第九話 風紀委員会
眠い毎日を過ごしています。僕と同じにならないように・・・
「じゃあ、まず校内で魔法を使った理由を聞こうか」
俺は今、鉄の檻に入れられて尋問されている。理由は勿論校内で魔法を使ってしまったからだ、ただ何故かもう一つ容疑を追加されていた。
「おい、なに人の言葉無視してやがる」
俺の目の前にいるのは風紀委員会のメンバー三人のうちの一人だ。風紀委員会とは七草会と呼ばれる七つある学園統治組織の中でもっとも武力に秀でていると言われていて、そこに所属しているという事はエリート中のエリートという事になる。
「だーかーらー!こっちの話に答えろ!」
今目の前で俺に話しかける先輩は高等部第二学年のフォス・ヴィランド先輩、短い金髪と髪色と同じ金色の目を持つ吊り目の先輩だ。だが背丈が・・・少し小さい。
「おい、今失礼なこと考えてたよな?」
急に先輩の声がマジトーンになりその身体中を黄金の雷が走る。先輩は雷系統の能力の使い手で、SSSランクだったはず。そんな先輩の雷を喰らって生きれるか?スキルの使える状況ではない今食らうと流石に無理だ。
「いえ、そんな滅相もない。失礼な事など微塵も考えた事はありません」
「・・・そうか?(なんかすぐに口調が変わるな・・・)」
急いで弁解して信じてもらえたようだ、多少怪しかったかもしれないが時間が経てば忘れてくれるかな?
「おい、そんなことより俺はここを任されたんだ。さっさと解放されたいなら質問に答えろ」
「はい!」
ここは元気な返事で誤魔化す!
「・・・ったく、まずお前は何で魔法を使った?」
「非常にお腹が空いておりましたのと、並ぶのに必要とする時間を有効活用するためです!」
そして素直に答える、これが一番相手の怒りを買わないで済む方法だ。
「へえ、お腹が空いていて列に並びたくなかったと?」
先輩は俺の言葉を繰り返しながら風紀委員会専用の手帳に書き込んでいく、とにかく早く解放されたかったので全ての質問にしっかり答えていく。
「その通りです!」
「何だやけに素直じゃねぇか」
先輩は食い気味に答える若干顔を引き攣らせながら質問を続けた、もしかして元気すぎて引かれちゃったかな。
「で、使った魔法は《座標跳躍》でいいか?」
《座標跳躍》は元々行きたい場所にマーキングをして、魔法を発動するとそこに飛べる魔法だ。もちろんそんなの使っていない。
「え?いえ違います」
「はぁ?入学したての一年生が使えるのはそれくらいだろう」
じゃあ何を使ったんだよと言いたげに先輩が反論する。
「僕が使ったのは《次元転移門》ですよ」
数秒間時が止まった。俺が本当のことを言っただけなのだが先輩はこれでもかと言うほど目を見開き数回瞬きした。
「おいおい流石に冗談がすぎるぜ後輩?」
「・・・何なら今ここで使ってみましょうか?」
先輩はあくまで俺を疑うようだ。
「ここは魔法が使用できないように結界が・・・」
「よいしょっと」
先輩が何か言い終わる前に魔法が完成し、先輩の目の前・・・つまり俺がいる檻と、先輩の背後を門で繋げた。
「!?」
先輩は後ろを向いて目を擦っては見て、擦っては見てを数回繰り返して、それでも事実だと悟るとニヤッと笑った。
「おいおい・・・冗談だろ?これでひよっこ一年生ってか?」
これで俺も来年はSクラスに行けるな、上手く力を見せれてよかった・・・ん?魔法が使えなくなる結界?そんなの魔力で軽々押さえ込めたよ。
「おい、お前鶴金と言ったか?」
「はい」
改まって一体何を言うんだ?
