心の雨が止まない
「だぁー、もう休憩にしようぜ。」
俺の声に奏さんが反応してくれ
「そうね、ちょっと休憩しましょうか。」
と言ってくれた。
畑での作業していた俺は疲れて根を上げていた。仕事を教えてもらい、少しずつ収穫になれて来ていた。しかし驚くのはみんなの体力。
同じ時間働いているはずなのに、収穫するスピードも早く量も多い。
俺はゆっくりで、しかも少ししか収穫出来ていない。
なのに何故疲れない?
俺はもうヘトヘトだ。
空翔は休憩中にも構わず、蓮樹と走り回っていた。
小学生は体力無限だから別枠として、空翔はなんであんな元気なんだ?
同い年でずっと朝から叫んで動いてるぞ。
もしやあいつも小学生なのか?
そんな疑問を持ちながら空翔を見つめていた。
横にいた奏さんが話かけてきた。
「空翔くん元気ね。あれは完璧に蓮樹に遊んでもらってるわね(笑)一緒に遊んでくる?」
「いや、無理っす。」
即答で返した。
それを聞いてクスクスと笑う奏さん。
「そうね、空翔くんは動いてないと気が済まないタイプだからね。」
「本当に何なんですあいつ?化け物かって位体力有り余って。」
呆れた感じで奏さんに愚痴っていた。
「そうね。空翔くんは、野球の推薦で高校に行って甲子園目指してたみたいよ。だからあんなに元気なんじゃないかしら?」
優しく微笑みながら奏さんは空翔と蓮樹の方を見つめる。
「だからって元気すぎでしょ?子供同士はほっておきましょう。」
そう言った所で空翔がこっちに向かって走ってきた。
「晴希ー!お前も遊ぼうぜ!」
なんだ、本当にバケモンか?見りゃわかるだろ、無理だよ。そんな考えしかなかった。
「行かねーよ!仲良く蓮樹と遊んで来いよ。」
と空翔を突っぱねた。
「そっか!残念!
おーい蓮樹晴希入らないってー。」
そう叫びながら再び蓮樹の所に行って遊んでもらっていた。
なんだこいつらは。
ここの生活は穏やかだ。
風が吹き、草木の声が聞こえ、日差しが暖かく注ぐぎ、青空には雲が流れる。
それが俺には合わない。
俺の知ってるのは、いつでも誰とでも連絡が取れ、常に電子音が聞こえてる世界。
人を避けるように歩き、好きな音楽を聞き、好きな情報だけ知り、高層ビルに囲まれた世界。
こんな所で鬼ごっこやってる場合じゃないんだよ。
俺、何やってるんだろう。