鉄砲雨に打たれる
誠真さんから連絡が来ないまま、約一ヶ月。
俺達は心配していた。
『繋がりを絶ちたい』
そう言われているように思えた。
せめて会えないかと、誠真さんと会っていた散歩コースで待ってみた。
だが、いくら待っても現れない。
忙しいのか?
それとも、もう会えないのか?
種岡も気になっていたようで、2人揃ってお世辞にも綺麗とはいえない家に行く事にした。
もしかしたら、あそこにトキさんがいるかもしれない。
そしたら、今の状況がわかるかもしれない。
そんな希望を抱きながら向かった。
家に着くと、相変わらずボロボロで何も変わっていなかった。
むしろ、以前より蜘蛛の巣も多く、ホコリだらけ。
誰か立ち寄った形跡はなかった。
「やっぱりいないか」
「少し待ってみる?」
「そうだな」
種岡と2人で待ってみた。
こんなボロボロな家の前で待つなんて明らかに怪しいが、それよりもみんなの事が気がかりで仕方なかった。
もしかして、連絡が取れないほどの何かがあったのかもしれない。
この一ヶ月、そんな不安ばかりが過ぎる。
それを払拭するためにも、会いたい。
しかし、何時間待っても誰も来なかった。
日も暮れはじめ、
「そろそろ帰ろうか」
そう呟いた時だった。
俺達の目の前に、見慣れた人影が姿を現した。
「だから言ったんだ。
監視されてるのにも気付かないようだったら、仲間になんかなるなって。」
それはトキさんだった。
俺達は同時に
「「トキさん!!!」」
と叫んだあと、会えた事に喜び、トキさんの元へ駆け寄る。
「聞こえなかったか?
今も監視されてる事に気付かない様な奴らは、もう用無しなんだ。
利用されてるっていい加減気づけよ」
そう冷たい目で返された。
「え?
待って?
警察の監視は…」
話の途中で、勢いよく胸ぐらをつかまれた。
そして、顔の近くで
「だから、これ以上何も言うなよ」
と低い声で囁かれ、突っぱねられた。
その拍子に地面に叩きつけられる。
誰だ?この人は?
俺達の知っているトキさんじゃなかった。
もしかしたらこっちが本性なのか?
いや、そんなはずはない。
短い期間しか知らないが、こんな冷たい人じゃない。
脳内に様々な考えてが入り乱れていた。
すると、トキさんが俺達を見下しながら
「本当に都合よく動いてくれて助かった。
おかげで、こっちは自由に身動が取れたからな。
ただ、もう少し役に立ってくれると思ったんだが、終わりだ。
これだけ防犯カメラと警備ロボに監視されてるのに気付かないなんて。
見てんだろ?
出て来いよケント!」
と言い放った。
すると、警備ロボが多数姿を現し、周囲を埋め尽くす。
周辺の防犯カメラも全て、俺達を捉えていた。
あまりにも尋常じゃない警備ロボの数に驚き、何度も見渡す。
でも、どこを見ても警備ロボだらけ。
逃げる隙なんかない。
どうすればいい?
すると、警備ロボの一台から声が聞こえた。
「そうか、見抜かれていたか。
結構厳重に監視してたんだけど。
でも、この高校生達を監視して正解だった。
やはり君と繋がっていたんだね。
やっと見つけたよ、トキトウ」
警備ロボからはいつも電子音声が聞こえるが、これは明らかに人の声だった。
トキさんはそのまま、その警備ロボに話し続けた。
「ふん。
何が見つけただよ。
こいつらは利用されてるのにも気付かないようなお子ちゃまだ。
ただ、俺が開発者だって言ったら、もの珍しそうに懐いただけだよ。
だからおとりとして動いてもらっただけさ。
そしたら、案の定そっちのしっぽを掴んだってわけだ。
まさか、炙り出されたって気付いてない?」
「炙り出された?
何言ってるんだ?
こっちはトキトウ、お前をを捕まえれば何の問題もない」
「でも残念だな。
見つけても捕まえられなきゃ意味ないんじゃない?
捕まえたいなら、俺の前まで来いよ」
トキさんは反抗するように言った。
すると警備ロボは
「わざわざそこに行かなくても、ここで今、捕まえるから大丈夫だよ」
と言い、俺達にジワジワと詰め寄る。
「それは残念だな。
俺はここじゃ捕まらない」
そう言ってトキさんは目の前から消えた。
「ほら、捕まえるんだろう?
捕まえてみろよ?」
挑発するようにトキさんの声が聞こえるが、姿が見えない。
どこへいったんだ?
「じゃあな、高校生!
もう君達はお役ごめんだ。
ケント、見つけたんだろ?
俺を捕まえてみろよ?」
再び声する方へ目を向けると、トキさんは警備ロボ達が囲んでいた外で悠々と手を振っていた。
トキさんは逃げるように走り出し、警備ロボ達が一斉にトキさんへ向かって動き出した。
その場に取り残される。俺と種岡。
一気にいろんな事が起きすぎてわからない。
結局、俺達はトキさんに利用されてたのか。
種岡と顔を見合わせる。
お互い混乱して声が出なかった。
もうどうしていいかわからない。
その時、家の中からひとりの人物が姿を現した。
そして
「声を出さないで」
と言う、その人物は晴希だった。
主人公返って来ました




