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一人よがりの雨

体調を崩して、更新が遅れました。すみません。

今週からまた再開致します!

楽しんで頂けると幸いです!

堅元が目の前に現れて驚いた。


舞華達から聞かされていたが、本当に俺を発光させたのは堅元なのか?


半信半疑ながら、堅元に話かけようとすると


「なぜ、お前は種岡さんの前から消えてくれない。

ただの幼なじみなんだろ?

お前は種岡さんの事、なんとも思ってないって言ってたじゃないか?

じゃあ、なんでずっと隣にいるんだよ!」


と堅元が叫んだ。


その怒りの感情に圧倒された。


さっきまで、疑いはすぐに確信へと変わった。


間違いなく俺を発光させたのは堅元だ。俺に消えてほしいんだ。


だが、


「悪いな、堅元。

俺は消えるわけにはいかない」



「なぜだ?

なぜ種岡さんの近くにいる?

他のところに行けばいいじゃないか?

君がいると、種岡さんは君を追いかける。

だから消したっていうのに!

これ以上俺の邪魔をするな!」


堅元は俺に向かって走りこんできた。

その手元には刃物を持っている。


ちょっと待て待て。


堅元は冷静さを失っている。


そうだよな。一番いなくなってほしいやつが目の前にいるんだから。



でも、今はそれどころじゃないんだ。

一刻も早くナノチップシステムを破壊したいのに!


「ちょっと待てよ、堅元。

お前は成績だって、運動だってなんだって出来る。それに生徒会で信頼も厚いじゃないか。こんな事してなんになる?」


「そうだよ?俺は今までなんだって手に入れてきた。

成績も常にトップで運動だって努力してきた。

なのに、種岡さんだけは振り向かない。

それはお前がいるからだろう?

だから、父さんのシステムに侵入しお前を発光させた。


赤く発光したお前を見た途端、人々の目が冷たくなり、恐怖に追い込んで行くんだ。

追いかけられてるお前を見てるのは楽しかったよ。


重罪者として捕まれば、種岡さんの前には一生現れない。


最高だと思った。


そしたら、川に落ちて死んでくれるとは!


なんて素敵なハッピーエンドだと思ったよ!



…思ったのに、なんで生きてるんだよ!」



更に堅元は殺意に取り憑かれたように襲って来る。


ナイフを振りかざし、俺を刺そうとする。


必死に逃げ惑うが、素手の俺では歯が立たない。

このまま逃げてるばかりじゃ埒が明かない。



「そんな事してるから、舞華はいつまで経ってもお前には振り向かないんだよ」


「なんだと?」


舞華の名前に反応した。


「舞華は自分の事しか考えてないやつなんかに惹かれない。

それだけいろいろ持ってるのに、どうして独占しようする?

なぜ相手の気持ちを思いやれないんだ?

頭のいいやつなのに、ちょっと考えたらわかるだろ?」


「思いやり?

なんだそれ?

俺は全て手に入れるんだ!

物も、成績も、立場も、好きな人だって!

手に入らなかった事なんてないんだ。

だから、手に入れる!それ何が悪いんだ?」


堅元が怒りのピークに達した。


しかし、堅元のその言葉を聞いて、俺の中の糸が切れたような音がした。


あまりにも自分勝手で、他の人の気持ちなんて考えない。

その言動に堪えられなかった。



「人の気持ちをなんだと思ってるんだ?」



「人の気持ち?

彼女は気付いてないだけ。

俺の凄さに。

お前という邪魔な存在がいるせいで!」



「舞華は、人一倍周囲に気を配る性格なんだ。

誰かが落ち込んでいたり、悲しんでいたらすぐに駆けつけるし、楽しい事はみんなで分かち合うんだ。

そんな人の気持ちに敏感な舞華が、お前の性格見破れないはずないだろ?

最初から気付いてるんだよ!だから近付かないんだ!」



「なにをわかったように、負け犬の遠吠えじゃないか?」



「それはそっちだろ?

