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俺だけが知らない、雨の真実

ナノチップ社に戻り、調べてみた。


しかし、システムに制限がかけられており検索に引っかからないようにしてあった。


それなら、別の方法で調べるまでのこと。



外出しようとすると、賢斗に呼び止められた。



「そんなに知りたいのか?」



「当たり前だろ?」



「今まで開発に夢中で、周囲のことなんて気にしなかったのに?」



賢斗のその言葉にハッとした。


確かに賢斗の言う通りだった。



だからと言って、

「俺が作ったものだ。知る権利はある!」

他の誰からも止められる権利はないはずだ。



「じゃあ、調べてみるといい。

時任がやってたきたこと」



そう言って、賢斗は自分のパソコンを差し出してきた。



パソコンを借り、検索してみるとナノチップの記事が多く出てきた。


そこには、

『ナノチップ装着義務化』

『ナノチップによって最先端技術の急成長』

『国民の7割、ナノチップ装着完了

全国民装着まで、あと数ヶ月』

『ナノチップのおかげで、人手不足も解消へ』

どこを探しても、ナノチップよる不具合なんて書かれていなかった。



すると、賢斗は

「どうだ?納得いったか?

時任の作った技術は、もはや生活になくてはならないものなんだ。

人体への影響も出ていない。

何が不満だって言うんだ?」

俺を諭すように言った。



ここで調べたことが確かなら、ナノチップで問題は今のところ起きていない。


むしろ、急速に浸透したことにより生活に欠かせないものとなっている。



「あぁ、そうだな。

俺が勝手に不安になってただけだ」

そう賢斗に返した。



すると、賢斗も笑顔になり

「わかってくれて嬉しいよ。

これからも頼むぜ相棒」

と言った。



だが、俺自身納得出来ていなかった。



相変わらず、不具合やシステム調整の依頼が絶えない。



つまり、不具合が起きているということ。



なのに、なぜ世間から不満の声が全くないんだ?



疑問が拭えないまま、システムの不具合を修正をしていた。

そして合間を見つけては、息抜きと称して外出するようになった。


あまり根詰めても、良くないと思うようになったからだ。



政府も賢斗も、特に俺の行動をとやかく言うわけでもなく、好きにさせてくれていた。



だからこそ、俺が勝手に心配していただけなのかと思い始めていた。



数日後、システムの修正も終わり、

「少し散歩行って来る」

と賢斗に告げ、ナノチップ社を出た時だった。



突然、目の前に女性が現れた。

その人は、俺にしがみつき必死の形相で

「お願い!あの子を返して!!

どこに連れて行ったの?」

と言ってきた。



なんのことだ?


さっぱりわからずに

「どうしたんですか?

何があったんですか?」

と話しを聴こうとすると、


すぐに、警備ロボットと警備員が駆けつけてきた。



俺から引き離し、警備員に取り押さえられる女性。

「大丈夫ですか?」

と警備員に聞かれ、


「俺は大丈夫。

あの女性は大丈夫なんですか?」

と聞き返すと



「先程の女性は、精神的な病気のようで、夢と現実の区別がつかなくなっていると近くの病院から連絡がありました。

なので、ご心配なさらず」

と警備員は言い、すぐに去って言った。



そんな感じではなかった。

明らかに、この会社から出て来る人を捕まえて訴えるように言っていた。



警備員も問題ないと言っていたが、心配になり警備室の方へ行ってみた。



すると、先程の女性が気を失い運ばれて行くところだった。



それを見ていた警備員が

「危なかったな。

まさか時任さんにしがみつくとは。

何もバレてないだろうな?」

ともうひとりの警備員に話しかける。



「あぁ、大丈夫だ。

バレてない。

なんの事を言っているかもわかってなかったから問題ない。」



「そうか、なら大丈夫だな。

この人は研究所送りか?」



「あぁ、これだけ騒ぎを起こしたからな。

それで子供と同じとこに行けるんだ。

よかったんじゃないか?」



「でも、自分は問題ないんだろ?

何も知らない方が幸せだっただろうに」



「そりゃ親としては、子供がどこかに連れて行かれて、もう帰って来ませんって言われても納得いかないだろう」



「そうだな。

それなら自分に不具合起きたらよかったって思うだろ」



その会話を聞いて、咄嗟に隠れた。


さっき女性がどこか連れて行かれる。

その先に、俺の知らない何かがある。



ちょうど車に乗せられているところだった。


その車にマグネット型のGPSを貼り付け、物陰に隠れやり過ごした。



警備員も警備ロボットも持ち場に戻るのを確認し、俺はGPSを追跡した。



GPSは郊外の大きな建物で止まった。



その建物の詳細を調べようと検索かけるが、何も出てこない。



これは直接行って確かめるしかない。



後日、いつもようにちょっと出掛けて来るといい、郊外の建物に向かった。



そこは、コンクリートで出来た大きな建物で、窓はほとんど見当たらない。


入口も周囲も厳重に警備されており、中の様子は全くわからなかった。



ただ、この建物周辺にはロボットばかりで、人の姿が見当たらない。



それに、この建物に入って行くのは車ばかりで、人の出入りがない。




ロボットじゃなきゃいけないのか?



そして、時折車の往来があった。

その車は、この間の女性が運ばれたものと同じ車種だった。



車の中は見えないようなっていたが、車を運転しているのはロボットだった。



中に入れないならと、この間GPSを取り付けた車が他にどのルートを周っているのか辿ってみた。



すると、病院からこの建物へ往復を繰り返していた。

それも、大きな総合病院からだった。



今度は総合病院へ行ってみた。



すると、あの車がちょうど止まっていた。

これはチャンスと思い、近付いた時、奥から医師と看護ロボットがストレッチャーに乗せた眠っている患者らしき人と一緒に出て来た。



そして、車を運転するロボットへ書類を渡し、後ろに患者を乗せた。



医師は

「あとはお願いします」

とドライバーロボットに伝えると、そのまま車は発車していった。



具合の悪い患者が、あの建物に集められているのか?

終末期医療施設なのだろうか?

それだったら、建物に病院と掲げていないのはおかしい。




俺の悪い予感は的中してしまった

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