第十四話 彷徨いの森で
前回「⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎お願いします!」と書いたら本当に⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくれた優しい人がいました。ありがとうございます!励みになります!
勇星が生徒会長に会いレイナがハイゼルを殴った日、三人で解散した後勝義は学園敷地内の深い森の中にいた。
「ここが『彷徨いの森』か・・・寒いし不気味だな」
『彷徨いの森』は、学園の結界内に''封印‘’された森だ。元々『彷徨いの森』はアンデット系モンスターの溢れる森だった、その理由はここの地域に広がる魔力の通り道である龍脈と霊が黄泉の国に行くために通っていく霊道が交差しているからだ。
魔力を多く取り込んだ霊達は仮初の肉体を作りゴースト、スケルトン、ゾンビとなる、更に持っている怨念が強くなると、デュラハン、リッチ、王者ゾンビとなった。そしてたまに魔獣もアンデット化し学園ができるまでは死の森と化していた。
「今は学園の結界を張るために龍脈から魔力を取るからモンスターの数は少なくなっているんだよな」
ただ・・・
「完全にいなくなったわけじゃ無いよね!」
ドゴォォォン!
彼が横に跳ぶと当時に元いた場所の地面が何かの衝突で大きく陥没した。
「いきなりか!」
魔物はより多くの魔力がある所へ魔力を求めて集まりそして力の強い魔物ほど魔力への渇望が強い、ひび割れた地面へと刺さっていたのは黒いランスだった。そしてガサガサと葉っぱをかき分けてやって来たのは・・・
「上位アンデット、デュラハンか」
首のない漆黒の全身鎧、デュラハンは右手でランスを引き抜くとこちらへ切先を向けた。
「行くぞ!」
勝義は土属性魔法で鉄の片手剣を生成しながらデュラハンめがけて真っ直ぐ走る、デュラハンは彼の速さに少し驚くそ振りを見せながらも左手に持っている盾で攻撃を防いだ。
金属同士のぶつかりによって両者の間に火花が散った。しかしデュラハンの盾を切り裂くことはできず彼はデュラハンが腕を一振りすると軽く飛ばされた。
「これならどうだ」
すると彼は持っていた剣を捨て再び剣を生成する、ただ前とは違いその大きさは彼の身長を超えるほどの大きさだった。大剣だ。
「オラッ!」
上段から振り下ろした剣をデュラハンの盾が再び弾く・・・とはなら無かった、大剣の質量は先ほど作った剣の数倍以上。更にそれを持ち上げることができる彼の膂力によって威力は先程とは段違いになっていた、その一撃はデュラハンの盾を易々と砕きその下にある腕さえも叩き斬った。
「よしっ!」
スキルが大量にあり魔法も使える彼が今やっている事それは''実践訓練‘’である、彼は相手を攻撃する際に【武術】系統の基礎【身体強化】以外のスキルを使っていなかった。魔法に頼るだけではなく剣でも戦える様にするためだ。
「ウオオオォォォ!!!」
腕を斬られ怒り狂ったデュラハンは彼に向かって突進していった。
ブォン!
デュラハンは右に持つ槍を勝義に向かって横に払った。しかしその槍には何も当たらなかった、デュラハンは右、左、上と確認するが影すら見つからない。そして・・・
「こっちだ」
その声の先は彼の振り抜いた槍の先。勝義はあの瞬間振られた槍の上に乗りそのままデュラハンの死角へと回ったのだった。
「【山斬】」
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【山斬】・・・硬いものを切れば切るほど威力を上げるスキルで俺はデュラハンの胴を肩から切り裂いた、デュラハンは断末魔の悲鳴を上げる間もなく魔力となって霧散していった。そして消えたデュラハンのいた所に残っていたのは黒いランスと黒い野球ボールくらいの球。
「やった!『黒槍』と『魔石〈闇〉』だ!」
魔物から取れる素材その名も『魔材』、魔物はどんな種類でも必ず体のどこかが素材として様々な物に使われている。ただ魔材を得るには魔物の死体からナイフなどを使って剥ぎ取る必要がある、ただ唯一アンデット系の魔物は魔力になって消えるので必要ない。
「アンデット系の魔物を狩ろうと思ったのも死体から剥ぎ取るのはハードルが高いと思ったからなんだよな・・・」
今回俺が魔物を狩っているもう一つの理由として小遣い稼ぎという理由がある。魔物を狩るのに危険が伴うのは当たり前、さらに素材として優秀な魔材はとても必要とされており値段が高くなるのは必然だった。
「この二つ合わせると金貨百枚(日本円で十万円)にはなるぞ!」
ズンッ!
「きゃああぁ!」
俺が【時空間属性魔法】でアイテムを収納しながら値段の計算をしているとどこからか地響きと女の子の悲鳴が聞こえた、すぐに【感知《極》】を展開しあたりを探る。
すると一つの人間の魔力反応とそれを襲っている巨大な反応がした、俺は【天翼《隼》】を展開し襲われている人に向けて全速力で飛んでいく。ものすごい勢いで風景が後ろへと流れていく中、森の少し開けた所・・・反応があった場所が見えて来た。
「あれは・・・!」
そこにいたのは獲物を見つけ今にも食べようとしているドラゴンゾンビと、今にも食べられそうになっている猫耳(?)の女の子だった。
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