「来学期からは一年生も七草会へ加入する事が可能となる、そして今風紀委員会は不味いくらいに人手不足でな」
「は、はぁ?」
なんか嫌な予感がする・・・俺の『めんどくさい事センサー』がビンビン反応している。
「来学期になったら風紀委員会(見習い)として働いてくんね?」
「謹んでお断りいたします」
やっぱりめんどくさい事だった!風紀委員会なんて怖いやつを注意したら逆ギレで恨まれそうだし、どんだけきつい仕事が待っているか分かったもんじゃない。間違いなく言えるのは七草会の中でもトップクラスの仕事量という事だ、絶対やだね。
「そこを何とか!ここから早く解放するから考えるだけでもして欲しいんだが」
「・・・考えておきます」
仕方ない、俺も腹が減ってきたし話に乗るしかない。
「やった〜!」
先輩はニコニコ顔になりながらも言葉通りに檻から外に出してくれた。
「そういえば自己紹介をしていなかったな、俺は高等部第二学年SSSクラス所属で風紀委員会書記を務めるフォス・ヴィランドだ。見習いとして働きたくなったら放課後や休み時間にここに来てくれ、多分俺か先輩のどちらかがいるから」
「俺の名前は鶴金勝義で高等部第一学年Aクラス所属です、今日はお世話になりました」
勿論ゲームのキャラとして出てくる先輩の事はよく知っていたが一応覚えておく、そして俺も自己紹介をしておく。
「え?その実力でSSSクラスじゃないの?」
俺がSSSクラスで無いことに驚いていた。勧誘を取り下げられるかヒヤヒヤしたが「実力があるならいいや」と言ってきたので大丈夫そうだ、フォス先輩はランクというものをあまり気にしていないんだろう。
解放された俺は俺はすぐ食堂に向かったのだが、流石に時間をかけすぎたのか行列ができていた。この列に並ぶのか・・・。
「おーい、こっちこっち!」
絶望している俺の耳に勇星の声が聞こえた、もしやと思い声の方向を向くと勇星とレイナが席に座ってご飯を食べていた。そして二人の座るテーブルの上には三人分の食事がある、まさか・・・!
「ご飯とっておいたよ」
「全く・・・何を話していたんですの?」
二人は若干呆れたふうに俺に話しかける。
「ありがとう!」
何と勇星とレイナは俺のご飯を取ってくれていたのだ!本当にこの二人には頭が上がらない。俺は友達の大切さを感じながら席に座り、二人が用意してくれた定食を一緒に食べ始めた。
「いや〜、実は七草会からお誘いを受けちゃった」
「へぇ!すごいね!」
勇星は少し大袈裟と思うくらいに驚いてくれる、勇星はリアクションがいいから本当に話しがいがある。
「七草会・・・?」
七草会という単語を知らなかったのかレイナが首を傾げているので説明をする。
「七草会は生徒会、風紀委員会、文化委員会、公務委員会、捜査委員会、財務委員会、そして異色の広報委員会を合わせた七つの会で構成される議会だ」
「それは高等部第二議会じゃありませんの?」
この議会の存在は知っているのだろう、名前が違うから別物だと思っているようだ。
「正式名称は高等部第二議会だよ?ただ生徒達が七つの会を春の七草に例えてこう呼ぶだけ」
ただ呼び方が違うだけで言ってるのは同じ物だ、でも実は七草会の呼び方の方が高等部第二議会より知られてる。
「春の七草・・・オシャレですわね」
「そうか?」
もしかしてレイナは花が好きなんだろうか、なら誕生日などは花をプレゼントするのがいいかもしれない。そういえば今日の召喚儀式ではレイナは何を召喚したんだろう?
「レイナは何を召喚したんだ?」
「ああ、まだ言ってませんでしたわね。私が召喚したのは風属性の子竜でしたわ」
レイナはさも普通のことかのように爆弾発言をする。
「竜!?」
「ええ、魔界の方から。今はお二人のパートナーと同じように【擬似世界】の方にいますわ」
【擬似世界】とは時に建物サイズになるパートナーとずっと一緒にいるというのは不可能だ。そんな状況に対応できるスキルが、召喚された者は絶対に身につけると言われるスキルの【擬似世界】が解決してくれる。
Aランクスキル【擬似世界】は魔力である程度自由のきく限定空間を作ることができ、パートナーはそこに出入りすることができる。そして主人に呼ばれるとその空間から出て共に戦ったりできる、入り口は自由だが出口は主人のそばしか無いのが弱点ではあるが、それを除いても便利なスキルだ。
「そんな二人は何を召喚したんですの?」
「俺はここにいる人以外には内緒にして欲しいんだけど、一応ケルベロスを召喚したよ」
「僕はアストライオスという名前の神様だったよ」
「地獄の番犬に星空の神・・・規格外ですわ」
げんなりして答えるレイナに悪いことはしていないのだが何だかすごく同情するが、レイナの召喚した竜も相当すごいと思う。
あ、そうだ!
「なあなあ、このあと一緒にパートナーの名前決めしない?」
名前があった方が自分のパートナーを呼びやすいんじゃないかと思う。
「名前決め・・・確かにいいですわね」
「僕は名前は既にあるからニックネームをつけて欲しいかな」
そうと決まれば急いでご飯を食べて、どこか俺のケルベロスを出せれるいい場所を見つけないと。
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少し時間が経ち・・・
「じゃあまずそれぞれのパートナー出してみよう」
三人がご飯を食べ終わり・・・俺たちは学校の敷地内にあった広大な芝生の広場で名前決めをする事にした。
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