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第十三話 魔国の城

投稿遅れてすみません。少々しないといけない事に追われてました。

面白かったら星もお願いします⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎!

カツ、カツ、カツ、カツ・・・


長い大理石の廊下に靴音が響く。ここはゲハイメニス城、魔国の政治の中心であり魔王の住む城。靴音を鳴らしているのは紫色の髪と目の中学生くらいと思われる鋭い目付きの男の子だった。


彼は魔王直属の配下十三夜の一人、十三夜『()』である。彼は魔王から招集命令が出されたのでゲハイメニス城に来ているのだ。


「失礼致します」


彼は廊下の突き当たりにある大きく重厚な扉の前で立ち止まった、その扉は金色に輝いており針の先ほどの細かい彫刻が所狭しと並んでいる。その全てを覆っているのが純金であった、さらにその中に混ざる赤や青や緑の光は色とりどりの宝石。


これらは自らを主張をしながらも扉の彫刻をしっかりと引き立ててその存在感に更なる重みを加えていた、その金や宝石を使った飾りを持つ扉はこの世界が始まってから作られた扉の中で最も美しい・・・そう確信させるほど圧倒的である。しかしこの扉であってもこの中にいる()にとっては髪の毛ほどの価値しかない。


「入れ」


聞く相手に重いプレッシャーを与えるが誰の耳にもスッと型に収まるように入ってくる柔らかい、よく通る声が中から聞こえて来た。


「はっ!」


『飢』はその言葉を聞いた瞬間少し曲げていた背筋をピンと伸ばした、そして扉を普通に開けて中に入る。この扉の重さは普通の扉の何十倍もあるはずなのだが・・・


「また貧弱な人間どもの騎士の相手ですか?」


部屋に入った『飢』は中にいる彼に問い掛けた。部屋は暗くその者の顔を見ることは出来ない、ただ『飢』が敬語を使う時点で彼の立場は分かるだろう。魔王は答えた。


「いや、今あいつらは『隷』の良いおもちゃになっているよ」


「!」


『隷』の名前を聞いた途端『飢』の体が跳ねた。


「『隷』の・・・少し彼らに同情しそうです」


「だよなぁ」


あの『隷』のおもちゃ・・・想像するだけでゾッとする、初めて会ったのは十三夜全員が揃う会議であった。


『あれ?君が今日からの十三夜クン?』


『はい。貴女は?』


『ボク?ボクは三夜の『隷』だよ。よろしくね!』


あの時よろしくの言葉と共にフードの下から向けられた視線は忘れられない。冷たく無関心。自分の本能が最大限の警鐘を鳴らしたのは魔王様と会った時以外はこれだけだった。


「ああ話を戻そうか。君には()()()()襲撃の任を任せたい」


「あそこですか?」


「そうそう、『隷』に任せていたらなんと撃退されちゃって」


「絶対配下達でやらせて自分は遊んでたじゃないですか」


「よく・・・分かったね」


あの学園には確か七草会という厄介な組織があったな。少し調べてみるか、そんな事を考えながら魔王から『隷』の報告の内容を聞く。


「では準備を整えますのでこれにて」


「うん、じゃあね」


『飢』は後ろ手にドアを閉めそしてまたさっきの様に廊下に靴で一定のリズムを刻む。


(『隷』の報告によると彼女の配下が狙ったのは入学式、騎士団長たちは去り校歌斉唱時に襲撃開始。教師、七草会の面々は生徒を守るのに必死のはず、何故撃退できた?しかも自主的な撤退ならまだしも全滅。そこには我々を圧倒できる人間または人間達がいたという事か)


やがて彼は足を止めた。彼の前には先ほどの物程ではないにせよ大きい扉の前。


(更に襲撃監視役の配下曰くガキ二人にやられた・・・か)


「おい、九夜。出て来てくれ」


そう呼びかけた数秒の間の後扉がパカッと小さく開いた、こちらを伺う様に頭を出したのは全てが普通としか言えないの男の人。人間と同じ姿に擬態している事から『隷』、『飢』と同じく上級の魔族だということがわかる、見た目は黒目黒髪のおっさんだが。


「何だ『飢』君か」


「君付けするのはあの人だけにしてください」


「ははは、すまんすまん」

「それ絶対次もしますよね?」


「で、何か用事があるのかい?」


「あ、話逸らした・・・いや新しい任務を魔王様から賜ったんでそれについて相談があってな」


そう、この冴えないおっさんこそ十三夜の九夜『(かい)』である。彼は戦闘力はそこまでだが戦闘では無い他の能力でそれを補っている、その能力とは・・・


「僕が相談を受ける?無理無理、絶対無理だってそんな大役!」


「貴方の【賢聖(けんせい)】を見込んで言ってるんだ。そこを何とか頼む!」


「僕の所に来たということはそうだろうけどねぇ・・・」


SSSランクスキル【賢聖】・・・一回見た物やそれに関する情報を知ることができ、更には思考を何億、何京倍に高めて事象の予測、現象の脳内シミュレーションなどができる。このスキルを使い彼は九夜に上り詰めたのである。


「分かった、このスキルで少し考えてみるよ」


「ありがとう!」


「じゃあ情報を頂戴」


二人は細長い木の机を挟んでソファーに腰掛ける、『飢』は学園の地図や生徒の様子などで分かっていることを全て『怪』に伝えた。勿論二人のガキというのも。


「じゃあ行くぞ」


そう彼が言った瞬間彼の目に異変が起こった、中にあった光が消え人形の様に冷たいものとなった。これが【賢聖】を使っている時の彼、全て効率という言葉に沿って動く別名『(かい)』である。


「ふう・・・終わったよ」


数秒後彼は『怪』へと戻っていた。


「どうだった!?」


『飢』はソファーから身を乗り出して机の向こうにいる彼に聞いた。


「いやー驚いたよ、君の言っていた二人のガキは僕らと同等。何ならそれ以上でもおかしく無さそうだよ」


「何!?」


僕ら・・・つまり十三夜と同じくらいの力を有しているという事だ。


「ああ、何度演算してみても彼らが十三夜以上の強さなのは間違いない」


「マジかよ・・・」


『飢』は頭を抱えた。これから自分より上かもしれない相手と戦うことになるのだから、そんな時でも彼は『怪』の演算を疑わなかった。それは彼の【賢聖】がこれまでも正解を導き出して来たからに他ならない、これまでも・・・これからも。


「ただやりようがないわけじゃ無い」


「本当か!」


『飢』は彼の言葉に希望を持った。


「ああ、彼らの弱点は''まだ人間‘’って事だ」


「まだ人間?」


「奴らは女を一人攫おうとすると攻撃を躊躇ったそうじゃ無いか」


「人の心がある・・・」


「非人道的な事以外でそこにつけ込める事をするんだ」


「なるほど」


その後も彼らはあーでも無いこーでも無いと、襲撃に向けて計画を練るのだった。

誤字脱字あれば修正お願いします。ブックマークと星、いいねもつけてもらえると嬉しいです!


投稿は定期的にしたいと思ってます。よろしくお願いします。

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