俺がいなくなった間、舞華は堅元の事頼ったのか?」


その質問に堅元が止まった。


今だ!


ナイフを持っている手を思いっ切り蹴り上げた。

堅元の持っていたナイフは、俺の後ろへ飛んで行った。



「クソっ」


堅元はそういいながら、蹴られた手を押さえていた。

思いっ切り蹴ったから、相当痛いはずだ。

これでしばらく、利き手でナイフは握れないはずだ。


「いい加減諦めろ。

そんな事しても、人の気持ちは動かせない。

例えここで俺を刺したところで、舞華が堅元とは選ぶとは思えない」


堅元はナイフを失った事により、少し戦意を消失したようにその場に崩れ落ちた。


今のうちにナイフを回収しておこう。


そう思い、堅元に背を向けナイフを取りに行ったその時、

グサッと左肩に衝撃が走った。


恐る恐る左肩を見ると、後ろに小さなナイフが刺さっていた。



「もう少しで心臓だったのに」


堅元はそういいながら、悔しそうにしていた。まだナイフを持っていたのか。


衝撃が次第に痛みへと変わって来る。


痛みがジンジンと心音のように体中に響き渡る。血液の流れが感じ取れる。

そして、腕を辿って左手からポタポタと血が落ちていく。



「痛いか?

俺も痛かったんだ。

俺以上の痛みを味わえ!」


そういい、堅元はナイフを取りに行こうと走り出す。


これ以上、ヤツの思い通りになんかさせない。


その思いで俺もナイフの方へ走り出す。


俺の方がナイフに近い。先にナイフをどこかにやってしまえばいい!



地面に落ちているナイフを更に遠くへ蹴った。


「さすが元サッカー部だな。足には自信があるってことか?」


「昔の話なんかしてる場合か?」


「お前のおかげで負けたんだろ?

なんにも出来ないお前のせいで」


人の傷をえぐってくるな。

堅元に言われたところで、事実だからしょうがない。

でも、そうやってダメージ与えてるつもりかもしれないが、そんなんじゃ効かない!


「あぁ、そうだよ。

俺が決めなかったから、決勝で負けたんだ。

だから、みんなに呆れられた。

そして、今度は堅元に重罪者にされた。

世間の目は冷たかった。

でも、そのおかげで俺を信じてくれる仲間に出会った。

みんなはどんなに迷惑かけても、最後まで信じてくれた。

お前にはそんな仲間いるのかよ?

例え、発光しても信じてくれる仲間や友達がいるのかよ?

上辺だけの付き合いで、人の心を動かせると思うなよ!」


一瞬堅元が固まった。


その隙に一気に堅元まで距離を詰める。


突然、近付いて来る俺に恐怖を感じ、後退りをする堅元。


その勢いのまま、堅元の鼻にノーズマスクをつけた。


何が起こったかわからない堅元。

すると、息苦しそうに喉元を押えはじめた。上手く呼吸が出来ずに必死にもがく。

次第に苦しみ出し倒れ込んだ。


しばらくすると、堅元が動かなくなった。



晴希は、意識を失ったのを確認してからノーズマスクを取った。



「まさか、これが役に立つとは」

と手元のノーズマスクを見た。



『ノーズマスクは、水中の酸素を集めて呼吸出来るようにしている。

そして、マスク内に溜まった二酸化炭素を放出する』

そうトキさんから聞いてたから、内部へ送り出す酸素を入れないようにしたら、マスク内部は窒息状態になるんじゃないかと思ったらビンゴだった。


ノーズマスクを見た事もない者には、着けてる感覚もないくらい軽いから、気付かない間に急に息苦しくなり意識を失う。

マスクの設定を変えて堅元に着けたら、こんなに上手くいくとは。



さて、肩の怪我を何とかしたら、早く進まないと。


晴希は肩に刺さったナイフを抜き、溢れる血を上着でなんとか止血し、部屋を出た。

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