第十九話 スライムの正体
すみません。いろんなことが重なって遅れました。
「そう・・・じゃあ話そう。そのためにまずこの世界の誕生についてから話さないといけないね」
「頼む、でもその前に・・・」
謎のスライムに驚いている生徒達の周りに魔法陣を発動する、その空間を学校の教室へ《次元転移門》で送る。これでよし、後は先生が学校へ連絡してくれる筈だ。
「これで風紀が来てくれるはず」
「それまでこのスライムも押さえ込もう」
「了解」
俺はスライムの周りに《魔法障壁》を張った、スライムは障壁を壊そうとするがそう簡単には破れない。
「じゃあ改めて世界の誕生の話について・・・」
スライムを見つめたまま勇星は語り出した。
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これから語られる内容は創造の神が自らの偉業を書き留めたと言われている『歴史書』に書かれていた物だ、『歴史書』は遺跡などと共に出土するのだが未だ発見されていないものも多い。
まず序章〈創世記〉に書かれている内容にこの世の誕生、つまり創世は約三〇〇億年前と書かれている。創造の神はいくつかの世界とそれぞれ行き来するための通路を作った、そしてそれぞれの世界に生命を作り出した。世界はそうして動き出した。
そして時は流れ〈魔神侵攻戦〉の章になる。いくつもの世界の中に魔界という世界がありそこには魔神が住んでいた、魔神とは膨大な魔力に強大なスキルを持ちその当時最強の種族の一つだった。
魔界と勝義達の住む世界との通路は王国のあるオルビス大陸の最西端にある門『界挟門』。三億年前に界狭門が唐突に開かれ魔神の軍勢が流れてきた。魔神侵攻戦の始まりである。
人類、魔族など乱界の種族達は手を組みこれを迎え撃った、さらに世界の運行を創造の神から任された神々、魔力の乱れにより流れてきた霊界の精霊達が参戦。世界は混沌に包まれた。
最後は魔神軍の全滅により幕を閉じた、魔界は乱界の者達の力を全て集めて使った大魔法により消滅。しかし多くの魔神の遺体が膨大な魔力と怨念をもって空間を捻じ曲げ、ダンジョンを生成した。
ダンジョンが生成された当時は魔神の強力な怨念に周りの生命は消えてしまった。それを見かねた神界の神々は全てのダンジョンに眠る魔神の遺体を封印し、ダンジョンを人類が戦争に備えれるように鍛える場所として一定数解放した。
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勇星はそこまで語ると息を一つついた。
「で、それがどうした?」
「このスライムが変質した原因が魔神の魔力って事」
「ふうん、なんでそんな話知ってるんだ?」
別にいいだろこのダンジョンの下には魔神が眠っているんだし。それに俺的には情報源が気になる。
「神話は普通に誰でも知ってる常識。子供を寝かすときにも使われるくらいだよ?」
「常識!?ま、まじか・・・」
俺この世界出身じゃないから知らないしさらに意識がハッキリするまでの記憶を探ってもない、そして大事なことをたった今思い出した!
「俺今日決闘なの忘れてた!」
そういえば今日夕方レジエと決闘だった!危ない、選手不参加で棄権になるとこだった。
「いやそんな事より!魔神の魔力が漏れてるって事は神の封印が弱ってるって事!」
え?弱まるの?神の封印って。てか同時に封印されたなら弱まった封印がこれから一斉に解かれるって事?
「え!やばく無いか!?」
「だから言ってるじゃん」
「まあ、何とかなるっしょ!」
「はあ・・・いいよその時に戦ってくれれば」
なんかため息つかれた。ポジティブも大事だと思うんだけどなー、なんて思ってると何かが軋む音が聞こえてきた。
ギシッギリ!ギリリ・・・
「へ?」
「あ、多分そろそろ結界割れるよ?」
ビシッビキッミキッ!
まじかよ・・・魔力込めた量が少なかったとはいえ並の魔物じゃ壊せない強度のはずなのに。倒してもいいけど強そうだな・・・
「Aクラスの俺たちが倒していいやつ?」
「うーん、先生は気付いただろうしな」
どうしよう?と思ったが【感知《極》】に掛かった気配でその心配は無くなった、勇星も気付いたようで二人で安堵する。
「大丈夫そうだな」
「杞憂だったね」
そう言った瞬間落雷のような音と共にスライムが壁に向かって叩きつけられた、スライムが音速で蹴飛ばされたと分かるのはほんの一握りだけだろう。
「勝義生きてる?」
「フォス先輩!」
蹴りの主は風紀委員会のフォス先輩で、体に金色の雷を纏っている。いいなそれ格好いい。
「よく耐えた!って傷ないし!流石だな!」
「ああそれはさっきまで結界で封じ込めていたんで」
「いやコイツ俺の見立てではSはあるぞ、それを三十分くらいか?食い止める結界を張るのも凄いだろ」
結界系の魔術は防御用か封印用だから強く作ってあるんじゃないの?そこらへん今度勇星に聞いてみるか。
「まあコイツは俺に任せて一応休んでおけ」
そういうと先輩はスライムへ駆け出す。壁に飛ばされたスライムはすでに起き上がっており走って来た先輩に近くの岩を投げつけた。先輩はそれを横に飛んで躱すと壁に着地し、そのまま体が地面と並行の状態で壁を走る。
あれどうやって壁を走ってるんだ?スライムも撃ち落とそうと赤い目から闇属性の魔法を次々放っていく、だが先輩のスピードに追いつけず次々と何もない壁に魔法が着弾する。
先輩が壁を蹴って天井近く飛び空中でスライムと向かい合い手を翳す、そして空中で無防備になった先輩に魔法を浴びせるスライム。大量の魔法が先輩を襲うが次の瞬間それらは先輩の手から伸びた光の奔流に掻き消されていた。
「《迅雷》」
最後に先輩の声が聞こえたと思うとダンジョン内の全て音は轟音にかき消された。細い眩い光が折れ曲がりながらスライムに向かって伸びて、眩い光がダンジョン内を埋め尽くす。
そして眩しさに閉じて目を再び開けた時先程までいたはずの人型スライムはまるで初めからいなかったかの様に跡形もなく吹き飛んでいた。
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