雨を頼って
自信満々に答える空翔に
「ここにいたって、建物の内部に詳しいのか?」
と聞いてみると
「トキさんに保護される前はここいた。ずっと部屋から出してくれなかったから詳しくはない。
けど、トキさん助けたいから行くしかないっしょ!」
と言い切った。
わからないからって悩んでたって仕方がない。
中に入らないとトキさんを助けられない。
空翔の勢いに圧倒された。
ただ、この炎と倒壊の中、トキさんを見つけたとしても無事に出て来れるかわからない。
入ったところで、犠牲者が増えるだけかもしれない。
そこでみんなに提案をした
「空翔。わかったけど、ちょっと待った。
闇雲に行っても、トキさんを連れて帰れなかったら意味がない。
ここは手分けしよう。
大地と舞華も手伝ってくれないか?」
大地も舞華も『もちろん』と覚悟を決めている顔で頷いた。
「このまま入っても、倒壊に巻き込まれるから、大地と舞華のナノチップに頼ろうと思う」
「そうか!ナノチップがあれば、危険な場所では必ず警告が出る!」
空翔は希望が見えたように目を輝かせる。
しかし、大地と舞華は
「確かにそうだけど、この中はどこも危険だから、警告しか表示されない」
と残念そうに言う。
やはり警告は出ているんだと確認出来たところで
「それでいいんだよ!
その警告が出たまま入るんだ。
そしたら、必ず避難ルートが表示される。
トキさんが見つかり次第、その避難ルートを辿って出てくる」
「そうか!帰って来るルートは必ず確保出来るってわけだな!
じゃあ、行くか!」
空翔はすぐに行こうとするが、それを制止する。
「待った。
ただ、これは帰り道がわかりやすくなるというだけで、中は決して安全ではない。
だから、これだけは守ってほしい。
まず、トキさんが見つからなくても10分後には必ず脱出すること。
あと、場所はGPSでお互い確認しつつ、通信は繋いだままで行くこと」
「10分でトキさんを見つけるってこと?」
「あぁ、内部がどうなっているかわからないが、ここに来るまでに2回大きな揺れを感じた。
だから、だいぶ倒壊が進んでいるはずだ。
それに外から炎が確認出来るということは、火災が相当進んでいる。
建物の崩壊を考えると10分が限界だと思う。
お互い無事を確認しつつ、何が起こっても相手の反応がわかるように通信は繋いだままで誠真さんにも状況がわかるようにしておこう」
そう伝えるとみんな覚悟を決めた。
大地と空翔
舞華と俺
このペアで内部に入る事になった。
「じゃあ、10分後。
またここでトキさんを連れて全員無事に戻ってくること!」
全員が頷き
「さぁ、行くか!」
と建物に向かって行った。
中に入るとそれぞれ左右に分かれて進んだ。
トキさんを最後に見た場所を目指して、分かれて探して行く。
俺と舞華は最初の角を曲がったところから、すでに天井から崩れてきた瓦礫の一部が至るところに落ちていた。
ただでさえ歩きづらい上に、停電して中は真っ暗で視界も悪かった。
「きゃっ」
と舞華の声がした。
「舞華、大丈夫か?」
「大丈夫!躓いただけ」
それを聞いて安心した。
しゃがみ込んでいた舞華に手を差し出した。
「晴希、ありがとう」
そう言って舞華は俺の手を握り立ち上がると、俺達は手を繋いだまま進んだ。
トキさんを連れて絶対無事に帰る!
その思いで、目的地を目指して進んだ。




