第十話 名前決め
うおおおおおおおおお!なろうが面白すぎて抜けられないよ〜(嬉涙)!
俺たちは先ほど食事の時に俺が提案した事で、自分たちのパートナーに名前をつけようとしているの。
「まずは三人のパートナーを見せ合おうぜ」
三人で少し距離をとりながら輪になって向かい合う。
「よし!それじゃあ、せーので出そう」
ケルベロスに出てきてもらうために【擬似世界】から呼ばないといけない。
(ケルベロス、ちょっと出てきてくれ)
その巨体を転がして【擬似世界】でゆったりしていたケルベロスに声をかける。
(む、戦であるか?)
首だけあげてケルベロスが反応する。
(いやそんな物騒なものじゃなくてただの名前決めだよ)
(!!・・・それは行かねば)
ケルベロスは何故かとても乗り気だ。
(じゃあ俺が、せーのって言ったら出てきて)
(了解した)
現実に意識を戻すと二人もパートナーとの会話を終わらせて準備万端のようだ。
「いくぞ、せーの!」
そして【擬似世界】から出てきた俺のケルベロスを含むニ匹と一柱がそれぞれの主人の目の前に現れた、まずは俺のケルベロス。漆黒の毛並みに三つの頭、その五メートルはある巨体から溢れる闇属性の魔力は体を覆いさながら漆黒のマントのようだ。
そして勇星のアストライオス。いつも通り古代ギリシャ人みたいな服装、目と髪は服と同じくらい白く輝いており、一般人に比べ高い位置にある頭には黄金の冠をつけている。光属性の魔力を体に纏っていて、たまにポツポツと光る魔力が星のようだ。
初めて見るレイナの子竜。子竜という事で一メートルくらいと小さいが魔力量は他二人に全く引けを取らない、風属性を持つ鱗は薄い緑色で目の色は透き通るような藍色だった。目の前の二人に対し臆さない様子はすでに王者の風格が備わっている。
「じゃあ名前を決めていこうと思います!」
そしてまず俺のパートナーから名前をつける事にしたのだが、ここで問題が一つ出てきた。
「飛影でどうだ!」
「ナイトメアですわ」
「フロシキだね」
お互い譲らないから決まらねぇ!
「どうしよう・・・」
一人だけおかしな名前をつけようとしている奴がいるがとにかく決まらない。最後の手段だが、こうなったらあの方法しか無い・・・!
「よし!三人でじゃんけんをして勝った奴の提案する名前にしよう」
「うん、それしか無いかな」
「もう十分も言い争いしていますものね」
じゃんけん、公平かつ誰も不満にならない決め方だ。
「行くぞ・・・!さーいしょはグー、ジャンケンポン!」
俺が出したのはグー、レイナもグー、勇星はパーだった。
「なっ!」
嘘・・・だろ?
「よし、君の名前は今日からフロシキだ!」
(フロシキ・・・了解した)
勇星は早速ケルベロスに名前をつける、絶対おかしい名前のはずなのにケルベロスはなぜ了解してるんだよ!多分風呂敷だぞ!?あの風呂敷なんだぞ?
(良き名前を付けてくれたな、主の友に感謝せねばな)
ああコイツも感覚ズレてるタイプだったか、まあ本人がいいと言ってるなら良いか。
「じゃあ次はアストライオスのニックネームだな」
「はい!私良い案がありますの」
レイナはもう考えていたのかすぐに手を挙げた。
「なんだ?」
「アズでどうですの?」
アズか・・・フロシキよりはいいな、ていうかフロシキより不味い名前ってあるか?
