、レイナの顔が何故かだんだん赤くなっていき「で、では明日の朝七時半に!」と早口で言って逃げるように走り去って行った。ちょっと待て、今何で逃げられたんだ?キモかった?


「勝義、まさか出会って初日の女の子を呼び捨てにしてさらには陥落させるなんて・・・大胆すぎる」


勇星がこっちを見て驚いている。いきなり呼び捨てされて驚いたのか?でも俺何回か呼んでた気がするが・・・とにかく何かやってしまったのだろう。それにスマホの連絡先さえ交換してなかった。


その後数分歩くと俺たちの家の前に着いたので勇星と家の前で別れる、別れたと言っても家が隣なので会いたいと思ったらすぐに会えるけどね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その夜〈鶴金家〉では。


「ううん?ここでこのアイテムが見つかるんだっけ?」


俺は自分の記憶にあるゲームの情報や自分の状況、これからある学園行事やイベントをスマホのメモに書いていた。今日みたいに心の準備もない状態でいきなり襲撃イベントなんて事はごめんだからね。


ただ転生の影響なのか覚えていたはずのものを思い出せなかったり、記憶が曖昧なところが多い事が分かった。非常にまずい事なのだが原因が分からないのでどうしようもない、もしかしたら魂の定着具合とかもあるのかな?


その作業を終えると次にスキルの確認を始める、この作業では今までになかった組み合わせを使うなどもして色々試せた。スキルの全体もゲームの知識があるのでそこそこ早く理解する事ができた。


「そういえば・・・」


作業の中でふと自分の死因について考えた。トラックの光を覚えているので多分それに轢かれたんだろうと思われる、いわゆる転生物でお馴染みのやつね・・・もっと特別な何かは無かったのかよ。


「まあいいや。過去の事は忘れて今を大切にしよう」


俺は布団に潜ってこれからのことに想いを馳せる、今日は色んな出来事が起きて疲れていたのですぐに寝れた。

誤字脱字あれば修正お願いします。ブックマークと星、いいねもつけてもらえると嬉しいです!


投稿は定期的にしたいと思ってます。よろしくお願いします。

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