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雨の中に隠された秘密

それから数日間は、休憩と称して外出した。

どんな患者があの建物へ運ばれるのか?

それを調べるために病院へ向かった。




GPSを調べる限り、毎日誰かが運ばれているわけではなかった。



次に車が病院に来た時に備えて、ロボットに仕込むため、遠隔システムを作った。



これは特定のロボットに送信すれば、そのロボットを好きなように動かし制御出来る。


人工知能を奪ってしまうようなものだ。

これで建物内部の様子がわかる。



車の到着を今か今かと待つ。



来た!



見覚えのあるあの車が、病院の裏口に停まる。


医師や看護ロボットが来るまで待機している間に、車の中いるロボットを遠隔で乗っ取った。



ロボットの動き、視野、言葉、全てをこちらの指示通りに動かせるようになった。



そこに、医師と看護ロボットがストレッチャーともに病院から出て来た。



すると

「あとはお願いします」

と言い、医師がカルテを渡してきた。


その間に看護ロボットが車に患者を乗せた。



そして、医師と看護ロボットはすぐに病院内へ戻って行った。



カルテには

「初期不良による神経損傷」

と書かれていた。


ひとまず怪しまれないようにその場から発進する。



しばらく行ったところで停まり、患者を見てみると、意識がなく眠っているようにみえた。


カルテをよく見てみると、

『一週間前にナノチップを装着。

その後から頭痛が続き、自宅で倒れたところ救急車運ばれてきた。


MRIの結果


ナノチップの動作不良による、脳神経の伝達不良を確認



そのため、政府対応へ移行する』

と書かれていた。



その文字が上手く入ってこなかった。



どういうことだ?

ナノチップの動作不良がすでに起こっている?



人体に影響を及ぼしているのか?



政府対応ということは、この人は政府から正式な治療を受けるということなんだろう。



少しでも早くあの建物に連れて行かなければ!



そう思いながら、俺の手は震え止まらなかった。



もし、人の役に立つために作ったものが、誰かが傷付いていたら。

誰か救うどころか、奪ってしまっているじゃないか!



その不安で、頭いっぱいだった。



あの建物へ到着し、建物内部へ入った。


やっと知りたかった内部がわかるというのに、知りたい気持ちと知りたくない気持ちが葛藤する。



車を止めると、建物内部から看護ロボットが出て来て、患者を降ろし、カルテを受け取った。


カルテを受け取った看護ロボットを遠隔システムで、俺の制御出来るようにした。



そのまま建物内部へ。



中は、真っ白な壁と清潔感のある病院いった感じで、看護ロボットと警備ロボットとすれ違う。



ただ、普通病院と違うのは、窓がないこと。

館内の循環設備が整っているにしては、不自然すぎる。



そして、どの部屋も全て扉が閉まっており、他の部屋の様子は一切わからなかった。



一番おかしいのは、誰ともすれ違わない。



人が多く運びこまれているには、人の気配がない。



そう思っていると、この患者の病室に到着した。



すると、人がやっと乗るほど小さなベットに移し替えた。



そして同じ部屋には、同じように小さなベットで眠っている人が何人もいた。



見る限り、これから治療する感じではない。



医療機器がない部屋で、寝かされている人達。



なぜ治療しない?



この建物中、駆け巡って医師を探す。



一刻も早く、ナノチップを取り除いて、この患者達を助けてくれ!



そう思ったが、この建物には医師はいなかった。


それどころか、まともな医療機器は揃っていなかった。



じゃあ、ここで何をしているのか?



建物内のパソコンを調べると

『ナノチップ不具合者リスト』

と書かれたデータに、運ばれて来た患者の名前と症状が記されており、そこに


『家族には死亡宣告済』


と書かれていた。



想像以上の人数に驚く。




待ってくれ。


治療はいつするんだ?



それに、こんな不具合出ているのに、なぜ報告がない?



一刻早くナノチップの使用を中止すべきだろう!



なぜ使い続けているんだ?



わからないことばかりで、思考追いつかない。




とにかく、すぐに止めさせなければ!



これじゃ、ナノチップの被害者が増えてしまう!



すぐにナノチップ社に帰った。



政府もう信用出来ない。


とにかく賢斗に今の状況を知らせて、ナノチップ使用を止める方法を考えなければ!



「賢斗!大変なんだ!

ナノチップの不具合が出ている!

ナノチップの影響で、人が亡くなっているんだ。

装着義務なんか一刻も早く中止して、体内から取り出した方がいい!」


賢斗を見つけると、すぐさまナノチップの装着中止を訴えた。




すると、賢斗は

「何を言ってるんだ?

ナノチップは安全なものなんだ」

と笑顔で返してきた。



「俺は見たんだ!

ナノチップの不具合で、人体に悪影響を起こしているのを!

そして、政府はその人達を集めて、不具合をなかったことにしている。


これ以上、犠牲者を増やしたらダメだ!」



必死に訴える俺に、賢斗は俺の肩に手を置き



「なにを言っているんだ?

ナノチップは人類にとってなくてはならないものなんだ。

今更止められるわけないだろ?」


そう言い、そのまま俺の腕を後ろにまわし捻り上げる。



「痛っ

何するんだ、賢斗!

早くナノチップの使用を止めないと」



地面に押し付けられ、上から賢斗が乗ってくる。



「時任。

世の中には知らない方がいいことがあるんだ」



そして賢斗は、部屋の外にいた政府関係者を呼び、俺を地下室に閉じ込めた。



「なんでだ!賢斗!

一緒に作ってきただろ?

政府の言いなりになって、犠牲者が増えてもいいのか?

今ならまだ間に合う!

ナノチップの使用をやめて、元の世界に戻すんだ」



「元の世界に?」


「そうだよ

不具合が起こるとわかっていながら、普及を広げたらダメなんだ!」



賢斗は俺を見ながら

「時任。

もう遅いんだ」

そう言って、俺を地下室にひとり閉じ込めた。



賢斗は知っていたのか?

政府と一緒になって、ナノチップの装着義務を進めたということか。




とにかく、ここいてはナノチップ普及は止められない。



どうにかして出る方法を考えなくては。



だが、厳重なセキュリティだ。



最初は、真実を知った俺を始末するのかと思ったが、俺がいないとナノチップの不具合を直せないから、始末はしないということか。



閉じ込めている間も、不具合や修正を依頼してくる。



このナノチップの修正をしている時は、パソコンが与えられる。



そのパソコンでナノチップのシステムにロックをかける。

他の人間がシステムを変更出来ないようにパスワードつけた。

これ以上勝手なことはさせない!

俺の僅かな反抗だった。



そして、こんなところでじっとしている俺じゃない!



監視がロボットというのが、救いだった。



その監視ロボットのシステムを制御し、地下室から脱出しナノチップ社から逃げ出した。



警備ロボットも監視カメラも全てパソコンでコントロールし、俺の痕跡を消す。




しばらくして、もぬけの殻になった地下室に気付く賢斗。



警備員と一緒に地下室を確認するが、姿はない。

警備員は、慌てて周辺の警備を強化。

政府は特別取締部隊を出動させたが、どこを探しても、見つからなかった。





そして、賢斗は誰もいない地下室でひとり

「逃げろよ。時任」

と小さく呟いた。

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