「うむ。我もそれで良いと思うぞ、ていうかそれで決めてくれ」
アストライオスは勇星に独特なニックネームを付けられる前にすぐさま退避。
「アストライオスがそう言うなら、それで良いよ」
勇星もアストライオス自身がいいと言ってるのでそれ以上は追求しない。
「今回は早く決まったな」
「前が遅すぎただけだと思いますの」
アストライオスのニックネームは先ほどと比べてとても早く決まり、次はレイナの子竜の番になった。フロシキの悲劇が再び起こらない様にしなければ。
「次はレイナの子竜の名前を付けていくか」
「僕良い名前考えたよ!」
くっ、勇星!そこまでにしてくれ!
「リンドヴルムで良いんじゃ無い?」
「「・・・は?」」
俺とレイナの声がピッタリ重なった。
「ダメ・・・かな?」
「「・・・」」
・・・
「どうしたの?」
勇星が心配そうに無言で固まってしまった俺の顔を覗き込む。
「はっ!・・・なんて素晴らしい名前を付けるんだ!お前らしく無いぞ!」
「そ、そうですわ!」
俺とした事があまりの衝撃にボーッとしてしまった。そして現世に戻って来ると同時に勇星を質問攻めにする、勿論同じ気持ちのレイナも追従して来る。
「ら、らしく無いって・・・」
「フロシキが・・・!」
あのフロシキの件があるじゃ無いか!今この間に、世界で何か起こったのか?
「?・・・ああ!フロシキは、僕の家にあるぬいぐるみの名前だよ」
「「身内ネタかい!」」
再びレイナと俺の声が重なる。
「ご、ごめん」
詳しく聞いてみるとその某「フロシキ」君は勇星の家にいる大きいぬいぐるみらしい。ちょっと紫がかった黒い毛が似ていたらしく、ケルベロスにフロシキと付けたかったらしい。
ついでにその某フロシキ君がフロシキ君になった理由は(?)首にフロシキを巻いているデザインだからだそうだ、だが風呂敷巻いてない俺のフロシキにその名前をいきなり付けると戸惑われる。でもそうか、なるほど・・・
「風呂敷を巻いているか・・・」
フロシキにいい服を用意してあげようと思ったのだが、今の話を聞いていい案を思いついた。
「どうしたの?」
「いや、こいつに風呂敷を巻いてあげれば良いかなって」
(真か!)
「そもそも訳を知らない人に変人に見られたく無いし」
確か家の箪笥にいろんな柄の風呂敷があった筈だ、十何種類あったので日替わりでもいいかもな。
「でもこんなに大きいのに風呂敷なんて巻けるんですの?」
「ああ、フロシキはいつもはもっと小さくなってるからね」
そういえばレイナはフロシキの小さい姿を見た事なかったな、この巨体が小さくなったら驚くかな?
「フロシキ、ちょっと小さくなって」
(了解した)
フロシキが返事をすると同時に、体がどんどん小さくなっていく。アストライオスの反応は元から知っているのかとても薄い、何だか勇星と真反対だ。ただレイナとその子竜は滅茶苦茶驚いているしドッキリ大成功!
「それで結局子竜の名前はリンドヴルムで良いのか?」
子竜の名前を決めてなかったのでレイナに聞いてみると、レイナが目を光らせてジリジリとフロシキとの距離を詰めていた。
「いいですわ!」
レイナは答えると同時に俊敏な動きでフロシキとの距離を詰め、逃げようとしたフロシキをガッチリとホールドする。レイナは犬猫とか好きなのか?
(ぐわああああああああああ)
レイナに飛びつかれたフロシキはテレパシーの中で悲鳴をあげていた、レイナはちっさいフロシキの事をモフモフモフモフしている。まったく・・・
「リンド、お前は俺が撫でてやるよ」
俺はリンドの頭に手を伸ばし優しく撫でてやった。
「キュウウウ!」
リンドが目を細めて嬉しそうな声をあげる、何だかうちのフロシキとは大違いな反応をしてくれるな。
「ほー嬉しいか!そうか!」
リンドが可愛い反応をするので愛着が湧いてくる。
(主ー!お助けあれ!)
俺は涙目になっているフロシキにサムズアップをしてやった。
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