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冷たい雨、温かい雨

小屋に着くと、ばあちゃんがすぐにトキさん手当てをした。


気を失ったまま目を覚まさないトキさん。


幸い命に関わるような怪我ではないようだが、体中傷だらけだった。



慣れた手付きを見て

「ばあちゃん、すごい。

何でも出来るんだ」


そう聞くと


「元看護師だからね。

これくらい手当てできないと」




トキさんが眠っている間、誠真さんがあの建物のニュースを俺達にも見せてくれた。


『解体予定の建物から出火』

と見出しが出ているだけだった。



世間には大したニュースにはならなかった。



そして、誠真さんがケントさんが救出されているのも確認出来たそうだ。



トキさんがあそこに隠れて、政府のやっていることを多くの人に知ってもらおうと考えていたのに、なんの意味もなかったのか。

喪失感で虚しくなった。



俺達でも出来ることないか?

自然とみんなで話し合うことが多くなった。



「トキさんが政府の発光システムにロックをかけたから、無実の発光者は出なくても、今後不具合者や不信感を持った人は出てくる」


「せっかくトキさんが作ったものだから、システム修正しながらもナノチップを使い続けることも出来るんじゃないのか?

これだけ世の中が便利なったの事実だ」



「だが、このままじゃ政府の思うままで、犠牲者が増えてしまう。

原因を元から絶たないと意味がない」



「私達が勝手なこと言っても、トキさんがどうしたいかって気持ちが大事じゃない?」



俺達の中でも様々な意見が出た。



そして、トキさんが小屋に帰って来てから2日後、



「みんな、トキさんが目を覚ましたよ」


ばあちゃんが教えてくれた。


みんなでトキさんのそばに押しかけた。


「大丈夫?」


「トキさーん!心配したよ!」


「よかった」


など次々と声をかけるが、トキさんは目を覚ましたばかりで、虚ろな感じだった。



「こら、まだ安静なんだから、一気にいかないの!」


とばあちゃんが静かな声で怒った。



その声にみんな、しずしずとトキさんから離れていく。



「ごめんなさいね、でもみんな心配してたから少しおおめにみて下さいな。


どう?体中痛むとは思うけど、他に気持ち悪いとか違和感ない?」



ばあちゃんがそう話しかけると、


「なんでここに?

俺は収監施設にいて…」


と、思い出しているようだが、わからないようだった。



「収監施設で倒れているのを、看護ロボットが見つけて助けてくれたそうよ。

晴希くん達がここまで連れて来てくれたの。

ケントさんも無事だったそうよ」



「そうか…」


そう呟くと、片腕で目元を隠した。



「ねぇ、そろそろ私達を頼ってくれてもいいんじゃない?

なにも全部自分ひとりで背負い込むことないのよ?


さっきのみんなの様子見てわかったでしょ?

みんなトキさんの心配をしていたの。

目が覚めてあんなに喜んでくれてるのよ?

私達はちゃんとあなたの味方よ。


もしかしたら、恨まれてるかもなんて思ってた?


誰もあなたのこと恨んでなんかない。


むしろ心配で何か役に立てることないかと考えてばかり。


少しは吐き出してくれていいのよ」



そのばあちゃんの言葉に、片腕で隠された目元の隙間から、涙が流れた。



ばあちゃんはトキさんにタオルを渡し、


「まだ安静にしてないと駄目ね。

みんなには、まだ近寄らないように言っておくわね。

あとでご飯持ってくるわ」


そう言って、トキさんをひとりにしてくれた。



トキさんは溢れた涙をタオルで拭った。

それでも次々出てくる涙は止められなかった。



ーーー

トキさんが目を覚ました頃、


建物から逃げ切ったケントはナノチップ社にいた。



「見つけたよトキトウ」



そう言って、トキさん達がいる小屋を捕えたGPS画面を見ていた。

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