第十七話 不思議な夢
仕事始め!正月にダラダラした分、仕事、学校頑張りましょう!
「そんなに俺とタイマンしたいか?」
「面白そうだからね!」
嬉しそうに笑う凪雲を前に俺は黒槍を構え直した。面白そうって・・・本当に洒落にならん。
「さあどこから来ても良いよ?」
「そっちこそ」
どこから来ても良いと言ってるがその割に隙がまるで無い。どうしようか?
「じゃあこっちから行きまーす!」
「そう来たか!」
まさか本当に来るとは思っていなかった。ただ攻めている時こそ隙は生まれるはず、そこを突ければ!
ガッ!ドゴン!
何で作られているか分からないけど見ただけで重いと分かるハンマーをドカドカ叩きつけてくる、いやそれ食らったらどんな人でも流石に死ぬだろ!
と思っていたらいつの間にか地面が光っている。【神眼】で見てみるとこの魔法は即死の攻撃を一回防げるようだ、こんな魔法使えるのは・・・
「本気でやって大丈夫だよ!」
勇星だった。いつの間にそんな魔法を?それより何が大丈夫だよ!痛みは普通にあるんだぞ!
「余裕そうじゃ無いか!」
「!?」
ハンマーが少し腕を掠る。あぶねえええ!急いで一旦距離を取る、腕にはハンマーが少し掠っただけなのに切り傷ができていた。それくらいのスピードということか。
ドンッ!
何だこの音?と思うと同時に左肩に痛みが走った、痛いと言うより熱い。見てみると肩に小さい穴が空いていた、貫通しているのだ。
凪雲は動いてない。ただハンマーを上から見た真ん中つまり、持ち手の延長線上のヘッド部分に穴がありそこから煙が出ていた。鉄砲か。
魔法科学が発展してるこの世界だが銃弾なんかよりもよっぽど魔法の方が効果も範囲もでかい、ただ鉄砲というもの自体は考えられててもおかしく無いくらいの技術基盤はある。それに魔法無しの戦いならこれは有効打だ。
「よくもやってくれたな?」
「わお!初見で何が起きたか分かる人は初めてだ!」
人に撃ったことあるのかよ!ただこの世界だから魔法で治るくらいの傷だし躊躇わないのか。俺はそれが兵器として主流の世界から来たからな、治せないけど。
それにしてもあのハンマー他にも色々機能がありそうだな・・・ん?そういえば凪雲が一歩も動かない、今は大チャンスのはずなのに。まさか・・・
「反動か」
凪雲がぎくっとするがそりゃそうだ。あんな重い物を固体砲台の様にして発射しないといけないくらい、威力が高いんだろう。現に俺の肩を貫通している、それにしてもすげえ痛えなこれ!血もダラダラ出てるし早く決着を付けないと。
「行くぞ!」
「え?肩撃たれたんだよ?それで動くのは流石に不味いって!」
【神眼】で凪雲の状態を見る。スキルは基本使用OKなのだが今回の模擬戦で使うスキルは【神眼】だけと決めている、一応腕試しだからな。その【神眼】によると撃った時ハンマーが後ろに飛ばない様に押さえていたのか右腕が脱臼している。
「はっ!」
「っ!」
俺も片腕だが相手も片腕、お互い動きは遅いが凪雲は武器が大きい分小回りも速さも俺より劣る。
ガンッ!
無理して振ったハンマーを受け流された凪雲が体勢を崩す、勝った!だが黒槍が凪雲を捉えたと思った瞬間何かに槍が防がれた。見るとハンマーの持ち手が外れヘッドが平たく変形している、まるで変形ロボットみたいに。
「嘘だろ!?」
「ドッキリ大成功!」
ハンマーの大部分は外れとても軽くなっている、片手で操れるくらいまで。これを今の状態で破らないといけないのか・・・あれ?やばい、全力の攻撃、だったから、血が、出過ぎて、頭が、クラクラ、す、る・・・
「あれ?勝義?おーい!」
視界が暗くなっていき体から力が抜けた、そして意識を失った。
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ここはどこだ?起きて周りを見てみると草原にいた、濃い霧がかかっていて遠くは見えない。俺はさっき模擬戦に熱が入っちゃって血を出しすぎて倒れたはず・・・
「ん?」
ふと前を見ると誰かが立っている。豪華な服を着てる、ただこちらに背を向けているので顔は見えない。誰だろう?声をかけてみるか?
「おーい!そこで何してるんだ?」
ピクッとその肩が跳ねたかと思うと人影がゆっくりとこっちを向く。
「!?」
次に俺が動揺した。流石にこれで動揺しない人はいないだろう、何でって鏡で見た今の俺の顔がそこにあったからだ。
「何だそんなに自分に驚くなよ」
俺が喋った。俺の声側から聞くとこんな感じなんだ・・・イケボじゃん?
「自分って?俺の二重人格か?」
「何言ってんだ?」
すごい呆れられた、だってもう一人の自分って二重人格かドッペルゲンガーしかなく無いか?
「ドッペルゲンガーでもねえよ」
「心読むなよ!」
「読んでねえ推測だ」
ふむ、なら一体このそっくりさんは誰なんだ?
「何だ、こんだけ話しても思い出せねえか?いや多分あの時に記憶が大部分俺の方に来たんだろうな」
「何の話だよ」
「ん?そうだな・・・現実世界であったら教えてやるよ」
「ここは何処なんだ?」
「俺が瞑想の為に作った精神空間、そこに波長の合ったお前が混ざり込んだ」
「へえ、凄いな!」
精神空間で瞑想なんて強キャラのする事じゃん、波長が合ったって言うけど別に俺は何もしてないけどな?
「まあそっちも調子良さそうで良かったな」
「やっぱり気になるな・・・」
「・・・ヒントはお前がいる所から東に行けば居るって事、ぐらいかな?」
「東?」
東なんて魔国しか無いぞ。国境で戦っている人かな?
「じゃあここらで俺は出るな、てか俺が抜けると自動的に精神空間は閉じるから」
「ちょっとまだ話の途中・・・」
「またな〜」
「待てよおい!待てってば!」
呼びかけるがだんだん意識が遠のいていく。待て、まだ、聞きたいことが、あ、る、の、に・・・
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「待て!」
「うわっ!」
凪雲の声。
「い、いきなり何ですの!?」
レイナの声。
「び、ビックリした・・・あ、先生!勝義起きました!」
勇星の声。あれ?ここは?知らない場所でベッドで寝ている俺を三人が取り囲んでいる。ここは?
「はいはーい!呼んだか?」
繋がっている別の部屋から白衣を着た男の人が現れる、その出てきた部屋に『医薬品室』と書いてあった。なるほど保健室か、やってきた白衣の男性・・・保健室の先生は喋り出した。
「じゃあ早速で悪いけど起きた君にも注意するよ、この三人はすでに聞いたと思うけど。まず模擬戦を先生のいないところで行わない事!そして熱が入っちゃうかもだけどやりすぎない事。今回はこの子の魔法があったから良いものの一歩間違えると大惨事だからね?」
「はい、すみません」
「うんうん、分かってくれて先生も嬉しいよ」
先生は少し厳しく叱った後謝った俺に優しく話しかけてくれた、保健室の先生って包容力ある人多いよね。それにしても・・・
(あの夢にいた俺がいるのはここから東・・・)
あの夢は何だったんだろう?
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