雨なんかなければ
ガラガラと大きな音を立て、建物が崩壊していく。
建物のメインシステムもやられたのか、アナウンスもなくなり、サイレンのみが鳴り続けていた。
賢斗と会話していたが、目の前は崩壊してきた瓦礫の山ばかりで、賢斗の姿はなかった。
「賢斗!どこにいる?」
叫びながら辺りを探す。
ホコリまみれで前もあまり見えない。
更に叫んだ時にホコリを吸い込んで、喉が枯れる。
それでも、見つけるまでは止められない。
ここで賢斗を死なせるわけにはいかない。
そう思い、必死に探す。
「賢斗!聞こえたら返事をしてくれ!」
瓦礫を掻き分け、賢斗がいたであろう場所を必死に探す。
「うぅ…」
僅かなにうめき声のようなものが聞こえた。
聞こえた周辺を必死に探す。
そこには瓦礫の隙間で倒れている賢斗がいた。
「おい!賢斗!大丈夫か?」
見たところ大きな怪我ないが、気を失っていた。
ひとまずここから脱出しなければ。
賢斗を担ぎ、不安定な足場を歩き始めた。
人担いでいるのと、歩きにくい足場に気を取られている時に、更に大きく揺れ、倒壊していく。
その揺れに足を取られ倒れてしまった。
担いでいた賢斗が放り出される。
その先に看護ロボットがいた。
看護ロボットは、賢斗のナノチップに反応し、
『生存者確認。
スグニ避難シテクダサイ』
と賢斗を抱え安全なルートを検索しながら出口へ向かって行った。
よかった。
これで賢斗は助かる。
「痛っ」
トキさんは、さっきの揺れで足に怪我を負った。
俺ここまでか。
ナノチップのシステムはロックされたままだから、悪用されないだろう。
あぁ、ここに収容された人達を家族の元に返したかったな。
それ以前に、ナノチップが完璧じゃないまま運用、装着義務なんかにならなければ、みんな普通の生活が出来てたんだよな?
俺もっとちゃんとしたものを作ってたらよかったのか。
いや、違うか。
ナノチップを人体に入れるなんて言わなければよかったのか。
ロボットやホログラム、データのみでの活用を進めていけば、こんな事にはならなかったんだ。
「はは、アホだな俺は」
結局、今どれだけ後悔しても、抹消された人は戻ってこない。
この倒壊に巻き込まれた人達も助けられない。
「誰かひとりくらい助けたかった」
ガラガラと倒壊が進む中、そんな事しか思い浮かばなかった。
ーーそして、外では
「なんだよこれ?」
倒壊していく建物を目の前に、立ちすくんでいた。
トキさんから通信機を返してもらったあと、すぐに外に出るように言われた俺と種岡。
「賢斗は必ずひとりでここに来る。
2人で話をさせてくれないか?
俺が説得する」
そう言っていたトキさん。
なのに、なんでこんな事になっているんだ?
みんなに
「トキさんが大変だ!
今すぐ来て!」
と連絡した。




