雲隠れ
連絡は誠真さんからだった。
「大地くん、舞華ちゃんと連絡が取れない」
それを聞いて、空翔と顔を見合わせた。
2人に何かあったんだ。
「最後に2人の痕跡が残ってるのはどこですか?」
焦る俺に、誠真さんは冷静に
「ひとまず落ち着いて聞いて。
2人の痕跡を追ったんだけど、街中でプツリと途切れてる」
と言った。
「その場所を教えて下さい。
そこに行きます!」
まだ場所を聞いてないが、2人が向かった西へ走り出していた。
「落ち着いて。
まだ、2人が危ない目に合ったと決まったわけではない。
それに、もしそこで何かあったなら、尚更場所は教えられない」
「なんでですか?
2人を助けないと!」
「もちろん2人は助ける。
でも、君達も危険な目にあっては意味がない。
今回連絡したのは、僕は2人を探すから全員の監視が難しくなる。
だから気を付けて行動してくれってこと」
それを聞いて、俺も空翔も足が止まる。
確かにそうだ。
俺達はトキさんを探すためにこっちに来たんだ。
これで全員捕まったら意味がない。
でも、大地と舞華が危険な目に合っていたとしたら…。
頭の中で葛藤する。
そこに、誠真さんから
「2人の事は任せてくれないか?
必ず探し出すから!」
と頼もしい声が返ってきた。
誠真さんも誰ひとり欠けてほしくない気持ちは一緒なんだ。
「わかりました。
すみませんが2人をお願いします」
「ありがとう。
そっちも充分気を付けて。
スミさんとカナさんにも伝えてある。
何かわかったら、すぐに連絡する」
誠真さんからの連絡はすぐに切れた。
空翔と俺はお互い顔を見合わせ頷き、動き出した。
俺達が出来る事は、一刻も早くトキさんを見つけること。
そしたら、大地と舞華を探しに行くことも出来る。
まずは、目の前のことに集中することにした。
時は少し戻り、大地と舞華もトキさんを探していた。
ーーーーーーー
みんなと分かれてから、俺と種岡もトキさんの隠れそうな場所を探して歩き回っていた。
探しながら
「ねぇ、トキさんって隠れる上手いんでしょ?」
と種岡が急に話を振ってきた。
歩きながら俺は
「そうだな。隠れるの上手いからこうやって探してるんだよ」
と適当に返す。
「今まで、ずっと見つからなかったんでしょ?」
同じような質問を繰り返してくる種岡。
「あぁ、だからこうやって探してるんだよ」
さらに雑に返す。
「そうじゃなくて、今まで政府からずっと隠れて来てたのに、何で今、政府に見つかるようなことしたのかな?」
と言ってきた。
「それは、俺達を逃がすために政府の標的トキさんいくよう、身代わりになってくれたんだろ?」
「晴希達からはそう聞いた。
でも、トキさんなら隠れたままでも、私達を助ける方法はいくらでもあったと思うの。
だから、敢えて政府に見つかるようにしたんじゃないのかな?」
そう聞き、立ち止まった。
「いや、まさか、なんのために?」
「その理由はさっぱりわかんないんだけど、今まで何十年って隠れて来て、しかも、今、私達も見つけられない。
ってことは、あの時、政府に自ら姿を出さなければ隠れ続けられた。
つまり、」
「「わざと見つかった」」
種岡と声が重なった。
種岡は頷き、そのまま話し続けた。
「最初は、私達を助けるために政府にアピールしたのかと思ったんだけど、そうじゃなくて、政府に見つけてもらうために姿を出したんじゃない?」
その疑問に言葉を詰まらせていると、後ろからパチパチと手を合わせる音が聞こえた。




